屋外の動画配信に潜む危険 電柱や看板から… 専門家「場所の特定は防げない」「視聴者との関係に注意」

2025年3月13日 19:28
11日、東京・高田馬場で動画配信中の女性がナイフで刺され亡くなる事件がありました。名古屋でも動画配信を気軽に楽しむ人が増える中、危険も指摘されています。
 職業不詳の高野健一容疑者(42)は11日、東京都新宿区高田馬場で佐藤愛里さん(22)をナイフで刺すなどして殺害した疑いで13日朝、送検されました。

 亡くなった佐藤さんは11日、「山手線沿いを1周する企画」として歩く様子をライブ配信している最中に襲われました。

 高野容疑者は、調べに対して「リアルタイムの配信を見て歩行場所を特定した」と供述しているということです。
 

会えなくても同じ時間を共有できるツールと利用者が増加した動画配信

利用者が増えるリアルタイム動画配信
 コロナ禍をきっかけに、会えなくても同じ時間を共有できるツールとして、一気に利用者が増えたリアルタイムでの動画配信。

 実際に自身の散歩する様子や、街のなかでの活動をライブ配信する動画も多くみられます。

「SNSなどを使う機会の多い若い世代の人たちは、ライブ配信についてどう感じているのでしょうか」(木岡真理奈アナウンサー)

Q.どんなところが面白くて見る?
「YouTube(投稿動画)ではなく、その裏側が見られたり」(18歳の女性)
「自分の推している人がやっているから見たいなと」(18歳の女性)

「外で配信しているのを結構見ます。『〇〇さんですよね』という感じで、そこから『写真撮りますか?』とファンサービスしているのは動画上でよくあります」(21歳の男性)

Q.実際にそういうのがあると距離感が近く感じる?
「そうですね。『会える人なんだ』という感じになります」(21歳の男性)

「自分の妹もライブ配信している側なので、『ネットは気を付けてよ』と声をかけるようにしている」(23歳の男性)
 

ITジャーナリスト 三上洋さん

三上洋さん「ライブ配信は自分の場所を隠せない」
 ITジャーナリストの三上洋さんは、屋外からのライブ配信の危険性をこう指摘します。

「リアルタイムの外配信というのは、自分の場所を隠すことはできません。例えば後ろに映った電柱の住所、これですぐ分かります。また近くにある企業の看板。ライブ配信者にとって外配信をやることは、ファンなどが会いにくることを想定しなければいけない。ある意味、配信者は覚悟しないといけない状況だと思います」

 ライブ配信の場所が特定されると、危険度が高まると指摘します。

 さらに、視聴者との関係性も重要だと言います。

「配信者はファンを“特別視”しない。『親密度が高い』と思わないようにする必要がある。1対1であったり、LINEで個人的なやり取りをして『自分は特別な関係だ』と誤解し、トラブルやストーカー被害などにあうことも起きています。配信をすることで、素晴らしい出会いなどいいことが山のようにある。ただ、ごくまれに、こういった非常に怖いトラブルが起きる。この状況をある程度、知っていただく必要があると思います」 (三上さん)
 

動画配信で場所の特定につながる情報の例

情報が積み重なって居場所の特定に
 屋外でのライブ配信はトラブルと隣り合わせです。
 
 三上さんは「トラブルが不安な場合は、外で配信をやってはいけない」と注意を呼びかけています。

 「地震で揺れた」や「電車が止まった」といった情報は、場所の特定につながります。自治体ごとに異なる「マンホール」や「ごみの日」などの映り込みも、積み重なって居場所を特定されることになります。

 身近な情報の発信には気を付けないといけません。
 

”投げ銭”によるトラブルにも注意

”投げ銭”によるトラブルにも注意
 ライブ配信は”投げ銭”によって収入も得られますが、トラブルもあります。

 視聴者が配信者に対して”投げ銭”をすると、配信者がそれに対して「〇〇さん、ありがとう」など感謝のコメントを返す場合があり。

 これによって一部の視聴者が「自分は特別な存在」だと距離感を誤解し、行為がエスカレートするケースもあります。
 

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