岐阜・高山のスキー場「アルコピア」60年近い歴史に幕 「残念でしょうがない」

2023年3月15日 16:20
岐阜県高山市で60年近くにわたって営業してきたスキー場が最後の日を迎えました。訪れた客からは、思い出の場所がなくなることを惜しむ声が聞かれました。

飛騨舟山スノーリゾートアルコピア

 高山市久々野町にある市営のスキー場「飛騨舟山スノーリゾートアルコピア」。12日、59年間の歴史に幕をおろしました。

「長年スキー場に来ていたのでなくなるのはさみしい」(岐阜市から)
「本当に残してほしいと思って、残念でしょうがない」(岐阜・八百津から)

 「アルコピア」は1963年12月にオープン。観光客が多く訪れ、賑わいを見せていました。

 しかし、徐々に客足が鈍くなり、1995年度には20万8千人が訪れていましたが、2005年度には5万9千人と、10年間で約7割の客が減りました。

 2020年度には新型コロナの影響も相まって1万6000人にとどまりました。

「赤字になるかならないかのギリギリ線を毎年きている。公費が入らないと運営できないスキー場であるということは事実なので」(スキー場を運営する ひだ桃源郷 黒木雅之 専務)
 

1963年の様子(提供:高山市)

レジャーが多様化
 高山市によりますと、レジャーの多様化に加え、東海北陸自動車道の開通以降、東海圏からのスキー客が郡上地区のスキー場に流れたことも影響したといいます。

「十分なスキー場としての機能を発揮できないとか、健全な運営が継続していくのが難しいのではと考えた」(高山市観光課 清水浩一 課長)

 近くには別の市営スキー場があり、客を取り合う形にもなっていたため、高山市は検討の結果、2022年4月、アルコピアの廃止を決めました。

 スキー場のオープンとともに営業してきたレストハウスは――

「非常に残念というか悔しいというか、そういう気持ちでいっぱいだった。スキー場ができたのは自分が小4のときで、それからずっとスキーに関わってきて、ここで育てていただいたので、最後は感謝の気持ちは終わりたい」(レストハウス「ヒダフジ」切手法彦さん)

 最終日を迎えた12日には、これまでの感謝のイベントとして、リフト券は半額以下の1000円となり、飛騨牛などが当たる抽選会も行われました。

 レストハウスも多くの人でにぎわいました。

「小学校が交流会を続けていて、アルコピアがラストということで有志でマイクロバス2台で来た。長い間交流会を続けてもらって、ありがとうございましたと言いたい」(三重・南伊勢から)
「最後なので遊びに来ようと思って、子供と主人とみんなで来ている。スキーもここで一から練習してきたので、すごい思い出がある」(岐阜・高山市から)
 

アルコピアの利用者数(資料:高山市観光課)

スキー場の跡地は…
 約600人が最後の滑りを楽しみました。午後5時。59年間にわたる営業が終わりの時を迎えます。

「スキーを通じていろんな人と出会いがあったし、視野も広くなったので僕の宝物ですので、スキー場への思いは胸にずっと焼き付けておきたい」(レストハウス「ヒダフジ」切手法彦さん)

「今シーズン雪不足にも関わらず、みなさんの努力のおかげで、事故なくここまで来て感謝申し上げます。59年間のスキー場を閉じるわけだが、本当にみなさんのお陰でこれまでやってこれて感謝している」(スキー場を運営する ひだ桃源郷 中谷芳政 社長)

 高山市は来年度以降、順次、リフトを解体していくとしています。スキー場の跡地は今後、どう利用されるのでしょうか?

「今あるリフトを撤去して解体を進める、(民有地の部分は)土地所有者に土地を返還する。今後、地域振興策が出てくれば、地域の方々との確認や話し合いもあるかと」(高山市観光課 清水浩一 課長)

 市は跡地の利用について、できるだけ早い時期に結論を出したいとしています。

(3月15日15:40~放送メ~テレ『アップ!』より)
 

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