急激な円安、「1ドルコーヒー」の価格にも波及…常連客の判断は

2022年9月16日 17:42
急激な円安が、東海3県にも様々な影響を及ぼしています。エサ代の高騰で、特産品の名古屋コーチンは飼育現場に変化が起きています。飛騨の日本酒は、売り上げが大きく回復してきています。
 円安が止まりません。

円相場は今年の3月上旬には、1ドル=114円台だったのがこの半年間で140円台となりました。

 9/16午後2時時点で、1ドル=143円台で推移しています。

 そんな円相場を価格に取り入れている店がありました。

 行列ができるほどの、名古屋市東区の加藤珈琲店 栄店です。

 豊富なコーヒーと、サンドイッチなどのフードメニューが人気の店。

 実は、円相場に応じて、テイクアウト用のコーヒーを「1杯1ドル(+税)」で販売しているんです。

毎日変わるテイクアウトコーヒーのお値段、9/16は1杯税抜き143円、店での最高値を記録しました。

 円安に店は...。

「今年の3月から円相場が上昇しまして、当店のテイクアウト1杯あたり20円~30円ほどお値段あがっておりますけど、相変わらず変わらないご注文を常連様からいただいています」(加藤珈琲店 栄店 眞柴裕士さん)
 

20年以上続ける“1ドルコーヒー”

1ドルコーヒーも高値に
 最も安かった2011年頃は70円台だったということで現在はお約2倍の価格に。

 買いに来たお客さんの反応は。

「ものすごくいいと思う。会話のきっかけにもなるので、僕自身も日本円が1ドルいくらになるのか気にするようになった」(20代会社員)

「面白いなと思いました。昨日もうちょっと安かったけど高くなったとか、この前より安くなってるとかけっこう楽しいですよね」(20代大学生)

 閉店の時間帯の円相場をもとに翌日の価格を決めているこの方法。

20年以上前に始まったということですが、なぜ始めたのしょうか?

「当店の周辺はオフィス街で、サラリーマンが多いので、円相場を気にして普段生活している方も多いので、円相場でかわるテイクアウトのコーヒーきっかけに当店のコーヒーに興味持ってほしいという思いがある」(加藤珈琲店 栄店 眞柴さん)

 この円安はいつまで続くのか? 専門家は意見は。

「この円安傾向も、来年の春くらい、年明け以降も円安傾向で、場合によっては1ドル150円台から160円を目指す展開になる可能性もあると思います」(中京大学 内田 俊宏客員教授)

「これだけ円安が続いてコーヒーの値段も上がっているにもかかわらず、常連のお客さんにかわらず注文してもらってとてもありがたいです」(加藤珈琲店 栄店 眞柴さん)
 

エサの調整をして育てられる名古屋コーチン

特産品のエサ代が2倍に…
 とあるブランドにわとりの鶏舎に伺いました。

 通常より生育に時間をかけ、強いうまみを凝縮させた肉が特徴の、高級ブランドにわとり「名古屋コーチン」。愛知の特産品にも円安の影響が…。

 県内8カ所の契約農場で名古屋コーチンを育て、加工後に全国へ卸しているこちらの業者。

 エサに混ぜているトウモロコシや大豆などの原材料は多くがアメリカからの輸入品です。

 そのため2年ほど前から円安の影響をじわじわ受け…今では1羽あたりのエサ代がおよそ300円も増えたといいます。

 農場1カ所あたりでは、年間およそ1000万円のコストアップになるそうです。

「なかなか、これといった対策が正直ないのが…現実」(南部食鶏 杉本 康明社長)

 対策として、24時間いつでも食べられる状態だったエサを1日3回に減らした農場もあるといいます。

 発育への影響が気になるところですが、餌を食べ続けている鶏がいたり、食べ残しがありましたが、回数が減った結果、鶏たちは、これまでより集中して食べるようになったそうです。

「ほとんど大きさも変わらないし肉質も全く変わらない」(南部食鶏 杉本社長)
 ひとまず鶏たちへの影響は回避できましたが。一方で、需要の8割が飲食店の名古屋コーチンは、円安のあおりのみならず、新型コロナによる“外食離れ”の影響も重くのしかかってきます。

「最近になって少しずつ少しずつ戻ってきたのでこのまま第7波が落ち着けば飲食店にお客さんが戻ってくれるかなという思いでやっている。まだまだ厳しい状態が続いているので農家にとっても我々にとっても体力勝負だなと常に思っているます」(南部食鶏 杉本 康明社長)
 

海外から観光者

5万8000本の輸出 国内向け減少もカバー
 一方、円安の恩恵を既に受け始めた企業も。

「輸出が、昨年約2万7000本、1年間ありましたが、なんと今年は、その倍の5万8000本まで上方修正。非常にありがたいです。」(渡辺酒造店 渡辺 隆専務)

 飛騨市の渡辺酒造店です。コロナ禍、飲食店の休業などで、国内向けの出荷は一時2,3割も落ち込みました。t

さらに、海外への輸出もストップしたといいますが、円安の影響で、4月頃から海外への輸出が加速。

 国内向けの販売が減少した分もカバーする売れ行きだといいます。

「円安になってから、まとめ買いが北米を中心に非常に多くなっている。トラック2台3台。一気に出荷できるようになっています。」(渡辺酒造店 渡辺専務)

 電気代やボイラーに使う重油代など深刻な燃料費高騰さえも、跳ね返す勢いだと期待するのは、インバウンドの復活。

 現在1日あたり5万人とされる入国者数ですが、秋にも入国者の上限が撤廃される見通しです。

「先月もオーストラリアや韓国から、わざわざこの蔵をめがけて来ていただております。5万人撤廃、観光立国・日本というのができたら、より日本酒が広まってくれるのかなと期待しています。」(渡辺酒造店 渡辺専務)
 

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