中部空港 2回の危機乗り越え開港20周年 「名古屋めし」活用してインバウンド客アップへ

2025年2月17日 19:36
東海地方の空の玄関口、中部空港が開港から20年を迎えました。コロナ禍で落ち込んだ旅客の回復が進むなか、新たな需要開拓を狙った挑戦も始まっています。

中部空港の開港20周年記念セレモニー

「開港20周年を迎えた中部空港。階段も20周年記念の仕様となっています」(松崎杏香アナウンサー)

 17日に節目の日を迎えた中部空港。

「愛知万博が始まる直前にこの空港が開港して、直近ではコロナという厳しい時代もあったが、この20周年を一つの節目に、さらなる成長を続けてまいりたい」(中部空港 犬塚力 社長)

 節目を迎えた空港には、多くの人が。

「遊ぶところもあって落ち着いて遊べるし、デッキに出て外で近さを感じる」(長野から来た40代)

「開港した時のステッカーも持っているし、15年目も持っている。死ぬまで故郷との往復をセントレアでお世話になりたいと思っています」(北海道から来た60代)

「フーが好きになって、仕事が休みになればセントレアに遊びに来ていた感じです」(名古屋から来た30代)

 セントレアのマスコットキャラクター「なぞの旅人フー」が好きすぎて、一時はセントレアで働いたことも。17日は有給休暇を使って、フーに花束を渡しに来たということです。
 

開港直後でにぎわうターミナルビル(2005年2月)

2005年開港「飛行機に乗らない人も楽しめる」
 2005年2月に開港した中部空港、通称「セントレア」。

 ターミナルビルには駅が直結し、国内線と国際線が同じフロアに配置されるなど、従来の名古屋空港よりも利便性が向上しました。

 飛行機に乗らない人も楽しめる施設としても人気に。

 レストランや土産物店など60以上の店舗が並び、あまりの盛況ぶりに席が足りなくなる状態に。入浴施設も登場し、当時としては画期的でした。

 約1カ月後には、愛知万博が開幕。

 万博の目玉だった「冷凍マンモス」をロシアに送り返す際に利用されたのも、中部空港でした。
 

新型コロナの感染拡大で国際線の旅客便が一時ゼロに

リーマン・ショック、新型コロナで大きな試練
 開港翌年度には旅客数が1200万人を上回るなど、東海地方の空の玄関口としての役割を果たしてきた中部空港。

 しかし2008年のリーマン・ショックでは危機に見舞われます。

 ビジネス客が激減し、国際線が相次ぎ撤退。一時は旅客数が900万人を割り込みました。

 その後はボーイング787の実物の展示が話題となった商業施設「フライト・オブ・ドリームズ」が開業。

 2019年度にはLCC専用の第2ターミナルの運用が始まり、旅客数は過去最多の1260万人を記録しました。

 ところが、さらなる試練が…。

 コロナ禍では、国際線の旅客便が一時ゼロに。ターミナルビルからは旅行者の姿が消えました。

 それから5年。

 コロナの収束とともに旅客数は回復傾向にあるものの、国際線の便数は2月1日時点で週341便と、コロナ前の7割程度にとどまっています。
 

到着ロビーに登場した巨大な「みそおけ」

20周年記念「名古屋めし」が相次ぎ登場
 17日の中部空港到着ロビーに現れたのは、直径2mもある巨大な「みそおけ」。

 愛知が誇る「赤みそ」の魅力をアピールしようと、豊田市の醸造会社で約90年前から使われていたという実物が旅行客を出迎えます。

 「名古屋めし」が集結しているのも、中部空港の魅力のひとつ。20周年を記念したグルメも見逃せません!

 「若鯱家」が提供する「金箔どてのせ金シャチカレーうどん」は、名古屋城を代表する「金のシャチホコ」を、金箔と15cmのエビフライでインパクト十分に再現! さらに牛すじの「どて煮」がトッピングされています。

「カレーのスパイシーさに、どて煮の甘辛さがまたよく合います。エビはぷりっぷりで衣がふわっとやわらかくなっているのがたまらないです」(松崎アナ)

 また、みそかつでおなじみ「矢場とん」では、ロースかつと中華まんなどの「セントレアセット」も数量限定で販売しています。
 

中部空港の課題を語る犬塚力社長

「名古屋めし」でインバウンド客誘致目指す
 観光客の心をつかむためにも欠かせない「名古屋めし」。力を入れるわけは…。

「国際線がまだコロナ前を下回っている。その大きな要因がインバウンド客が来ていない」(犬塚社長)

 未だ回復途上の国際線を増やす打開策について、空港会社の犬塚社長は「魅力発信の強化」が必要だと強調します。

「いまはこの地域に来る需要があるかどうかがはっきりしていないと、就航してもらえない。インバウンド客にこの地域の魅力を知ってもらうために『地域ブランド共創室』を1月に立ち上げ、地域とともに、あるいは地域をリードして魅力の発信に努めていく」(犬塚社長)
 

中部空港の旅客数の推移

旅客数で振り返る20年
 旅客数の推移から、中部空港の20年を振り返ります。

1. 開港直後の2005年度には愛知万博もあり、国内線・国際線計1235万人の利用がありました。

2. ところが2008年発生のリーマン・ショックでビジネス需要も急落し、旅客数は当初の約7割まで落ち込みました。

3. LCCの新規就航が相次いだことやインバウンドの増加で徐々に回復。2019年度には開港直後を上回る1260万人が利用しました。

4. コロナ禍で国際線の需要が「蒸発」した2020年度や21年度は、旅客数が200万人台まで落ち込みました。

5. その後、回復は続いていますが、2024年度の旅客見込み数は1080万人にとどまっています。

 中部空港会社は、利用者を増やす取り組みも進めています。

 さまざまな飲食店で「名古屋めし」の限定メニューが食べられます。

 「発酵食文化の発信」として、みそおけなど、愛知の食の文化をインバウンド客にアピールします。 

 「20周年の記念グッズ」は、空港のキャラクターをあしらった手ぬぐいや限定ステッカーなど。

 そして、17日から始まった20歳以下の海外旅行を応援する「パスポート取得応援キャンペーン」です。

 今年1月以降にパスポートを取った20歳以下の旅行者が中部空港発の国際線を利用した場合、1人6000円分の免税店クーポンをプレゼント。9月30日まで先着2万人です。
 

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