日本の、そしてトヨタ自動車ヴェルブリッツの司令塔、廣瀬佳司、32歳。
170センチ、体重74キロ。
格闘技といわれるラグビーにおいて廣瀬はその小さい体で10年間を戦い抜いてきた。
8月23日、シーズン前のエキシビジョンマッチでトヨタ自動車は歴史的な快挙を成し遂げた。
ラグビー界のスーパースター軍団ニューカッスル・ファルコンズを相手に
勝利を収めたのである。
その中心となったのがスタンドオフ廣瀬佳司だった。
そして迎えた今シーズンのトップリーグ開幕戦。
ところがトヨタの様子がおかしい。
ファルコンズ相手に猛威を振るった攻撃陣がかみ合わない。
最後まで流れをつかむことなくこのままサントリーに惜敗。
それでもこの敗戦がトヨタを目覚めさせた。
2戦目に初勝利をあげると、3戦目で本来の輝きを取り戻した。
廣瀬の巧みなゲームメークで怒涛の12トライ。
結果、トップリーグ史上最多となる82得点を奪った。
司令塔としてチームを引っ張った廣瀬自身は自らも2トライを挙げ、この勝利を演出した。
試合後、廣瀬はこういった。
『チームの出来が僕の出来ですから。』
試合に勝っても負けても廣瀬は常にこのせりふを口にする。
この男が今シーズンのトヨタに栄光をもたらしてくれるだろう。
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