研究コーナー

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「夏の甲子園 中京大中京 9回2アウトからの真実」

2009/08/29放送

愛知県名古屋市にある中京大中京。夏の甲子園で全国最多の勝利数と優勝回数を誇る名門野球部である。今シーズンはプロ注目、エースで4番の堂林、さらには俊足巧打の3番バッター河合などこれまでにない完成度の高いチームに仕上がった。
今年の春、センバツに出場したチームは順当にベスト8までコマを進めた。報徳学園を相手に9回2アウトまでリードし、後一人打ち取ればベスト4進出。だがここからまさかの逆転を許し、準々決勝で甲子園を去った。ぎりぎりの勝負を経験したことで徹底的に勝負にこだわるということを学んだ。取れるときに点を取り、守るときは徹底して守る。それがセンバツで得た教訓だった。
そして今年の夏、史上最多となる7度目の優勝を目指す中京大中京は強力打線が武器に甲子園大会で勝ち星を積み上げ決勝までコマを進めた。
4041校の頂点を決める決勝戦。2対2の同点で迎えた6回、堂林のタイムリーなどでこの回一挙6得点。日本文理を相手に8対2とした。さらに7回にも2点を追加。試合が終わるまで徹底的に攻め続ける、これが中京大中京野球の真髄。そして迎えた9回、エース堂林が志願のマウンド。だが2アウトを取ってからなかなか最後の1人が打ち取れず、2点を返される。さらにサードファールフライを三塁手河合が相手のサードコーチャーと接触したためにボールを見失ってしまう。続くバッターにデドボールを与えたところでピッチャー交代。だが、再登板となった2番手の森本は3点を奪われついに1点差にされてしまう。流れは完全に日本文に傾いていた。それでも最後はサードライナーに打ち取った。試合後、堂林の口からは『すいません』の一言。あのセンバツ以来、一球の重みを知るからこそ、そしてエースで4番として全てを背負ってきたからこそ出た言葉だった。その堂林を中心に、全国の頂点に立ったことはセンバツでの敗戦を糧にチームが成長した証であった。


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