「岐阜・本巣の大きな宝」BMX小澤楓選手(15) 家族と地域に支えられオリンピック目指す新星

2023年5月18日 17:24
今年4月末に名古屋・栄で開かれた、約2万人もの人が観戦したBMXの日本一決定戦。会場を沸かせたのは、地元の人たちに愛されるオリンピック候補選手でした。

岐阜県本巣市在住の岐阜第一高校1年 小澤楓選手(15)

 岐阜県本巣市で、廃校になった小学校を掃除する地元の人たち。

「掃除のボランティアならできると思って参加しました。本巣の大きな宝、財産ということで全力で応援していく」(地元の人)

 集まった目的は、おらが町自慢の高校生アスリートを後押しするためでした。
 

拠点は父の手造りのBMXパーク

「本巣の大きな宝」拠点は父の手造り
 本巣市の旧根尾村にある、大自然に囲まれたBMXパーク。ここで腕を磨く彼こそ「本巣の大きな宝」です。

 オリンピック種目BMX「フリースタイル・パーク」注目の岐阜第一高校1年生、小澤楓選手。2022年7月、15歳以上のトップカテゴリーに出場できるようになると、中学生でいきなり日本一に輝いた逸材です。

 強さの秘訣が、自宅から車で30分のところにある練習場。この地域で林業を営む父・建司さんの手造りなんです。

「趣味でやるなら全然いらないと思いますけど、本当に世界を目指してやるのであれば、なるべく環境を良くしてあげたい」(父・建司さん)

 総工費は約200万円。半年をかけ2021年。世界基準の施設を完成させました。

「高さ4mから降りてこぐだけめっちゃ飛べるので、この高さから飛べるところはないので、めっちゃありがたいっす」(小澤選手)
 

本場アメリカで武者修行

本場アメリカで武者修行
 このパーク。実は、彼だけのために造られたものではありません。

「たぶん1人だったらパークないっすよ。7人いるからまあいいかって」(小澤選手)

 小澤選手は、なんと7人兄弟(2男5女)の長男。小学生以上の5人がBMXをやっているんです。

 4年前、小学6年の時にジュニアの世界一に輝いた小澤選手。当時から抱いていた夢が、「オリンピックで1位になること」(小澤選手 当時小学6年生)。

 夢の実現のためにいま必要なのは、大技の種類を増やすことです。

 春休みには、妹と2人でBMXの本場・アメリカへ武者修行。東京オリンピックのメダリストなど世界のトップライダーと10日間練習し課題克服に励みました。

「遠征先の選手は、大会ではやらない技も練習しているので、そこも見られたことが良かったです」(小澤選手)
 

世界王者と大激戦

世界王者と大激戦
 今年4月末、成果を試す絶好の舞台がやってきました。

 名古屋・栄で初めて開かれたジャパンカップ。小澤選手が見つめる先には、現世界チャンピオン・中村輪夢選手の姿が。

 2022年に優勝したときには不在だったトップライダーも参戦し、正真正銘の日本一決定戦となりました。

 BMXフリースタイル・パークは、制限時間内にトリックを出し続け技の難度や高さ、完成度などで競う採点競技です。

 家族が見守る中で迎えた決勝。2本のうち良い方のスコアで争います。

 まずは1本目、序盤から新たな技を決めます。しかし、転倒。それでも、チャレンジをした息子を両親は讃えます。

「2本目も落とすことなく、攻めてけって話と楽しんで来いって話をしました」(父・建司さん)

 父の言葉に後押しされ臨んだ2本目。ここでも新技を決めると、転倒したところも難なくクリアします。

「固まっちゃうと、1本目と同じことになるんで開き直ってやることを意識した」(小澤楓 選手)

 失敗を恐れず攻め続け、磨きをかけてきたトリックを次々に決めました。

「世界最高レベルのライディング。ヤバい、ヤバい!」(現地の実況)

 たたき出した得点は85.40で、小澤選手が暫定1位に。2022年の世界選手権を制した中村輪夢選手を上回り、トップに立ちます。

 しかし、その直後。目の前で見せつけられた世界王者・中村輪夢選手の底力。世界一の実力を示され、2位となった小澤選手。それでも、確かな手ごたえをつかみました。

「世界一の本気はすごいなと思いました。なかなか輪夢選手の記録は超せないんで、1回でも超えられたのは良かったなと思います。ここから近づけるように、ちょっとずつ努力していきたいなと思います」(小澤選手)
 

廃校の体育館を屋内練習場に

廃校をリフォーム
 このゴールデンウィークに父・建司さんがいたのは、手造りパークの近くにある小学校。廃校になった体育館に、なんと屋内練習場を作り始めていました。

「ここって雪は降るし風が強いし、やっぱり雨でも乗れる場所が1つあるといいなと思って」(父・建司さん)

 人手が要る作業。BMX仲間だけでなく、手を差し伸べてくれたのが、小澤選手を応援する「本巣五輪の会」(五輪を目指す本巣市の青少年を応援。会員数は153人)のメンバーです。

 中には、1年間手つかずだった敷地内を掃除する人たちもいました。

「環境整備をするために皆さんに声をかけて20人ぐらいが集まっていただけました。やっぱり、小澤さんの大きな夢も一緒に追っていきたいと思います」(本巣五輪の会 北洞賀津拓 会長)

 こうして、この日できあがったのは、幅9m、奥行き11mの巨大スポンジプールの土台。さらなる大技を習得するためのマストアイテムです。

「皆さんが応援して手伝ってくれるし、いろんなことを動いてくれるし、本当にありがたいですね」(父・建司さん)

 地元に愛され、家族に支えられる小澤選手。夢のオリンピックに向け世界へ羽ばたく「本巣の大きな宝」から目が離せません。

(5月18日15:40~放送メ~テレ『アップ!』じもスポ!コーナーより)
 

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