ひとり親の女性らに化粧品を無償提供 「コスメバンクプロジェクト」 愛知でも広がる
2023年8月2日 17:27
経済的な理由で化粧品を買うことができない女性たちに、化粧品を贈る「コスメバンクプロジェクト」の活動が広がっています。
ひとり親家庭に、食品が入った袋とともに配られていたのは――
「化粧品」です。
「シャンプーとかですかね。ファンデーションも入っています」(受け取った人)
これは「コスメバンクプロジェクト」という活動です。
企業が、ひとり親を支援する団体などに化粧品を無償で提供し、経済的な理由で化粧品を買うことができない人に、化粧品を贈るという取り組みです。
ひとり親の家庭へは、フードバンクや自宅に食品が届く「子ども宅食」などと一緒に配布されます。
愛知ひとり親家庭の生活苦での家計の工夫 (愛知県母子寡婦福祉連合会調べ)
とあるシングルマザーの話がきっかけで始まった取り組み
プロジェクトの事務局を務める藤田理事によると、この取り組みが始まったきっかけは、とあるシングルマザーの話を聞いたことからだったといいます。
「子どもの卒業式の時に、経済的な理由で口紅を一つも持っていなかったことから、マスクで顔を隠しながら式に参列したというシングルマザーの話を聞いたことがきっかけ。そういった女性たちが日本においてかなりの数いらっしゃる」(コスメバンクプロジェクト 藤田恭子理事)
愛知県内のひとり親家庭を対象にしたアンケートによると、新型コロナや物価高などで生活が苦しい状況下での家計の工夫として、「買い物の回数を減らした」という意見のほか、「化粧品などの美容の回数や購入を減らした」という意見が多くありました。
コスメバンクプロジェクト 藤田恭子理事
化粧品業界では“行き先を失ってしまった化粧品”が
一方、化粧品業界もある問題を抱えています。
それは――
「化粧品業界ではリニューアルなどによって、品質的には問題ないが販売することが難しくなってしまった“行き先を失ってしまった化粧品”が一定数存在している」(藤田理事)
化粧品は季節や流行で取り扱う商品が変わるため、品質に問題がなくても在庫として残ってしまい、毎年5000憶円に上ることも。
これら2つの問題を解決できないかと考え始まったのが、コスメバンクプロジェクトなのです。
2021年冬から始まり、これまで約50の企業から125万点ほどの商品が集まりました。
女性支援のために提供した化粧品が、結果的に「行き先をなくした化粧品」の削減にもつながったと企業は話します。
「自社の製品が誰かの役に立てているということは素直に喜ばしい。使われるために作ったのに、使われずに処分されるのが一番悲しいこと。製品が使われてこそ、初めて製品の良さが発揮できるのでありがたく感じる」(化粧品を提供した 第一三共ヘルスケア 古市亜美さん)
イベントで化粧品を受け取った人
「化粧品は女性の人生を豊かに幸せにするもの」
この日は、愛知県のひとり親を支援する団体のイベントで、食料品の無料配布と一緒にに化粧品が配られました。
「ちょっともらえるだけでもありがたかったのに、こんなにもらえてうれしいです」(受け取った20代女性)
「本当に助かる。化粧品はずいぶん前に買ったものを使っている状態なので」(受け取った50代女性)
「お母さんが化粧をしたら、すごく美しくなるかなと思って、うれしいです」(息子 中1)
なかには、こんな人も――
「娘からあんまり言うことはないが、でも欲しがったりはするので、化粧品を僕が買ってくることもできない。もらえたほうが試しに使ってみてというのができるのでありがたいです」(受け取った30代男性)
「地球と女性に笑顔を」の思いで、生活が困窮している全国約12万世帯に届けられました。
「化粧品は女性の人生を豊かに幸せにするもの。本当に困窮している女性が少しでも前向きな気持ちになってくれればと思っている。今後は就労支援につながるような形で、例えば就活メイクみたいなことや、ソフトの面での支援もこの先していきたいなと思う」(藤田理事)
(8月2日 15:40~放送 メ~テレ『アップ!』より)