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「原材料高」「光熱費の高騰」「賃上げ」…現場の声は切実、候補者の経済政策は【愛知県知事選】

2023年2月1日 17:54
2月5日に投票の愛知県知事選挙についての現場の声を聞きました。岡崎市にある「悩める石窯パン屋さん」では、看板商品を3回も値上げ、パート従業員の賃上げ問題も抱えています。
 愛知県の岡崎駅から車で5分ほどの場所にあるパン屋。

 店頭には、食パンから、サンドイッチなどの調理パンまで、たくさんの商品が並びます。

 店主の戸谷博之さん(52)は、大手企業に勤めていましたが、27歳の時に会社を辞め、パン職人としての修行を経て、2003年に店をオープンしました。

 パンを発酵させるための「酵母」は自家製で、作るパンに合わせて、酵母を使い分けています。

「野生種に近いグリーンレーズンから発酵させた状態のエキスになっています。すごく細かい泡が上がっていて、これがパン膨らませている」(石窯パン工房プース 戸谷博之さん)

 また、愛知県産の小麦100%の食パン(1本620円)や、地元のブランド鶏「岡崎おうはん」の卵を使ったプリン(パン職人が作る本気のプリン270円)など、素材にこだわるパン屋です。

「ここは特に手作り感があって、おいしいです」(買いに来た客 70代)
 

店の看板「石窯」を一時止める事態に

新型コロナの影響も重なり、利益がゼロになった時期も
 お昼時には、次々と客が訪れる地元で人気の店ですが、新型コロナの感染拡大や、原材料高、さらに光熱費の高騰で大きな影響を受けています。

 お店の名前でもある「石窯」で、オープン以来、20年近くパンを焼いてきましたが、この冬から使うのを一時、止める事態に。

「20年間営業して初めて今年は、この石窯の熱を切った。火を入れてない。それは、燃料費はあまりにもかさみすぎて、どっかで抑えていかないと赤字になる。でもやっぱね石窯で焼くと、パンは美味しいんです。ちょっとね違うんですよね」(石窯パン工房プース戸谷博之さん)

 ガスを使う石窯の場合、ガス代が月に20万円ほど増えてしまうため、いまは、電気のオーブンのみでパンを焼いています。

 また、原材料では、チーズの価格が2倍ほどになるなど、多くの商品で仕入れ値が上がりました。

 人気のチーズ食パンは3回にわたり販売価格を上げざるを得ず、2021年10月に1100円でしたが、今は1430円に。

 新型コロナの影響も重なり、利益がゼロになった時期もありました。

 利益が出せない以上、パートの従業員のシフトを減らし、自らが働いてカバーをしました。

「多いときは20時間ぐらい働いていますよね。ちょっと休みながらですけどね。拘束時間がそれぐらい」(石窯パン工房プース 戸谷博之さん)
 

愛知県の最低時給(厚労省 愛知労働局のHPより)

「国から丸投げされてもすごく困る」
 一方、経理を担当する奥さんの慶子さん(44)は、高まる賃上げの機運について、頭を悩ませています。

 この店では、パートの従業員を9人雇用していて、これまで、愛知県の最低時給の引き上げに合わせて、昇給を行ってきました。

 ただ、地域に密着した個人店のため、原材料高や、光熱費の高騰に加え、「賃上げも」となると、経営は厳しいと話します。

「たかが(昇給が)10円20円だけど、売り上げがない限りはどこから捻出するんだっていう話で、国から丸投げされてもすごく困る。個人店の努力だけではもうどうしようもできない」(経理を担当する妻・慶子さん)

 個人事業主としては、賃上げの難しさを口にしますが、慶子さんは、3人の子供を育てる母親でもあり、事業主として感じる「時給を上げる難しさ」と、主婦として感じる「時給を上げたい」という両方の思いを抱えていました。

「自分が実際、主婦として買い物に行ったときに、この量でこの値段になっちゃうんだって思う。うちのパートさんたちは、すごく、うちのパンが好きで、(働きに)来てくれているから、給料のことは何も言わないけど、時給が最低賃金で、買い物できるのって本当ごくわずかで、申し訳ない気持ちもあります」(経理を担当する妻・慶子さん)
 

原材料高・光熱費の高騰・賃上げなど多くの難題

「原材料高」「光熱費の高騰」「賃上げ」
 また、慶子さんは、個人事業主だから「自己責任」だと捉えられているのではないかと、話します。

「個人事業主は勝手に事業を始めているから、自分たちで何とかしてくださいと言われているような印象があって、いろんな政策とか、助成金とかもあるが、やり方を教えてもらう場所があまりにもなくて、すごく煩雑で、諦めちゃう部分が多い」(経理を担当する妻・慶子さん)

 「原材料高」「光熱費の高騰」「賃上げ」さらに「行政からの支援を受ける難しさ」など多くの難題がありますが、商品の値上げをしても、買いに来てくれる客のために、事業を続けていきたいといいます。

「お客さんから受け取るお金の重みは、すごく感じる。買いに来てくれるのは本当に重たいし、お客さんが来てくれるからまた頑張ろうと思う」(経理を担当する妻・慶子さん)
 

愛知県知事選候補者(※届け出順、年齢は投票日時点)

各候補者の経済政策や物価高への対策
(以下届け出順)

◆安江朗さん(55)
・減税に取り組み、納付期限にも柔軟な対応をする。
・賃上げのため、県としてできる対策を行う。
・経営難で苦しんでいる企業に事業継続のための助成金を準備

◆末永啓さん(37)
・県民税減税を名古屋市と歩調を合わせて実施する。
・新型コロナ関連予算を減らして、若者や企業の支援にあてる経済政策を行う。

◆山下俊輔さん(60)
・減税を進める。
・「ものづくり王国あいち」を更に発展させる。

◆上原俊介さん(46)
・消費税の時限的削減や、原子力発電の再稼働を国に申し入れ負担の軽減を進める。
・新たな雇用を生み出すための政策を行う。

◆尾形慶子さん(65)
・消費税を5パーセントにするよう国に要請する。
・光熱費の補助制度を作る、社会保険料について県としても補助を行う。

◆大村秀章さん(62)
・幅広い業種の中小企業、個人事業主への資金繰り支援を継続する。
・子育て世帯への給付金などの支援を継続する。

(2月1日15:40~放送メ~テレ『アップ!』より)
 

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