愛知県の子どもの”休み方改革”「ラーケーション」で「保護者と一緒に過ごそう」　名古屋市は導入見送り

「子どもが平日休みに」。学校に登校しなくても欠席扱いにならない制度が9月から、愛知県で始まりました。その名も「ラーケーション」。取り組みを進める愛知県の狙いとは？

　愛知県が9月から導入した制度「ラーケーション」。

　学習の「learning(ラーニング)」と休暇の「vacation(バケーション)」を組み合わせた造語で、平日、学校に登校しなくても欠席扱いにならない日のことです。

　街ではどこまで浸透しているのでしょうか。

　「ニュースでちらっと見ただけなので、ファミリーの休日みたいな感じですよね」（40代）
　「ちょっと遠くへ行ったりできるので、そういう休みがあるといいなと思う」（50代）

　「ラーケーションの日」として、事前に学校に届け出れば、今年度は、1年間に2日まで、2024年度以降は、年間3日まで取ることができます。

　“学び”があれば、旅行に行っても、欠席にはなりません。

　「ラーケーションの日」を導入する背景にあるのは、家族で休みが合わないという現状です。

　愛知県によりますと、土曜日に働いている保護者は約2人に1人、日曜日に働いている保護者は約3人に1人。

　子どもと保護者が一緒に休みを取得できるようにすることで、ワークライフバランスの充実を目指しています。

　「平日、親は休みだが子どもたちは学校に行っているから、家族そろってずっと行けない。家族そろっての校外学習は意義あることだと思うので、現にそういった声がたくさんありますので、一歩一歩始めて定着していきたい」（愛知県 大村秀章知事）

　8月5日にオープンした愛知県美浜町の「WOOD DESIGN PARK NOMA」。

　目の前は海。

　部屋から直接ビーチに行けるこのホテルでは、すでにラーケーションに対応したプランを用意しているんです。

　「海から流れてくる漂流物、貝殻や流木を使ってアートを作る体験ができます」(WOOD DESIGN PARK NOMA 澤田真吾さん）

　9月から始まったラーケーションに合わせて、平日の宿泊者限定でSDGsなアート体験を準備しています。

　ビーチを見てみると流木に交じってペットボトルやカゴなど様々なごみが落ちていることがわかります。　

　「シーグラスというガラスの破片。ビールの瓶のような色をしている。海でいろんなものにぶつかったりして、だんだん角が削れた。流木などもたくさんあるが、ごみも流れ着くことも多くて、ごみがたくさん落ちているということを知ってほしい」（澤田さん）

　流木を使ってキーハンガーを作ったりフォトフレームに装飾したりする体験を通して環境問題への理解を深めてもらうことが目的です。

　「学校では文章などで習うかもしれないが、実際に手で触れて体験することでより鮮明に問題に対して学習できると思っています」（澤田さん）

　「ラーケーション」は、準備ができた自治体から順次開始していきますが愛知県内で唯一、導入を見送ったのが名古屋市です。

　なぜ、名古屋市はなぜ導入を見送ったのでしょうか。

　「ラーケーションの制度を取れる子どもと取れない子どもが混在しているので、公平性に欠けるのではないかと考えた。例えば経済的な事情で取れないといったことが考えられます」（名古屋市教育委員会 指導室 中谷誠 首席指導主事）

　具体的にどんなことを招いてしまう心配があるのでしょうか？

　「学校生活の中でラーケーションが話題になった時に、取れない子どもがそういった話題を聞いた時に、どんなふうに感じるのかなと心配している」（中谷 首席指導主事）

　名古屋市は、制度の趣旨は理解しているとして、休んだ授業の学習をどうするかなどを考えながら導入を検討していくということです。

　一方、「ラーケーション」のほかにも愛知県では、今年から平日学校が休みになる日が増えます。

　その名も、「県民の日学校ホリデー」。
　
　毎年11月21日から27日のあいだの平日1日を学校や市町村が指定して休みにする制度です。

　こちらは名古屋市も実施します。

　名古屋市など、多くの自治体が11月24日の金曜日を休みにしていて前日の勤労感謝の日から、土日を含めて4連休となります。

　愛知県が進める「休み方改革」。

　今後どう広がるのか注目されています。

　(9月5日 15：40～放送 メ～テレ『アップ！』より)