夏休み明け、子どもの異変SOSを見逃さない 放置ではなく「ちゃんと見ているよと伝える」
2023年8月23日 19:33
夏休み明けは子どもの自殺が増える傾向にあるといいます。子どもの異変を見逃さないために、どんなことに気を付けたら良いのでしょうか?
2022年、自ら命を絶った小学生、中学生、高校生は514人
夏休みも終盤を迎え、残りわずか。
毎年、夏休み明けに増える傾向にあるのが 「子どもの自殺」です。
過去40年の18歳以下の自殺者数を日別に集計した内閣府の調査では、多くの地域で新学期が始まる9月1日が最多となっています。
また厚生労働省によると、2022年、自ら命を絶った小学生、中学生、高校生は514人。
1980年以降で、最も多くなっています。
たんぽぽに通う子ども
新学期が始まる前は子どもたちの気持ちの揺れを感じる
金山駅から歩いて5分ほどの所にあるフリースクール「たんぽぽ」。
学校に通いづらくなった小学生から高校生が1日20人ほど通っていて、教員免許を持ったスタッフなどがサポートにあたっています。
夏休み中はほぼ毎日通っているという小学校高学年の男の子。
Q.家にいるよりここにいる方が楽しいですか?(上坂嵩アナ)
「うん、もちろん。毎日来ているもん」(たんぽぽに通う子ども)
たんぽぽの理事長を務める森さん。新学期が始まる前は子どもたちの気持ちの揺れを感じるといいます。
Q.休み明けなどに心が揺れる子どもが多いと聞いたが、感じますか?(上坂アナ)
「感じます。子どもが実際に怖いと言う。フリースクールに来ている子たちでも、にぎやかな夏から寂しげな秋に変わっていく中で、日も早く落ちてしまうのも加わり、すごく暗い気持ちになる子が多いです」(フリースクールたんぽぽ 森美智理事長)
フリースクールたんぽぽ 森美智理事長
「ちゃんと見ているよと子どもたちに伝えてほしい」
夏休み明けから冬休みまでの期間が長いため、不安になる子どもも多いそうです。
「がんばり屋さんが多い。繊細でがんばっちゃう子が学校が苦しくなる。自傷行為なども私に相談してくる子どもたちは親御さんには言わない、というか気がついていない。たぶん家庭でSOSが出ていると思うんですよ」(森理事長)
子どもたちSOSに気づくためには何に気をつければ良いのでしょうか?
「日々の会話で関係性はとても大事です。表情を見て『顔色よくないけど大丈夫?』だけでもいいので、ちゃんと見ているよと子どもたちに伝えてほしいです。放置ではなくて」(森理事長)
何に興味を持っているかを把握することも大切
親自身が”弱さ”を隠さないことが、子どもの気持ちを楽にする場合も
さらに、その子が何に興味を持っているかを把握することも大切だといいます。
「子どもが今何に興味を持って、何を楽しんでいるかわかってほしい。あとそれを一緒に楽しめる家庭であってほしい。絵にしてもこういう絵が好きとかある。わかった上で好きそうな美術の展覧会とか声をかけてみて、『こういうの好きじゃないの?』と言っただけで子どもはうれしい。把握して寄り添うことが大事ですね」(森理事長)
また、親自身が”弱さ”を隠さないことが、子どもの気持ちを楽にする場合もあるそうです。
「私はここでも頭が痛くなれば休む。頭が痛いから、私ちょっと横になるねという姿勢を見せています。大人でも弱いところはあることと、SOS、きつい時は言ったほうがいい。大人になってもがんばらなくてもいい。強い大人にならなくてもいいと思うと、たぶんちょっと楽になるかな、子どもたちが」(森理事長)
相談員に匿名でチャットを通して24時間、365日相談できる「STANDBY」
学校現場では、子どもたちの心の変化にICTを活用
一方、学校現場では、子どもたちの心の変化にICTを活用して気づこうとする取り組みが始まっています。
名古屋市で、2021年度からすべての小中学生などに配布されているタブレットにある「心の天気」というコミュニケーションツール。
「晴れ」「曇り」「雨」「雷」、4つのお天気のマークの中からその時の気分に最も近いものを直感的に選びます。
子どもたちが入力をしたものを担任の先生が確認することで、子どもたちの心の変化に気づくことができるといいます。
さらに、小学4年生以上の児童には市が委託した専門の相談員に匿名でチャットを通して24時間、365日相談できる「STANDBY」というアプリもあります。
文章だけでなく、画像や動画も一緒に送ることができ、相談には臨床心理士などの専門の相談員が対応します。
電話相談窓口
■こころの健康相談統一ダイヤル
0570-064-556
■#いのちSOS
0120-061-338
■よりそいホットライン
0120-279-338
■いのちの電話
0570-783-556
(8月23日 15:40~放送 メ~テレ『アップ!』より)