「裸の王様だった」ハラスメント辞職の町長2人が会見 愛知県東郷町と岐阜県池田町

2024年4月25日 20:40
愛知県東郷町と岐阜県池田町の町長がいずれもハラスメントの認定を受け、辞職願を提出しました。2人の町長は25日に会見を開きました。

井俣町長

 午前11時、少し緊張したような面持ちで姿を見せた、東郷町の井俣憲治町長(57)が会見を開きました。
 
「本庁の未来のために町民の皆様の幸せのために、そして役場が静かにしっかりと仕事をできる環境をつくっていくということの重要性というところで、辞職をするということを決断させていただいた」(井俣憲治東郷町長)
 

音声データ(画像はイメージ)

井俣町長のハラスメント
「お前らの脳みそはハトの脳みそより小さい」
「育休を1年取ったら殺すぞ」
「馬鹿じゃないの、本当に馬鹿じゃないの」
「◯◯君がやっている仕事はさぁ、パートのおばちゃんだってできるんじゃない?3年勤めたら。じゃあ、パートのおばちゃんと同じ価値しかないの」

 町長による数々の発言。

 第三者委員会によるアンケートでは回答した職員582人のうち、108人がハラスメントを受けたと回答。

 22日に町に提出された調査報告書で、セクハラ・パワハラなどが町長に就任した2018年から横行していたと認定されました。

 そして町長は24日、辞職願を提出しました。
 

井俣町長

「ハラスメントへの無知」
 そして、25日、約2時間半にわたる会見が行われ、自身の多くの言動がハラスメントに認定されたことについて。

「私のハラスメントに対する無知の表れだというふうに今、恥じています。私のハラスメントに関する知識のなさが、多くの職員や報道を見られた国民の皆さま、そして町民の皆さまに不快な思いをさせてしまったという部分では、資質がないというよりも知識がなかったところについて反省をしているところであります」

 背景には、知識不足のほか役所に昔からの知り合いが多かったことや、一般企業と役所の違いを理解していなかったこと、そしてハラスメントに特化した研修がなかったことなどを挙げました。

 

井俣町長

ハラスメントに対する持論を披露
 一方で、当事者とは思えないような発言も…

「議会の先生方のハラスメントの研修は全然足りていないとも思う」

 さらに「ハラスメント」という言葉自体の使われ方についても繰り返し、意見しました。

「正しいことを抹殺するために、『モンスター』とか『ハラスメント』という言葉が使われるのが、間違っていると思う。こういう乱用が起きてはいけない。自分の不都合をハラスメントという言葉で回避しようとするというのも間違っているんじゃないかと感じている。どう皆さんに『ハラスメント』という言葉、その効果、どう起きるのかというのをご理解いただかなければいけない」
 

憤る元職員

職員や元職員らは、疑問や憤り
Q.次の町長選への出馬は否定しない
「100でない。肯定しないということ」(井俣町長)

 再出馬は考えていないとしながらも、否定は避けたかたちです。

 26日、議会で井俣町長の辞職について話し合われ、町議の同意が得られれば、5月2日付けで辞職となります。

 井俣町長が辞職願を提出したことなどについて、ハラスメントの被害を訴えた職員らは…。

「率直な思いとしては安堵したのが一番。他人を揶揄される、けなされる発言を多くされる方だったので、そういった状況をもう見聞きしなくてもいいんだなとほっとした。安堵した。(会見を見たときは)笑顔の場面だった。表情がその場にそぐうものだったのか疑問を感じました」

 被害を受けた別の元職員の男性も会見で見せた会見で見せた町長の姿に憤りを感じたと話します。

「たまににやにやした表情を見せて謝罪の会見じゃないんじゃないか、という印象をもった。職員に対して謝罪のような気持ちがまったく感じられなかった。(辞職願については)やっとここまで来たかというところで少し安心した」

 井俣町長によるハラスメント行為で、大きく揺れる東郷町。

 4万3000人余りの町民が、これ以上置き去りにならないよう一刻も早く健全な町政に戻す必要があります。
 

岡崎町長

岐阜県池田町では…
 岐阜県池田町で午前8時ごろ、取材に応じた岡崎和夫町長(76)は…。

「昨晩、一睡もできませんでした。走馬灯のようにいろんなことがあって、自戒の念しかございません」(岡崎町長)

 24日、第三者委員会に15人の女性職員らに対するセクハラ行為を認定された岐阜県池田町の岡崎和夫町長。

 

岡崎町長

セクハラに及んだ理由
 報告書ではキスをしようとしたり、後ろから抱き着いたりなどの行為がセクハラと認定されました。

 会見で岡崎町長は…

「心から謝罪をしたい。本当に申し訳ない」
 

岡崎町長

 25日の会見で町長は「宴会中、胸をポンと触る」、「頭をなでる」、「手を触る」などの行為については認めましたが、理由については…。

「『仕事がんばれよ』と言ってやったのではないか。相手はしもやけができていた職員ではないか」

 

岡崎町長

「裸の王様」
 辞職の意向を固め、午前9時に辞職願を提出した岡崎町長。

 これまでを振り返り、こう話しました。

「親近感、コミュニケーション、親しみをもってという思いで行ってきたが、自分の勝手な思い出あり相手に対する気持ちに欠けていたと痛感している。独りよがりの『裸の王様』であったのではないか」

 26日の議会で議員の過半数の同意が得られれば、岡崎町長は26日付けで辞職となり、6期20年以上に渡る町長の座を退きます。
 

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