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「サンマ」が小さい・細い・値段が高い! 不漁で高値の「サンマ事情」客も店も悩むワケ

2022年9月21日 21:13
秋の味覚が、2022年も大ピンチ。今が旬のサンマですが、2022年も値段が高いです。さらに、追い打ちをかけるかのように、「細い」という声が上がっています。サンマがこぶりな状況は、いつまで続くのでしょうか?
 夜明け前、21日午前3時過ぎの「名古屋市中央卸売市場本場」

「こちらに並んでいるのは、昨日水揚げされた、北海道産のサンマです」(記者)

 競りにかけられたのは、秋の味覚・サンマです。一見、活気があるようですが…。

「最近だと5000~6000ケースというのもあったが、(21日は)台風の影響でほとんど入荷がない状態です」(名古屋海産市場 小平隆二さん)

 台風の影響で漁に出られなかったり、配送に遅れが生じたりしたため、21日のサンマの競りは、80ケースにとどまり、わずか3分で終了しました。

 

名古屋市中央卸売市場(21日)

「小さい、細い」今年のサンマ
 そうした中、仲買業者らは、2022年のサンマについてこんな声を…。

「小さいな~。細いな~。この仕事を42年やっているが初めて」(仲買業者)

 競りの担当者によると、21日のサンマは、1匹が110グラム程度で、昔に比べて小ぶりとのこと。

「以前は200グラムから180グラムが主体だったが、だいぶ小さくはなっている。(8月末の)スタート当初は100グラムが一番大きかったが、いまの中心サイズは110グラムから100グラム。(かつては)加工品や冷凍、輸出などに出回っていたサイズ」(名古屋海産市場 小平隆二さん)

 「名古屋市中央卸売市場」のサンマ1キロあたりの8月の平均単価は1174円。10年前(2012年)の同じ月は、626円でした。

 小ぶりながらも、不漁のため、高値で取り引きされているサンマ…。しかし、ちょっと嬉しい情報も聞けました。

「徐々には大きくなってる、最初に比べると。最初は小さかった。今は最初の倍ぐらい大きくなった」(仲買業者)
「ちょっと大きくなってきた一時より。丸みもでてきている。食べてもおいしいと思う」(仲買業者)

 

サンマ1尾240円(ウオダイプラス鹿山店21日)

気になるサンマのお値段は?
 21日の名古屋のスーパー。

「鮮魚コーナーの通路中央に並んでいますね。新さんま。値段は、1尾240円」(記者)

 旬のサンマが、この時期1匹240円。例年の1.5倍ほどだといいます。

「例年だと1尾100円か150円くらいだと思う。せっかく秋の味覚を食べてもらいたいので、寂しい気持ちになる」(ウオダイプラス鹿山店 鮮魚担当 相川卓摩さん)

「サンマ、高い…」(お客さん)

 お客さんも、なかなか手が伸びません。

「200円切ってほしいですね。ちょっと手が出ない」(お客さん)
「サンマといえば大根おろしが欲しいけど、大根も高いからね、だからどっちも食べないね」(お客さん)

 ちなみに1匹240円という値段。この時期、サンマより高いはずのアジの値段を超えています。更に高級魚「子持ちアユ」の1匹の値段に近づく勢い。昔は「庶民の魚」でも、今や「高級魚」です。

 

2022年の入荷はたったの3回

「サンマ事情」に客も店も悩み
Q:何を見ていた
「厚み、サンマが薄いと、甘露煮にしたいが、薄いとおいしくないから」(サンマを見る夫婦)

 こちらのご夫婦は5匹を購入しましたが。

「高いです。前は10匹くらい買って、甘露煮してお友達にあげたり。3時間は煮ますから、厚くないとペラペラだから」(サンマを購入した夫婦)

 大きさや脂ののり具合。店頭に出せる品質のサンマを手に入れるのに、スーパーも苦労しています。

「大きいものをなるべく探してきているが、結局大きいと値段も、どうしても上がってしまうので」(ウオダイプラス鹿山店 鮮魚担当 相川卓摩さん)

 例年9月後半には、6回ほど入荷するといいますが、2022年、入荷したのは、たったの3回。

 仕入れ値も、2倍ほどに跳ね上がっているといいます。

「秋の味覚といえばサンマというくらいヒット商品だが、全然入ってこないから、喜んでもらえないのは悲しいところ」(ウオダイプラス鹿山店 鮮魚担当 相川卓摩さん)

 

