社会とつながるチーズケーキ  "就労支援"と”チーズテリーヌ店”がコラボ【SDGs】

2023年2月21日 07:38
なめらかで濃厚な味わいのチーズケーキ。名古屋にあるショッピングモールで販売されています。社会とのつながりをつくるチーズケーキとは?
 名古屋市西区のイオンタウン名西に2022年12月オープンした、チーズケーキの販売店「ハグアイビス」。

 チーズケーキやラングドシャなどの商品が並んでいます。

 商品のテーマは「HUG!(ハグ)」

 「ハグ」という言葉が意味するように、人のぬくもりや愛情を、販売する人にも買った人にも感じてほしい。そんな願いを込めて作られています。

 商品の販売を行っているのは、障害者就労支援施設「アイビス東海」に通っている精神障害などの障害がある人たちです。

「障害があることが働くことに対して難しいという訳ではなく、障害がある人を受け入れる環境を整備ができていないことに問題があると思っていて、障害に対する理解を深めながら、どのように一緒にお仕事をしていけるかというところを一緒に考えていく取り組みをしています」(アイビス東海 加藤咲江 社長)

 チーズケーキ販売店で売っているケーキは岐阜市のお店で作られています。
 

卵白はメレンゲに再利用

捨てていた卵白もメレンゲにして加える
 岐阜市にあるチーズテリーヌ専門店「ハグフラワー」

 北海道産の乳製品に、ふんだんに使われたバニラビーンズ。なめらかで濃厚な味わいと、鼻に抜ける甘い香りが楽しめるチーズテリーヌを販売するお店です。

 「おいしいもの、必ずおいしいもの。誰が食べてもおいしいものを当たり前のラインとして試作を重ねていきました。ちゃんと売れる商品にするということがパートナーさん(アイビス東海の通所者)にも大きいということは意味があると聞いていたので」(ハグフラワー 遠藤雄一 社長)

 チーズケーキは「フードロス」を意識して作られています。

 「チーズテリーヌで廃棄する部分、卵白やバニラビーンズを再利用して作ります」(遠藤雄一 社長)

 ハグフラワーの人気商品である、チーズテリーヌを作る際、バニラビーンズは、中の粒だけを使用し、さやは捨てていました。そこで余ったさやを乾燥させて粉砕し、バニラシュガーにして再利用することにしました。

 また、捨てていた卵白もメレンゲにして加えています。

 捨てる材料を使うことで、味にこだわりつつも、価格は抑えたチーズケーキになりました。
 

組み立てやすさを意識した箱

人にも環境にもやさしいお菓子
 「見た目がいいのはもちろんだが、パートナーさんが組み立てやすいという箱づくり、パッケージづくりにしました」(遠藤雄一 社長)

 出来上がった商品を箱詰めするのは、障害がある人たちです。

 箱を線に沿って組み立てる作業は、障害のある人たちにとっては難しいときもあります。

 「箱の硬さもこだわっていて硬すぎるとなかなか力が入りにくかったり、逆に柔らかすぎても変に力が入ってしまって違うところが折れてしまうので、硬さと折りやすさがかなえられる方法で今準備しています」(加藤咲江 社長)

 こうして、障害者就労支援施設とチーズテリーヌ専門店が共同でつくった「HUG!するチーズケーキ」と「HUG!するラングドシャ」。

 コラボしたからこそ実現した、人にも環境にもやさしいお菓子です。
 

接客する宮里千春さん

「より社会参加に近い形で働く場を模索したい」
 店舗では、チーズケーキのほかにも障害がある人が作った雑貨も販売しています。

 これまでは、施設の中でのデザイン業務やレザークラフトなどがメインの活動でしたが今は、施設の中の限られた環境だけでなく、より社会参加に近い形で働く場を模索したいと、初めて店舗での接客に取り組むことにしました。

 「接客がやりたいと思って。ラングドシャを詰めたり箱を作ったりしてきたので、自分がやった商品がお客さんが手に取って、食べてる姿を思うと仕事していてよかったなと思います。」(アイビス東海に通う 宮里千春さん)
 「『これどうやって作るの』とか興味を示してくださった時に、気持ちが通っているなと思うのですごく嬉しい気持ちになります」(アイビス東海に通う 佐藤由香さん)

 接客を受けた客に話を聞いてみました。

「明るい方で、説明も上手だった。人懐っこくて。障害者就労支援を知らない私たちも知ることができるのでいい取り組みだと思います」

 チーズケーキ販売店では、今後もチーズケーキを通して、人と人とのつながりを作ることを目標にしています。

「社会との関わりを実感するのが難しい環境の方が多いので、誰かの手に渡って誰かが受け取った時に幸せの形が続いていくいい循環の中に自分いると実感してもらうためにも取り組みが必要だと考えています。『ありがとう』という言葉をたくさん受け取ってもらい、誰かの役に立つことや、幸せを願うことがすごくいいことだと実してもらいたいと思っています」(加藤咲江 社長)

 (2月20日 15:40~放送メ~テレ『アップ!』より)
 

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