Spoken!

放送内容

2020年10月16日放送分

「代表落選からの復活へ 競泳・今井月」

カテゴリー:水泳


2021年東京オリンピック出場を目指す岐阜市出身の今井月選手(20)。
中学1年の時に2013年の日本選手権で3位入賞を果たしたことで話題を呼び、2016年のリオオリンピックで初の日本代表入り。2017年世界水泳では200m個人メドレー決勝で5位入賞を果たし、トップスイマーへと成長していった。
ところが2018年、代表入りを目指した「平泳ぎ」「個人メドレー」ともに選考会で落選。「自分にプレッシャーをかけすぎた」気持ちの面で、課題が残った。

悩んだ時、壁にぶつかった時に“初心”に立ち返る場所がある。5歳から中学3年までの10年間通い続けた『本巣スイミングスクール』。
代表落選から2か月後のある日、オフを利用して“水泳人生・原点の地”で泳ぎこんだ。1時間ほど泳ぐだけの予定だったが、水泳教室に現れた子供たちの姿を見て、突如「臨時コーチ」を志願。子供たちとのふれあいの中で水泳を習い始めたころを思い出し、真に初心に立ち返った。

そして“心の支え”となったのが、同学年の池江璃花子選手の存在。中学2年のジュニアエリート合宿がきっかけで仲が深まり、リオ五輪・世界水泳2017では共に代表入り。専門種目は同じではないが、切磋琢磨しあった親友同士だ。
日本新記録を連発する池江の活躍に、いつも勇気をもらっていた今井。自身の代表落選時、すぐさま駆けつけてくれた池江の「月なら乗り越えられる」という言葉に大きく励まされた。
そのため池江が白血病を公表した時、「今度は励ます番」と自分を奮い立たせた。
豊川高校を卒業後は水泳の名門・東洋大に進学。北島康介さんや萩野公介選手を育てた平井伯昌監督のもとで「真のトップスイマー」を目指し、ハードな練習に身を投じた今井は2019年9月、初のインカレ水泳で大会5冠を達成。着実に成長を重ねていった。

新型コロナウイルスの影響で東京五輪が延期となった2020年、最初の大きな大会となったのが10月のインカレ水泳。
チームの総合優勝を狙い女子50m自由形へ出場した今井は、奇しくも競技復帰を果たした池江との決勝の舞台で実現することとなった。代表落選のどん底から努力を積み重ねてきた今井と、白血病を乗り越え『第2の水泳人生』を歩み始めた池江。共に苦難を支え合った2人の真剣勝負―。
レースは今井が日本歴代2位・学生新記録の24秒93で優勝し、池江も表彰台に迫る25秒62で4位と健闘。「池江選手は天才、復活が早い」「今井選手は何を泳いでも速い、24秒台を出すとは思っていたが、流石だなと思った」レース後、お互いの泳ぎを称え合った。

今回のインカレで出場全種目で優勝し、2年連続5冠を達成した今井。今後はISL(International Swimming League)への参戦や12月の日本選手権などの連戦が続く。
「レースをこなして強い自分を作っていきたい。記録の面でも自己ベストを更新して、来年4月のオリンピック選考会を迎えたい。」と、代表復帰への抱負を語った。
今後の今井選手の活躍に注目していきたい。