子育て支援とAI活用で人口増加 岐阜・瑞穂市の施策

2022年10月27日 18:00
 人口の減少に歯止めがかからない日本で、若い世代を中心に、住民が増えている街が岐阜県にあります。カギを握るのは”子育て支援”。新たにAIを使った取り組みも始まっています。
 日本の総人口は、前の年と比べておよそ64万人減り、減少幅はついに過去最大となりました。

 少子高齢化が進み、11年連続で人口が減り続けている日本で人口対策は「待ったなし」の課題です。
 

結婚などで20~30代の転入

30年間で1.4倍人口増加「家をもって住む場所として瑞穂市は、いい場所」 
 こうしたなか――

「家をもって住む場所として瑞穂市は、いい場所なんじゃないかな」(瑞穂市民)

 まもなく収穫シーズンを迎える「富有柿」の産地で、岐阜市と大垣市の間に位置する岐阜県瑞穂市。

 実は、1990年からの30年間で、人口が1.4倍の、約5万6000人となりました。

 人口の増加を支えているのは結婚などがきっかけとなった、20代から30代の転入です。
 

瑞穂市は家が安く購入できる

名古屋へのアクセスも良く 環境も良く 子育て世代にうれしい町 
 2人の子を持つこちらの女性は引っ越して3年ほどになるそうです。

「出かける場所が、けっこうショッピングモールとかも、本巣市に行けばモレラ岐阜があったり、大垣のほうに行けばイオンがあったりとか、岐阜の方も駅前とか、いろいろお出かけする場所が近くにたくさんあるので。休日とかどこいくとなったときにあまり困らないのがいいなと思っています」(2人のお子さんをもつ瑞穂市民)

 市外への道路のアクセスも良くJRを使えば名古屋まで30分ほどで行くことができます。

 市は、子育て環境の整備にも力を入れていて高校生までの医療費は無料となっています。

 さらに、こんな声も――

「例えば家なんかも安ければ2000万円切った建売が売ってるんですよ。結局安い、家が持てるというのが若い世代たちが入ってくるから、ちょうどその人達ってみんな子どもが生まれるとか、ちっちゃいお子さんがいる人たちがローンを組んで家を持つので、当然、子供の数も増えてくるということじゃないですかね」(瑞穂市民)
 

公私連携型で民間委託 0歳から預けられる

待機児童減らす対策にも前向き  公私連携型で民間委託で0歳から預けられる
 子育て世代を中心とした人口増加に成果を出している瑞穂市。

 しかし、直面している課題もあります。「待機児童」への対策です。

「まだまだ保育所の施設数も充足していない状況が続いていますので、市としてもまだまだ保育所の新設を考えています」(瑞穂市幼児教育課 今木浩靖課長)

 市は2019年からは、こんな取り組みを始めました。

「こちらの園は公立の園だったんですけれども、公私連携型で民間委託をされました」(ほづみの森こども園 徳永華子園長)

 ほづみの森こども園は、民間が主体となって運営し、市も補助金を出すなどして協力する“公私連携型”

 かつて市が運営していた、この園は「3歳以上のみ」を受け入れていましたが、2019年に民間委託され、「0歳から3歳未満」も対象となりました。
 

保育所の入所選考を短縮へチャレンジ

待機児童がゼロになっても 入所選考結果をを早く知らせる新たなチャレンジへ
 こうした取り組みで、待機児童がゼロになった、瑞穂市。

 今年、新たにチャレンジしているのは「保育所の入所選考」にかかる時間の短縮です。

 市によると、希望者の増加に伴い、去年は申し込みから選考結果が出るまで3か月ほどかかっていました。

「まだまだ希望の保育所に入れない状況が続いていますので、早く結果をお知らせすることによって希望にそぐわない場合でも、すぐに次の手をうつができるということで導入を決めました」(瑞穂市幼児教育課 今木浩靖課長)
 

入所選考の短縮図

保育所入所選考に“AI”導入 70時間かけていた作業が7時間に
 導入を決めたのは、AI(人工知能)。

 「保護者の就労の有無」や「同居の親族の介護」「兄弟と同園希望」など20以上の項目から行う判定作業について人の手ではなくAIに任せることで、結果通知が2週間ほど早くできるそうです。

「早くなるのはいいですね。ずっと待ってるとちょっと不安があるので。もう一年くらいブランクがあるので、ただでさえ仕事復帰するのも不安があるので。少しでも早く(結果通知を)もらえたらうれしいです」(保護者)

「初年度ということもあり、手作業でも確認しながら、自分たち選考したらどういう結果になるということもあわせながら同時進行しながら作業をしていきたい」(今木課長)
 

入所選考が10分の1に

AI選考で作業時間が大幅減 通知が早く届けられる
 作業はどのように進んでいくのでしょうか。

 まずは、AIが認識しやすいよう改良された申込書をパソコンに取り込みます。

 AIが正確にデータ化しているか、職員も確認します。

「通常は職員で様式をみながら手で入力していた。それが何人もの職員で70時間ぐらいかけていたんですけれども、これを導入することによって約7時間ぐらいで納めることができて10分の1のこう効果がでてきている」(瑞穂市幼児教育課 平林玲央さん)
 

今までの10分の1で入所選考ができる

AIを使ってスムーズな保育園入所選考で 住みよい街への一助へ
 申し込んだ全員分のデータが集まったところで――

「これからAIの入所選考を行います」(平林さん)

 待つこと1分――

「はい、でました。これまでだとかなりの人数で10日前後をかけていた処理が瞬時にでますので、その分確認だったり今後のクラス編成をこの結果を踏まえてどういう風にしようか考えたり、検討に時間を費やすことができます。何度か入所選考のシステムを使いながらみなさんが希望の園に入れるような受け入れ枠を検討していきます」(平林さん)

 市は、スムーズな選考にむけ今後もAIを活用していく方針だということです。

(10月27日 15:40~放送 メ~テレ『アップ!』より)
 

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