横井ゆは菜さん フィギュア人生支えた母と泣いて笑った15年 現役引退 恩返しは「社会人になってから」

2023年3月30日 18:36
この春、中京大学を卒業したフィギュアスケート選手の横井ゆは菜さん。卒業を機に現役を引退した“氷上のエンターテイナー”、競技生活の最後に見せた“らしさ”とは…
「私はいまだに自分が引退することを信じておりません」(引退セレモニーで挨拶する横井ゆは菜さん)

 この春、15年にも及ぶ競技生活に別れを告げた、横井ゆは菜さん。

 スケート漬けの日々をまっとうできたのは、母のさゆきさんという大きな味方がいたからでした。

「母の1日のスケジュールを見ると、私には到底こなせない」(ゆは菜さん)

 

母 さゆきさんとゆは菜さん

普段は気取らないキャラクターがリンクに上がると様々な表情に
 まったく気取らないキャラクターで人気を博してきた名古屋のスケーター。

 焼肉店での取材でも、妹のきな結選手と「めっちゃ丸焦げやん」「大丈夫だって!」と賑やかな姿を見せてくれました。

 ひとたびリンクに上がると…ある時は「10股男に復讐を企てる悪女」。またある時は、「トムとジェリーの世界観を熱演するカメレオン女優」に様変わりします。

 そんなスケート界きっての演技力を武器に、ジュニアの日本一、そして国際大会でもメダルを獲得。グランプリシリーズには4年連続で出場するなど、世界で存在感を放ってきました。


 

母への感謝を語る横井ゆは菜さん

早朝から夜までハードな練習生活 支えたのは母さゆきさん
 小学2年の頃、競技を始めた、ゆは菜さん。2014年の取材。中学時代のとある朝です。「朝練がある時は(睡眠時間は)5時間ちょいです」

 午前4時台に目を覚まし、まだ夜が明けない時間にリンクへ。ハードな練習をこなすと、その足で学校に直行します。「授業中は結構寝ちゃいます(笑)」

 もちろん授業後も練習。これが、ごくありふれた日常でした。スケート漬けの日々を続けること実に15年。その裏には、とてつもなく大きな支えがありました。

「毎朝6時から(練習が)あって、そこから私たちを学校に送って行って、家に10分・20分もいることができずに仕事に行って、ご飯も帰ったら作って…。母の1日のスケジュールを見ると私には到底こなせない」(ゆは菜さん)

 母親のさゆきさん。家事に仕事までこなす傍ら、我が子に尽くしてきました。

「正直余分なことを考える暇がないんですよ。空いた時間は言ったら全部子どもの時間ですよね」(母 さゆきさん)
 

ファンに支えられた横井ゆは菜さん

親子で忘れられない思い出 まさかの最下位に「電話でワンワン泣いて」
 個性的なプログラムを際立たせる衣装の数々。ここにも母のサポートがありました。「一番最初のこの衣装。ラインストーンはお母さんたちが家で付けていましたね」(ゆは菜さん)

 二人三脚で歩んできた横井親子には、忘れもしない思い出があります。2年前、アメリカで開かれたグランプリシリーズ。

「回転がぎりぎりになりました。1回転になってしまいました」(実況)

 ショートプログラム、まさかの最下位。精神的に限界だった彼女を救ったのは、日本にいた母親でした。

「言葉はないです、ワンワンワンワン泣いていて。で(電話を)切ってもまたかけてくるんですよ。子どもに海外から泣きつかれビルから飛び降りたらどうしようとか思い出すと泣けてくるんですけど、こっちも泣きそうになるんですよね」(母 さゆきさん)

「ため込むではなく吐き出すタイプ、そのはけ口にしている感じですかね」(ゆは菜さん)

「はけ口は嫌ですよね(笑)」(母 さゆきさん)
 

練習中のゆは菜さん

引退覚悟の今シーズンは不完全燃焼 母「最後にペースダウンして欲しくない」
 大学4年生となったゆは菜さん。人生の節目となるシーズンを前に、就職活動を終えていました。

「現実的に考えて、やっぱりこれが最後かなって」(ゆは菜さん)

 卒業を機に引退する覚悟で挑んだ今シーズン。ところが、満足のいく演技ができず、不完全燃焼のまま、最後の大会を迎えようとしていました。

「せっかく一生懸命やってきたんで最後にペースダウンしてほしくない」(母 さゆきさん)

「ぱっと見、辞めないって(笑)辞めるって信じてもらえないような演技をすることが目標です」(ゆは菜さん)
 

シーズンベスト3位で競技を終えた横井ゆは菜さん

現役最後の日 母が見守る中、結果は…
 いよいよ、現役最後の日がやってきました。後悔なく引退したい!この時のために猛練習を重ねてきました。

 回転不足すらない完璧なジャンプを次々に成功!持ち前の演技力でも魅了していきます。
 
 ミスのない演技まであとジャンプ1つ…しかしここで転倒。見守っていた母さゆきさんも天を仰ぎます。それでも、シーズンベストをマークし、3位で競技を終えました。

「自分はちゃんと良い練習を積んできたんだよっていうのを見せたいってやっていたので、ちょっとは示せたんじゃないかなと思います」(ゆは菜さん)

「やり切ったんじゃないかと思います。良かったです」(母 さゆきさん)
 

涙ぐむ母 さゆきさん

スケートが楽しかったから両親はやらせてくれた
 そして大会のフィナーレ。ゆは菜さんには、とっておきの花道が用意されていました。

 愛知県スケート連盟が開いた引退セレモニーで最後の雄姿を見せました。

 デビュー作から始まった「ゆは菜メドレー」。スケート界にインパクトを残した過去の名プログラムを次々に披露していきます。氷上のエンターテイナーらしいラストを飾りました。

「私はいまだに自分が引退することを信じておりません。それくらい小さなころから練習するのが当たり前で、きっと楽しかったから両親はやらせてくれたんだと思います。ありがとうございました」(引退セレモニで挨拶するゆは菜さん)

「自分がやりたいことだからそれをやり遂げれて良かったなと思うし、今日みたいなこんな日があると続けさせてこれて良かったなと思います」(母 さゆきさん)
 

セレモニーで最後の挨拶をする横井ゆは菜さん

母への恩返し社会人になってからします
 現役を終えた今..、母親に抱く率直な思いは...

「もちろんありがとうと思っているんですけど、ありがたい環境に慣れすぎて本当に意味で分かるのは社会人になってからかなと思います。社会人になってから(恩を)返します」(ゆは菜さん)

「楽しみにしています。いろいろ(笑)」(母 さゆきさん)


(3月30日 15:40~放送 メ~テレ『アップ!』より)
 

これまでに入っているニュース

もっと見る

これまでのニュースを配信中