「楽しい野球人生」勇退する監督に贈れなかった甲子園 愛知・至学館が刻む言葉【ラストミーティング】
2023年7月29日 07:35
全国でも屈指の激戦・愛知大会。「打倒四強」を掲げて挑んだのが、かつて「ミラクル」連発で甲子園を経験した至学館です。勇退する監督に贈りたかった甲子園への切符。まさかの短い夏の終わりに、監督が残した言葉とは。
勇退する至学館・麻王義之監督
秋・春ともに愛知で準優勝を収めた至学館。
秋には中京大中京を、春には愛工大名電を破るなど、私学4強に匹敵する強豪校です。
2006年の創部以来、18年指揮を執り続けてきた麻王義之監督。
2011年の夏と2017年の春に甲子園へと導くも、8月で60歳。
定年を迎えるため、この夏を最後に勇退します。
「子どもたちと毎日一緒にいること、選手の成長を見守ることが僕の一番の生きがいだったので、やりがいのある仕事だなと思ってずっとやってきました」(至学館 麻王義之 監督)
試合後の至学館ラストミーティング
キャプテンは右ひじを骨折するも登板を直訴
恩師と最高の夏を。
2023年7月16日、愛知大会3回戦。
シード校・至学館、初戦の相手は西尾です。
背番号1を背負うキャプテン・伊藤幹太選手は、試合の2週間前、右ひじを骨折するも登板を直訴。
「投げられる状態ではなかったのかもしれないけれど、最後の夏なので本人の意思を尊重しました」(至学館 麻王義之 監督)
この試合に間に合わせたエースが、抜群の制球力でチームを勢い付けます。
「監督・コーチに感謝の気持ちを伝えられる大会にしようと思って。この最高のチームで投げさせてもらえて、本当に感謝しています」(至学館 伊藤幹太 選手)
至学館 麻王義之 監督
8回、伝家の宝刀・スクイズなど麻生監督が育んできた至学館野球で西尾に2対2と追いつきます。
しかし、その裏、伊藤選手が招いたピンチが決勝点に。
接戦をものにすることが出来ず、3対2で初戦敗退。
麻生監督の花道を飾ることができませんでした。
至学館 山本航 選手
「監督を甲子園に連れていけなくて悔しい」
監督と行きたかった夢舞台、あまりにも短すぎる夏に涙が止まらない選手たち。
「監督を甲子園に連れていってあげられなかったことが、すごく悔しいです…」(至学館 山本航 選手)
麻生監督の帽子に刻まれた「笑顔」
次のステージも笑顔で「ラストイヤーを楽しませてもらった」
「この仲間でやれたことを自信にして、これからの人生に役立てろ」、そんな教え子たちに麻生監督が贈る最後の夏の言葉。
監督が帽子の裏に刻んでいた文字は「笑顔」、次のステージでも互いに笑顔で。
「夏は1試合しかできなかったけど、とても良いチームだったし、先生のラストイヤーを楽しませてもらった。とても楽しい野球人生でした、ありがとうございました」(至学館 麻王義之 監督)
(7月27日 15:40~放送 メ~テレ『アップ!』じもスポ!コーナーより)