和食の森 森喜久治さん

繁華街のサンマの需要は?
 名古屋栄の繁華街。飲食店ではサンマの需要はどうなっているのでしょうか。

 居酒屋「和食の森」は錦で店を構えて12年目を迎えます。確かな味とサラリーマンの懐に優しい食事を心がけてきました。

 最近は「魚介類の値上げが厳しい」と話すなか、さらに庶民の味のサンマの値上げについては…

「(サンマの値上げは)異常です。2倍から3倍の価格。常連から『今年はないのかな』という声はありますが、高いからと断っている」(和食の森 森喜久治さん)

2021年もサンマをメニューに出すことができませんでした。今朝、市場で5匹仕入れてみましたが。

「だいぶ細いですよね。細くて小さい。塩焼きだと脂ののりもよくないから、がっかりされてるかも」(和食の森 森喜久治さん)

 そして値段も。

「(仕入れ値が)1本300円ほどです。通常は(塩焼きが)500円くらいが700円~800円になるので、みなさん注文しづらいと思う。もう高級魚に入っている」(和食の森 森喜久治さん)
 

サンマの開き550円

サンマの干物をメニューに
 そこで森さんがいまメニューに出しているサンマが。

「あまりにも値段が高く、干物のサンマの開きを焼いて出している」(和食の森 森喜久治さん)

「干物ならではのコクがあり、おいしいです。でも、新サンマのはらわたの苦みを感じながらクッと1杯いきたいところですね」(記者)

 食材に恵まれる秋に入って、料理人にとっては腕の見せ所です。

「旬のものは取り入れたいが、涼しいシーズンに入ってきたので、野菜をふんだんに使った鍋料理などでやっていきたい」(和食の森 森喜久治さん)

 

2021年はわずか1万8千トン(全さんま調べ)

漁師の声は…
 「サンマの町」として知られる三重県熊野市。

 例年、秋から冬の時期は、市内の遊木漁港で、サンマを水揚げする光景がみられます。

 過去40年の日本の水揚げ量は、多い時には年間30万トンを超えていましたが、ここ10年で大きく減少し、2021年はわずか1万8千トンでした。

「全然漁に出ていないのは丸2年」(熊野漁協 濱田徳光 組合長)

 「サンマの町」は、この2年で深刻な事態になっていました。

「何年も前からサンマが回遊しなくなって、少量だけどとれていたのがこの2年で全然取れなくて。サンマが来てくれたらぜいたく言わずにすぐにでも取りに行きたい」(熊野漁協 濱田徳光 組合長)

 

日本近海ではなくエサが少ない沖合にサンマが増

サンマについて専門家は
 最近のサンマ事情について水産庁の委託を受けてサンマの研究をおこなう専門家は。

「サンマが細いとか小さいというのはこの数年続いている状況。サンマの太る時期というのは漁期が始まる5~8月くらい。ここでどれだけエサを食べられるかが漁期にサンマが太っているかどうかに関係してくる」((国研)水産研究・教育機構水産資源研究所 巣山哲さん)

 調査では、ここ数年エサとなる動物プランクトンが多い日本近海ではなくエサが少ない沖合にサンマが増えていることが分かっています。

 そのため、十分にエサを食べられず、細く小さいサンマが目立つのではと推測されます。

 

(国研)水産研究・教育機構水産資源研究所 巣山哲さん

なぜ、沖合にサンマは移動?
「(メカニズムは)はっきりわからないが、(近海に)サバやイワシが増えて、なかなかサンマがはいりこめる余地がないのもあるようです。サンマに聞いてみないと分からないですが…。サバは魚を食べる特性があるので。直接的な敵になるだろうと。マイワシは、濃密の群れになってさも1つの大きな生物にみえるようになるので、それをサンマが嫌って逃げていくのかもしれない」((国研)水産研究・教育機構水産資源研究所 巣山哲さん)

 また、サンマ漁を行う国や地域が増えたことも漁獲量が減っている要因のひとつだといいます。
 
 日本の食卓からサンマは遠のいていく一方なのでしょうか。

「2022年7月に『サンマ長期漁海況予報』水産庁から私たちの調査結果を基にしたものですが、2021年より(来遊量は)増える可能性もあるということで、2021年より多少は良くなると考えている。太ったサンマがとれる機会もできてくるだろうと考えています」((国研)水産研究・教育機構水産資源研究所 巣山哲さん)

(9月21日15:40~放送メ~テレ『アップ!』より)
 

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