子ども食堂「気軽に朝食を食べに来て」 “食べる子”と“食べない子” 教科の平均正答率に差が

2022年12月6日 10:14
人権週間に合わせ、子どもを取り巻く問題、新たな取り組みをシリーズでお伝えします。きょうは、学校に行く前に朝食を出す「子ども食堂」です。
 名古屋市中川区にある八幡(やわた)中学校で、子どもたちの下校時間に合わせて、チラシを配っている人たちがいます。

 中川区で、子ども食堂「ささやか」を運営する鬼頭伴周さんとボランティアの人たちです。

「月に1回子ども食堂をやっておりますので、それに合わせて月に1回、ビラ配りをさせていただいてます。」(子ども食堂ささやか 鬼頭伴周さん)

 鬼頭さんが子ども食堂を始めてからまだ8カ月。

1人でも多くの子どもに知ってもらい、利用してもらうためチラシを配っているんです。
 

廃棄されるパンをいただく

売れ残ったパンを、無料で分けてもらい、子ども食堂で提供
 月1回開く子ども食堂の前の日。

「こんばんは~子ども食堂です。いつもありがとうございます」(鬼頭さん)

 鬼頭さんが向かったのは、クロワッサンが有名な地元で人気のパン屋さん。

 売れ残ったパンを、無料で分けてもらい、子ども食堂で提供しています。

「どうしても余ってしまったパンは捨ててしまうので、なので食べてもらえるのはとてもうれしい」(小さなパン家 後藤亜紗美さん)

「地域のパン屋さんが協力してくれているので心強い」(鬼頭さん)
 

さわやかで提供される朝食

朝食を取らない児童 学力の低下や、病気になりやすい
 そして当日。

 多くの子ども食堂では、学校が休みの日に“昼食”を出しますが、「ささやか」では、平日にビーフシチューとパンを“朝食”として出します。

 まだあたりが暗い中、仕込みを始めます。

「国のデータでも、朝ご飯を食べてない子は、食べている子に比べて、学力の低下や、病気になりやすいといった点がデータとして出ている」(鬼頭さん)

 文部科学省が実施した、2021年度の「全国学力・学習状況調査」の結果によると、小学6年生のなかで、朝食を毎日食べている子と、全く食べていない子では、各教科の平均正答率の差が10~15ポイントほどありました。

 そのため、「子ども食堂ささやか」では、平日に朝食を提供しています。

 そして、午前7時をすぎ、登校前の子どもたちがやってきました。

「おはようございま~す。いただきます」(子ども食堂を利用する児童)

「Q.きょうのお味は?」(鬼頭さん)
「おいしいです」(利用している児童)
 

調理をする鬼頭さん

大したものは提供できないから「ささやか」と名付けた
「子ども食堂ささやか」では、生活が困難な家庭の子どもだけではなく、朝食を取りたい子どもが誰でも気軽に無料で利用できます。

 「ささやか」という名前にもこだわりが。

「やはり自分は料理の腕がそんなにないので、大したものは提供できないということから、『ささやか』って付けさせていただきました。どういう環境下で育ったとしても、やっぱりご飯は3食食べた方がいいと思いますし、そこら辺は社会全体、支え合っていくのが一番いいと考えてます」(鬼頭さん)
 

火を使わない調理実例

火を使わない料理を教える食堂の発展
 名古屋市によると、市内の子ども食堂は、先月1日時点で、83カ所。

 それぞれの特色を打ち出す動きも広がってきました。

 こちらは、名古屋市によると、名古屋で最初に子ども食堂を始めた北区の「わいわい子ども食堂」新たな取り組みを進めています。

 子どもたちが1人でも調理ができるよう包丁や火を使わずに作れる料理の教室です。

 この日作ったのは、五平餅や、鶏肉とごまの和え物、味噌汁、おにぎりです。

 参加した子どもたちは...。

「(普段は料理の)手伝いとか、切ったりとかする。楽しかった。おいしかったから、これとこれをまた作りたい」(5年生)

「楽しかったから、また家で作りたい。難しい、ハンバーグとかも作ってみたい」(6年生)
 

実習をする子どもたち

自分で作って食べる楽しさを知ってもらうことが大切
 この教室を主催した、「わいわい子ども食堂」の杉崎さんは子どもたちが自分で作って食べる楽しさを知ってもらうことが大切だと話します。

「親がたまたま遅いとかね、そういうときでも、ご飯ちゃんと食べれるっていう簡単なメニューを覚えてもらうっていうことと、食育、そういうものを兼ねて取り組んでいます」(わいわい子ども食堂プロジェクト運営委員長杉崎伊津子さん)
 

実習中の子どもたち

食堂だけではなく食育、学習支援も考える
 杉崎さんは、子ども食堂で食事を提供するスタイルから子どもが自分で作る支援に続く、さらに次のステップを考え始めています。

「子ども食堂に来ている、困難な家庭の子との出会いがあったときに学習支援という形で、子供を置き去りにしない、誰でも全ての子供をやっぱり、きちっと学力をつけていくのは大事だなと思っております」(杉崎さん)

「やっぱり子供たちが歩いて気楽に行ける環境のところに子供食堂があるっていう環境をどうつくるかが課題で、その中で、困難な子を見つけたら、どこでどうフォローしていくか。学習支援の場所だったり、もうちょっと違う場所だったり、それは様々あっていいと思っていますが、そういう場所がいくつもあるっていうことが大事なんじゃないかなと思ってます。」(杉崎さん)

(12月5日 15:40~放送 メ~テレ『アップ!』より)
 

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