アスリートドキュメント/スポーツの素晴らしさは夢に向かって挑戦しつづけるアスリートの素晴らしさ。密着取材でアスリートの真実の姿を描き出します

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中日ドラゴンズ 荒木雅博

2008/02/16放送

~限界からの挑戦~

1月上旬。荒木雅博の今シーズンはひっそりとそして熱く始まった。ひとりきりで行った自主トレ。休憩をはさみながらとはいえ実働7時間半。練習初めとしては考えられないくらいハードなものだった。なぜなのか?

「去年、結局最後は日本一になっていい形で締めはしたんだけど、やっぱりそこに行くまでの過程が納得できなかったという悔しさが…」

去年チームは53年ぶりの日本一に輝き、荒木も初めてのタイトルとなる盗塁王を獲得。最高の結果を手にした。だが、荒木はシーズン途中に怪我などの影響もありチームを2度も離脱。「嬉しさ」よりも「悔しさ」が心の中に残った。去年の悔しさを晴らしたい。その想いが荒木の体を突き動かしていた。

1月下旬。荒木は他の選手とともにキャンプ地、沖縄・北谷球場で自主トレに参加していた。4日間行われた沖縄での自主トレを終えた日、キャンプを直前に控え荒木が改めて今シーズンに懸ける思いを語った。

「とにかく追い込んでみたい。歳も30になって13年目になるし…。今までも追い込んできたけど、もう一回最初から追い込んでみたい。」

そして、いよいよキャンプが始まった。連日、厳しい練習が繰り返される中、荒木は第2クール中盤にただひとり室内練習場にこもり、およそ3時間バットを振り続けた。とはいえ元々、チームで1、2を争う練習量を誇る荒木にとってこれぐらいは朝飯前。ただ荒木の中には見た目では分からない大きな変化があった。

「メチャクチャやるだけじゃ意味もなくなってきてるので、どうやったら技術が向上するのかというのを考えながら練習するのがこのキャンプのひとつの目標だし、それができています。」

「限界までやってそこでやめるのと、限界までやってそれからもう少しだけ何かやってみようと思うのでは2、3年後やっぱり変わってきますから。今やっていることを大事にしていけばどんどん成長していけると思うので…」

追い込み、その限界からさらに挑戦することが自らの成長につながる。すべては去年の悔しさを晴らすために。プロ13年目、30歳を迎えた荒木雅博の新たな挑戦が始まった。