アスリートドキュメント/スポーツの素晴らしさは夢に向かって挑戦しつづけるアスリートの素晴らしさ。密着取材でアスリートの真実の姿を描き出します

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ハンドボール 中東の笛を検証

2008/01/19放送

まさかの予選やり直しで、急遽北京の可能性が生まれたハンドボール日本代表。その原因となったのが中東の笛である。国際ハンドボール連盟の下部組織であるアジア連盟。トップの会長職はクウェートのアフマド王子が勤めており、その王族がアジア連盟を牛耳っているのだ。そして潤沢なオイルマネーをバックに審判によるあからさまな試合操作をおよそ10年にわたり行ってきた。

では実際に北京オリンピックアジア予選ではどんな笛が吹かれていたのか。愛知県ハンドボール協会・審判部長の浅野幹也氏に日本対クウェートの試合について聞いてみた。

「レフリーの立場からすると最初の5分間は丁寧に行われていた。5分過ぎから操作が始まっていて、だいたい2点差のゲームにコントロールし始めた。」

決定的だったのが、ディフェンスの要、永島選手の退場。

「レッドカードではない。確かにハードなコンタクトですが、罰則が適用されるプレーではない。永島選手が日本のディフェンスの要ですからここを狙い撃ちしたのでは。」

そしてこの直後に事件は起こる。クウェート3点リードと余裕のある状況で、公平なジャッジを印象付けるためか、審判はクウェートの選手を二人退場させた。これによって一時的に日本の6人に対し、クウェートが5人になる時間帯が生まれた。そのとき、クウェートの選手が危険なファールを冒す。東選手がシュートに行く際、横から脚を刈るように入り、その結果、東選手は頭から床に落ちてしまった。非常に危険なプレーである。にもかかわらずこのプレーに対し何の罰則も無かったのだ。浅野氏いわく

「そこで罰則の適用をするとクウェートのディフェンスは3人になってしまう。決定的なダメージを受ける。そういう状況に陥ってしまったのも自分たちが作為的にコントロールし始めているから大事な部分で厳しい判定をすることが出来なかった。」

自分たちが作為的にゲームをコントロールしたからこの試合の中でもっとも危険なプレーに対し何の罰則も適用されなかった。これが中東の笛である。そして浅野氏はこう締めくくった。

「審判の技量としては非常に高い。その分巧妙に、2点差が1点差に詰まってくれば日本のプレーに対して不可解な判定をする。巧妙にゲームをコントロールしたと思う。」