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コロナ禍で増加する児童虐待 「異変に少しでも気づいてくれたら」ネグレクト被害者が語る実情と思い

2022年6月16日 07:30
18歳未満の子どもへの児童虐待が増え続ける中、8日、子どもを守る新たな法律が成立しました。親から虐待を受けた女性が、当時の辛い思いを話してくれました。
「小学校2年生の時に両親が家でけんかをして、母親が最初に出て行って、翌朝には父親もいなくなっていったっていう感じでですね。その状態が1カ月近く続いていて、児童相談所に保護してもらったというかたちです」(児童虐待を受けた女性)

 名古屋市内で暮らす女性は、約12年前に両親から虐待を受けました。きっかけは父親と母親の殴り合いのけんかでした。

 自宅に子どもを放置する育児放棄「ネグレクト」です。

「母親が家を出ていく時に『もう会えないかもしれない』と言われたので、それが『もう戻ってこないんだな』っていう確信はありました。『誰でもいいから助けて』っていう一言を伝えれればよかったなと」(児童虐待を受けた女性)
 

18歳未満のこどもへの虐待対応件数(2010年~2020年 出典:厚生労働省)

増加の背景に新型コロナの影響 専門家「親が子に当たる事例が増えている」
 こうした児童虐待は、年々増加しています。厚生労働省によりますと、2020年度に全国の児童相談所が対応した児童虐待の対応件数は、20万5000件に上ります。10年前に比べて約3.6倍となっています。

 児童虐待の対応件数の増加について、名古屋市中区で虐待防止活動をしている専門家は、新型コロナの影響を指摘します。

「2020年のコロナ禍が始まって、特徴的な傾向がありました。特に女性がコロナ禍で経済的な基盤を失ったと。ステイホーム、全国の学校で一斉休校がありまして、そのことにより、家庭の中で親と子が濃密な関係を過ごしてきた。母親のいら立ちがピークになり、子どもに当たっていく事例が増えているなと」(CAPNA 山本秀樹副理事長)

 虐待に関する相談が全国から寄せられていて、相談員がメールや電話を受けています。

「高校2年生です。両親から受けている物を投げる・顔や身体を殴るなどの身体的虐待、精神的虐待に悩んでいます」(男性相談者からのメール)
「今まで言われた暴言としてはブス、最低なやつ、バカなんじゃないの、馬鹿な子は嫌いだよ、など」(女性相談者からのメール)

 相談は、子育てに悩む親からも来ています。

「宿題をやらないことをきっかけに何度も怒鳴り、何度も手をあげてしまい、完全に虐待でした」(子を持つ女性相談者からのメール)

「今まで虐待の潜在化していたケースが、少し目に見える形で顕在化してきたと考えれば、件数が増えたことは悪いことではないと考えています。周りの温かい人の目に触れることで児童相談所や警察署に通報するということになってきているのかなと思います」(山本秀樹副理事長)
 

「改正児童福祉法」により、一時保護の必要性を裁判所が審査

「改正児童福祉法」が成立 一時保護の必要性を裁判所が審査
 児童虐待で、子どもが死亡した事件も起きています。2022年2月、愛知県一宮市の住宅で、当時生後9カ月、3歳、5歳の娘3人を殺害したとして、警察は27歳の母親の女を逮捕しました。

 こうした事件が相次ぐ中、新たな法律が成立しました。

「本案は全会一致をもって可決されました」(8日 参院本会議)

 成立したのは「改正児童福祉法」です。児童相談所が、虐待を受けた子どもを親から引き離す「一時保護」を行う際、裁判所がその必要性を審査することになります。

 これまで、児童相談所が子どもを一時保護する際に、親とトラブルが起きて保護が遅れるケースがありました。一時保護するかどうか裁判所が審査することで、トラブルを防ぎ子どもをいち早く保護する狙いがあるということです。
 

児童虐待を受けた女性

「異変に少しでも気づいてくれたら…」
 児童虐待を受けた女性は小学2年生の時、中学1年生の兄と3歳の妹と暮らしていましたが、両親が子どもを残し家出をしたことで生活が一変しました。

「父親は起きたらいなくなっていた。確か、お金が机の上に置いてあって、そのまま帰ってこなくなったっていう感じでした。1万円ぐらいじゃないですかね。使い方も自分たちもよく分かっていなかったので、すぐなくなってって感じで。乾燥麺をぽりぽり食べていた記憶があるので、後半はしんどかったんだろうなと思います」(児童虐待を受けた女性)

 両親がいなくなってから児童相談所に保護されるまでの1か月間で、1度だけ学校に登校しました。しかし…。

「先生に何も聞かれず、やんわり、ふんわり『どうかした?』って聞かれはしたんですけど『何もないです』でごまかして。助けを求めたいけれど、親が帰って来た時に何か言われたらどうしようっていう恐怖もあったりして、言えなかったですね。学校の先生が何か異変に少しでも気づいてくれたら、状況は変わると思うので」(児童虐待を受けた女性)

 児童虐待は、その後の人生にも大きく影響するといいます。

「トラウマというか、ふとした時にフラッシュバックすることもあるので、自分の人生にとってめちゃくちゃ大きいことだと思います。自分で生んだのなら責任もって育ててほしい」(児童虐待を受けた女性)

 厚生労働省は「虐待かもしれない」と思ったら、児童相談所の全国共通ダイヤル「189(いち早く)」に連絡してほしいと呼びかけています。
 

名広愛児園で生活する子ども

虐待は「親子ともほぼ自覚がない」 止めるには「周りが気づくことが大切」
 名古屋市昭和区の児童養護施設「名広愛児園」では、様々な事情で家族と暮らせなくなった2歳から18歳の約40人が生活しています。

 入所する子どもの6割程度は虐待を受けたとみられ、特に「ネグレクト」が多いといいます。

「一歩間違えれば、この子たちも命を失っていたのかなというケースはいくつかあります。子どもたちは、自分は虐待を受けたという認識は小さい子ほどないと思います。親はしつけということで、自分が虐待したという認識が少ない場合が多いです。周りが気づいてあげることが大切だと思います」(名広愛児園 松浦豊純さん)
 

児童虐待に当たる行為(NPO法人「CAPNA」 山本秀樹副理事長より)

「虐待かも」と思ったら児童相談所の虐待対応ダイヤル「189」に連絡を
 NPO法人「CAPNA」の山本秀樹副理事長によると、次のような行為も虐待に当たるといいます。

ケース1「夏の暑い日に、駐車場に止めた車に鍵をかけて幼児乗せて置き去りにする」

「エンジンをつけたままとはいえ、エンジンが止まった時に子どもがどうなるのかを考えれば、当然虐待に当たる」(山本秀樹副理事長)

ケース2「夜中の2時、3時まで睡眠もさせずに勉強をさせる」

「親は付きっきりで勉強を見て『子どものため』と言いますが、子どもの目線から見ると虐待に当たりうる」(山本秀樹副理事長)

 子どもにとって不利益なことがある場合は虐待に繋がります。山本秀樹副理事長は「しつけなのか虐待なのかは、子どもの目線で決まってくる」と述べています。

 厚生労働省では「虐待かも」と思ったら、児童相談所の虐待対応ダイヤル「189」に連絡をしてほしいとしています。通報した人が名乗らなくてもよい匿名制度もあります。

(6月15日 15:40~放送 メ~テレ『アップ!』より)
 

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