高度経済成長期に植えられた樹木が老朽化 名古屋で倒木相次ぐ 樹木医「マンパワー足りない」

2025年4月16日 16:23
大気の状態が不安定だった15日に名古屋市で相次いだ倒木。街路樹の老朽化が進むなか管理の難しさが課題になっています。
 大通りに植えられた街路樹の様子を入念にチェックする名古屋市の職員。調べているのは「ヒトツバタゴ」の木です。23日までに市内におよそ3700本あるヒトツバタゴの街路樹に異常がないかを確かめるといいます。

 そのきっかけはーー

 15日午後2時ごろ名古屋市中区の東別院交差点で街路樹が倒れているのが見つかりました。

 倒れたのは高さおよそ8.5メートルのヒトツバタゴ。実は14日に名古屋市の定期点検が行われたばかりでした。

「非常に傷んでいる樹木があり、撤去の必要があると打ち合わせをしていた」(名古屋市中土木事業所 服部哲也 所長補佐)

 根元が腐っているのが見つかり伐採予定だった街路樹。そこに強い風が吹き、倒れた可能性があるといいます。

「地際が傷んで強度が下がっていたところを風が吹いて倒れたと思う。強風というのは一つ大きな原因かなと」(服部さん)

 さらに、15日午後5時半ごろには瑞穂区でも山崎川沿いの桜の木の根本付近から枝分かれしていた太い幹が折れ、50代の女性が乗っていた自転車のかごを直撃しました。女性は転倒し、顔や足などに軽いけがをしました。

 名古屋市では2022年にも中区で倒れた街路樹が車を直撃する事故が。

「メリメリとおかしい音の後に倒れてきた。体が揺れるくらい。怖かった」(木が直撃した車の運転手)
 

街路樹の植えられてからの年数の割合(名古屋市)

原因は木の老朽化
 倒木が相次ぐ背景にあるのが老朽化です。

 名古屋市では戦後の高度成長期、大気汚染の緩和や開発による緑の減少を補う目的で、多くの街路樹が植えられました。

 市内の街路樹の本数は2021年時点でおよそ9万7000本。このうちの4割強、およそ4万2000本は植えられてから40年以上が経過したものだといいます。

 その一部は大きくなりすぎたり、生育環境が悪化したりして倒木や枝の落下による事故なども発生しています。

 危機感を抱いた名古屋市は、2021年度から5カ年計画で街路樹の「再生プラン」を進めていますが、樹木医の前田隆司さんは「これだけの木、10万本近くあるとあまりにマンパワーが足りなさすぎる。いかんせん樹木医は絶対数が少ないところが最大の問題だと思う。環境条件も違うので大丈夫だと思った木が倒れることもある。住民に協力してもらい、これは何かおかしいのではないかと思う時は、いち早く情報がもらえれば今後事故を減らせるのではないかと思います」と話します。
 

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