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「文字や写真とは違う情報」半世紀前の紙すきの映像を調査 後継者不足に悩む美濃和紙の未来につなげる試み

2022年8月17日 21:08
日本が世界に誇る伝統工芸品、美濃和紙。奈良時代から続く歴史がありながら「後継者不足」に直面している現状を少しでも変えていきたい、古い映像資料をきっかけにした新たな試みが始まりました。
 2022年5月、3年ぶりに開催された岐阜県美濃市の「花みこし」。美濃和紙で作られた「花」が、町を桜色に彩りました。

 障子や掛け軸など和風建築に欠かせない「和紙」。

 美濃和紙は、1300年以上の歴史を持ち、2014年には「本美濃紙」がユネスコの無形文化遺産にも登録されました。
 
 そして、東京オリンピック・パラリンピックの表彰状にも「手すき」の美濃和紙が採用され、話題となりました。

 しかし今、最盛期には5000軒ほどあった紙すき職人の工房はわずか17軒のみ。「後継者不足」という課題が、重くのしかかっています。

 「家業を継いでいる人がもう途切れつつあるので、あと10年もすれば地元の職人って何人残るんだろっていう心配はあります。今の職人さんたちもこれから美濃の手すき和紙を背負っていってほしいので、なるべく古い資料を大切にしていきたいと考えています」(美濃和紙の里会館 須田亜紀 館長)
 

鑑賞会の様子

課題は後継者不足 活路は「古い映像資料」
 伝統工芸のかつての姿が記録された「古い資料」。

 7月、貴重な映像を見る会が開かれました。

 鑑賞したのは、昭和時代の和紙作りを知る地元の人たち。

 当時の記憶があふれ、次々と映像の登場人物の名前が出てきます。

 「懐かしい。私がちょうど20歳のころ、家で紙をすいていました」(「漉き娘の会」の女性)
 「昔は午前2時とか3時に起きて皆映像に出てきた人も紙をすいていました」(「漉き娘の会」の女性)
 

母が映った映像を見る後藤さん

50年以上前の母の姿に再会
 中には、思わぬ人との「再会」も。

 後藤悟さん(81歳)は、50年以上前の映像に母の姿が残されていました。

 紙すき職人として働いていた母。

 しかし、悟さんが選んだのは別の道、学校の事務職員でした。

 「紙の仕事していたって食っていけるわけがない、もうかりもしない。サラリーマンで他所で勤めてみたら給料はもらえるし、こんないいことはないと親が職を探してくれた」(後藤悟さん)

 高度経済成長の時代。

 地方から多くの若者たちが大都市へと、働きに出ました。

 また、生活の洋風化が進み、和紙の需要は減っていきました。
 

映像の場所を案内する後藤さん

映像の場所は今…「映像が残っていること自体が貴重なこと」
 映像の場所は、今どうなっているのか。

 後藤さんに案内してもらうと、紙すきをしていて家は空き家に、作った紙を天日干しをしていた場所も敷地に作られた石垣がわずかに当時の姿を残しているだけでした。

 伝統工芸の今と昔とを繋ぐ動画。

 その中で生き生きと働く先人たちの姿が今、未来への「希望」になろうとしています。

 「映像が残っていること自体が貴重なことだと思います。文字とか写真とかで得られる情報と映像で得られる情報は全然違うと思うんです」(美濃和紙の里会館 須田亜紀 館長)
 

現役の職人に映像を見てもらう試み

映像に映っている人々や使われている技法などを調査
 実は、メ~テレが60年近く前に撮影した映像の中に、紙すき職人の映像が残っていました。

 開局60周年を記念し、東海3県全市町村の貴重な映像を特設サイト「あなたのマチの秘蔵映像」で公開したところ、美濃市が運営する美濃和紙の学習施設から連絡がありました。

 映像に映っている人々や使われている技法などを調査し、美濃和紙のさらなる可能性を模索する試みがスタートしたのです。
 
 「タイムマシンでもなければ、昔の様子は見に行くことはできないので、こういう時代を経て自分たちがいるんだよってことを認識して、これからにつなげてもらいたいと思います」(美濃和紙の里会館 須田亜紀 館長)
 

地元生まれの職人・小澤由美さん(57)

映像を見て欲しいのは現役の職人
 市の施設は、調査で資料を残していくだけでなく、現代の紙すきを担う職人にこそかつての姿を見て欲しいと考えています。

 小澤由美さん(57)は、紙すきを受け継ぐ数少ない地元生まれの職人です。

 主に表彰状や障子に使われる紙を手掛けています。

 「お嫁に行って外から紙すきを見てみて、やっぱり紙すきってすばらしい仕事だったんだなって思いました」(小澤由美さん)
 

地元生まれの職人・小澤由美さん(57)

 「伝統を残したい」という思いで弟子入りをしたのは、実の父・石原英和さん(87)。

 「今では娘が一番上手にすきますね。紙すきのDNAがあって成長が早いかなと思います」(父・石原英和さん)
 「紙すきの音が私の家の音って感じで、お父さんがすいている音、お母さんがすいている音っていうのに近づきたいと思ってすいています。中々難しいけど」(小澤由美さん)

 父の元で修行を続け、紙すき歴は10年以上に。工房を任せられたのは1年半ほど前の事です。

 『お客さんに『いい紙だった』と言ってもらえるような職人になりたい』、そんな夢と共に、毎日技術を磨く小澤さん。

 かつての紙すきの映像を見てもらうと、そのスピードに驚き、さらに動く大先輩たちの姿には発見がいっぱいです。

 「本物の蝶が入っているのもすごいなと思いましたけど、古いところを見て、自分もまた新しいところを始めていかないといけないなと思って。刺激にはなりました、すごく」(小澤由美さん)

(8月17日 15:40~放送メ~テレ『アップ!』より)
 

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