「ライバルは兄」背中を追いかけセーリングで世界を目指す、中学1年生の角森帆朱選手に密着

2025年3月6日 18:15
海で行われるヨットレース、セーリング。家族の背中を追いかけ、初めての日本代表入りに挑む地元・愛知の中学生に密着しました。

愛知県尾張旭市出身 角森帆朱(つのもり はんす)選手(13)

 去年のパリオリンピック。ニッポンが20年ぶりとなるメダルを獲得したセーリング。
 
 ヨットで海を縦横無尽に駆け回り、ゴールの着順を競うマリンスポーツです。

 実は、愛知県にはセーリングが盛んな街があります。

 国内有数の大きなヨットハーバーがある蒲郡市。

 毎年冬には、若い選手たちの日本代表を決める試合が行われているんです。

 今年も、未来の日本セーリング界を担う逸材が全国から集う中に、蒲郡を拠点とする中学1年生がいました。

 「世界大会に出てみたい」

 代表選考会に初めて挑んだ、尾張旭市出身の13歳、角森帆朱(つのもり はんす)選手です。
 

父・雄三さん

セーリング選手だった父が指導
 ヨット乗りらしい名前を付けたのは、自身もセーリング選手だった父・雄三さん。

 「海に親しんでほしいという思いから付けています。ヨットに夢中になってくれてうれしいですね」(父・雄三さん)

 その願い通り、競技を始めた帆朱選手。指導しているのは、父・雄三さんです。

 「海に行ってその場で教えた方が子どもはわかりやすい。その場で声をかけるようにしています。家ではあまりヨットの話をしないようにしています」(父・雄三さん)

 父であり、指導者。普段は仲のいい親子ですが、帆朱選手にはちょっと苦手なことがあるようで――

 「家では穏やかなお父さんなんですけど、海上では離れていて声を張り上げるので、怒っているように感じます。海上だと…」(帆朱選手)
 

身長140cmと小柄で体重が軽い帆朱選手

身長140cmと小柄な帆朱選手
 お父さんの指導の下、力をつけてきた帆朱選手。

 強みは――

 「風が弱いコンディションの時のボートスピードが速い」(父・雄三さん)

 身長140cmと小柄で体重が軽い帆朱選手は、弱い風でも船のスピードが出せるんです。

 一方で、強い風は苦手としています。

 「体重が軽いので、風に負けてしまう。それを軽風の時と同じように持っていけるスキル、ハンドリングの技術を、今後の練習で積み重ねていきたいと考えています」(父・雄三さん)
 

帆朱選手(左)、兄・未岬選手(右)

「ライバルは兄」
 帆朱選手が本格的にヨットに乗り始めたのは、小学2年の時。

 「始めたころはいつも海が怖くて、毎回泣いていました」(帆朱選手)

 それもそのはず。15歳以下の選手が乗るヨットは、全長約2.3m、幅約1mと、小型の船。

 しかも、動力は帆で受ける風だけなんです。

 操作を誤れば船がひっくり返ってしまう可能性もある中、大自然を相手に、たった一人で海に挑みます。

 それでも、続けてこられたのは――

 「お兄ちゃんがずっとやっていたから。ライバルは兄です」(帆朱選手)

 2つ上の兄・未岬(みさき)選手も、セーリングの選手。

 しかも、若い世代では国内トップクラスの実力者で、日本代表の経験もあります。

 「帆朱は一緒にヨットをやる高め合える人。ここまで来いよって感じ。まだまだなところも多いと思うので」(兄・未岬選手)
 

日本代表選考会に初めて挑んだ帆朱選手

初めて挑む日本代表選考会
 2月末、蒲郡市で行われた日本代表選考会。

 兄・未岬選手も去年まで出場し、世界への切符を掴んだ大会に、帆朱選手は、初めて挑みました。

 「目標は選考会で15位以内に入って、ナショナルチームの一員になることです」(帆朱選手)

 国際大会の出場権を得られるのは、40人中、上位19人。

 ただし、うち4人は女子選手の枠のため、確実に代表入りするには15位以内に入る必要があります。

 4日間のポイント制で争われる選考会。

 帆朱選手は、大会3日目の時点で22位。3位に入るレースもあったものの、強風が吹く日もあり、慣れ親しんだ蒲郡の海で思うように成績を伸ばせていませんでした。
 

レースの合間には兄・未岬選手も軽食を渡すなど必死にサポート

最後の最後まで、力の限り走り抜ける
 迎えた最終日。海は大荒れ、風も強く、帆朱選手にとって最悪のコンディション。

 出場者の大半が上級生ということもあり、なかなか順位を上げられません。

 レースの合間には、応援に駆け付けた兄・未岬選手も軽食を渡すなど、必死にサポートします。

 勝負の最終レース。

 前半、先頭集団からはおいていかれてしまいます。

 それでも、風下へのコースではうまく風に乗り、順位を上げる帆朱選手。

 最後の最後まで、力の限り走り抜けました。

 そして、結果発表。次々に内定者が呼ばれていきます。

 しかし最後まで、帆朱選手の名前が呼ばれることはありませんでした。
 

今後の目標を語る帆朱選手

世界の夢舞台へ
 試合後。家族揃ってお疲れ様会。

 「帆朱はまだ来年もあるので、来年に向けて日々練習して頑張ってほしい」(兄・未岬選手)

 今回は代表入りを逃したものの、次に向けて前を向いています。

 「風が強くて緊張したけど、最後まで諦めずにフィニッシュしたこと(が良かった)」(帆朱選手)

 「本人にとってすごく不利なコンディション。その中でもよく頑張ったと思っています」
 
 Q.今後の目標は
 「海外のレースに出て、自分なりにいい成績を残せたらと思っています」(帆朱選手)

 世界の夢舞台へ、これからも挑戦は続きます。

 (3月6日放送 メ~テレ『ドデスカ+』「じもスポ!」コーナーより)
 

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