硬式野球に打ちこむ女子中学生と見守る両親 「体重増えて喜ぶ」米は1食1kg、泥んこが当たり前

2023年5月11日 16:35
女子選手では珍しい硬式野球に打ちこむ、岐阜市在住の中学3年生。体格差がありながら男子に混ざり一心不乱に白球を追い続ける彼女と、見守る両親の思いに迫りました。

岐阜市に住む中学3年生 松井澪さん(14)

 学校の授業では先生の無茶ぶりにも、ちゃんと応えるしっかり者。

 岐阜市に住む中学3年生、松井澪さん(14)。

 運動神経抜群の彼女がしているスポーツが、硬式野球です。
 

好きなポジションはピッチャー

硬式野球チーム初の女子選手「後ろから背中を押してくれたり、声をかけてくれる」
 軟式球を主に扱う中学の部活動ではなく、硬式野球チーム「岐阜北ボーイズ」に所属している澪さん。

 実は彼女、このチームに入った初めての女子選手なんです。

 「正直、不安もあったんですけど、男子の選手たちと一緒になって泣いたり笑ったり泥んこになったりしている姿を見て、本当にチームに受け入れてよかったなと思っています」(岐阜北ボーイズ 杉山政治 監督)

 小学1年で野球を始めた澪さん。2歳年上の兄の背中を追うように中学から硬式野球チームに入りました。

 好きなポジションはピッチャー。相手を惑わす落差の大きなカーブが澪さん一番の武器です。

 チームメイトからも「迫力がある」「男女関係なくいいライバル」と言われています。

 「あんまり私が足速くないし、体力もないから、遅くなってみんなに迷惑かけるときもあるけど、後ろから背中を押してくれたり、声をかけてくれるのがみんな優しいなと思います」(松井澪さん)
 

松井澪さん

 週末になると、長い時には8時間。

 一心不乱に白球を追い続けています。
 

家族団らん

帰宅後は家族との一時 母「体重増えたって喜んでいる」
 激しい練習を終え、帰宅した後は家族団らんのひととき。

 食事トレーニングで昼に800gのご飯を食べるという澪さん。冬にはご飯だけで1kg食べていたそうです。

 「体重増えたって言って喜んでいるからね(笑い)。中3の女子で体重増えたって言ってあんまり喜ぶ子いないよね」(母 紫布さん)
 

母 紫布さん

 食事に洗濯、あらゆる面でサポートする母・紫布さん。

 澪さんのよき理解者です。

 「本人のやりたいようにやればいいと思っているいるんです。やりたいって言ったことを否定しない、なるべくこっちから口を出さずに自ら考えて動けるようにしてほしいと思っています」(母 紫布さん)
 

克憲さんと紫布さん

娘との接し方に戸惑う父、送り迎えが貴重な会話の時間に
 一方、父・克憲さんは、娘との接し方に戸惑っているといいます。

 「娘に気遣っているなと思いますね、嫌われたくないんだろうなと。息子とは結構やりあうんですけど、娘には怒らんなと思います」(母 紫布さん)
 「年頃の娘にどうやって接すればいいの?って話」(父 克憲さん)
 「だから、野球の行き帰りはなるべく主人にお願いしているんです」(母 紫布さん)
 

送り迎えの一時

 その送り迎えの様子をのぞかせていただきました。

 「カーブがきょう、めっちゃ決まった。スライダーも1個決まったし、結構よかったかもしれん。でも、インコースのストレートが決まらないなぁ」(澪さん)
 「ぶつけるつもりで投げないと」(父 克憲さん)
 「ひざぐらいにね」(澪さん)

 父と娘をつなぐ大切なツールが、野球です。

 「普段は夫は仕事で、娘が起きてくる前に出勤しちゃうし、娘が部屋に行ってからしか帰って来られなかったりとか多いので、接点がないからこそ、送り迎えだけでもなるべく一緒に過ごしてもらって話をしてもらうように。野球がなかったら、多分しゃべってもらえないね」(母 紫布さん)
 「しゃべってもらえないと思うなぁ」(父 克憲さん)
 「野球があるからしゃべってもらえるんやね」(母 紫布さん)
 

これからも大好きな野球を続ける

両親「『自分で選んだ』という道を見つけてやり抜いて」
 女子中学生では決してメジャーとは言えない野球に打ち込む娘を応援してきた両親。

 「なかなか一緒にいるからこそ、『いつもありがとう』って言えないし、お父さんには結構冷たい反応しちゃうから。でも本当に『ありがとう』っていつも言いたいし、思っているし、そこまでしてくれなくてもいいのにって思うことも両親はしてくれるから、めっちゃ感謝しています」(澪さん)

 「頑張れるところまで頑張ってほしいかな。応援できるところまで応援したいな」(父 克憲さん)

 「親がレール敷くのはとても簡単なんですけど、それでは続かないと思うし、終わった後も後悔してほしくないので、『自分で選んだんだ』という道を自分で見つけて、やり抜いて欲しいですね」(母 紫布さん)
 

松井澪さん

娘は「『ありがとう』っていつも言いたいし思っている」
 「意志あるところに道は開ける」。澪さんはこれからも大好きな野球を続けていきます。

 「もっと野球で活躍して両親に喜んでもらいたいと思うし、将来、野球でどこまでいけるか分からないけど、何か野球に関するお仕事に就けたらいいなって思います」(松井澪さん)

(5月11日 15:40~放送 メ~テレ『アップ!』「じもスポ!」コーナーより)
 

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