アスリートドキュメント

スポーツの素晴らしさは夢に向かって挑戦し続けるアスリートの素晴らしさ。密着取材でアスリートの真実の姿を描き出します。

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中日ドラゴンズ 荒木雅博「密着!!14年目の挑戦」

2009/04/25放送

今年1月。プロ14年目を迎えた荒木の自主トレはいつもと同じように始まった。
しかし、その内容は例年とは明らかに違っていた。

荒木は昨シーズン、日本代表としてオリンピックに参加するなどフル回転し、その結果、以前から痛めていた左肩が限界を超えた。関節唇の損傷と診断されランニングを含む一切の練習を禁止されたのだ。
年が明けてようやくトレーニングの許可が出たものの、まだバットを振ることは許されず、練習は下半身強化が中心。例年に比べ、スローペースでの調整を余儀なくされた。しかし荒木に焦りはなかった。
「ここはゆっくり体作りからやり直そうと思っています」
すべてをゼロに戻して、一からやり直す絶好の機会と捉えたのだ。

そして沖縄で行われた合同自主トレ。ようやくノックを解禁。シーズンへ確かな一歩を踏み出した。自主トレを打ち上げたあと、部屋でくつろぐ荒木の手にはバットが握られていた。
「野球がやりたい気持ちが強くなったね」
怪我の影響でセーブしなければならなかった野球が、ようやくできる喜びが溢れていた。

キャンプ初日。荒木は3ヶ月ぶりにもかかわらず思い切りバットを振った。さらに守備練習でも監督のノックを受けた。結局、キャンプの1ヶ月間、一度も休まずに監督のノックを受けた。
「14年間で一番というか、いいキャンプでしたよ」
キャンプを順調に消化し、痛めていた左肩への不安も薄れた。ところが・・・。

オープン戦終盤に左足を痛めまさかのリタイア。開幕には何とか間に合わせたものの、不安を抱えたままシーズンを迎えた。迎えた開幕戦。不安が的中する。打球を捌ききれずに今シーズン初エラー。
「脚が動かないなという感覚がすごかった」
左足を痛めた影響で「脚」が動かなかったのだ。

それでも開幕戦から10日後、4月12日の広島戦で復調を予感させるプレーを見せる。平凡なレフトフライで1塁からタッチアップし、セカンドベースを奪って見せたのだ。「脚」が動かないと出来ないプレー。そして4月18日の巨人戦。

バッテリーが警戒しウエストしたにも関わらず、荒木は盗塁に成功する。荒木の脚に本来の動きが戻った瞬間だった。
「脚も動いたし、完璧だった。今シーズンは1年プレーしていく中で新しい自分を作っていきたい。
今までのものは残してそれを土台にまたひとつずつ作っていきたい」

完全復活から、新たな自分の創造を目指して。
プロ14年目、荒木雅博の挑戦はまだ始まったばかりだ。


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