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サンマの町から消えたサンマ 漁獲量も人口も激減の町で漁師になった女性の挑戦「衰退か活性かしかない」

2021年12月9日 08:06
 かつて、サンマ漁でにぎわった町が苦境に立たされています。サンマがとれず、人口も減少。そんな中、地元・三重県にUターンし、漁師となった女性が新たなチャレンジを始めました。
 黒潮が豊かな恵みをもたらしてきた三重県熊野市。

 銀色に輝くサンマの丸干しは、冬の風物詩。

 北海道から南下し、熊野灘で獲れるサンマは脂が適度に抜けています。

 サンマ寿司は郷土料理として親しまれてきました。
 
 しかし今、「サンマも獲れない静かな漁師町かな」「過疎地帯で人がいない、子どももいない」と地元の住人は話します。
 

熊野市のサンマ漁獲量(熊野漁協調べ)

サンマも人も「消えた」町…漁獲量減に指摘される様々な要因と人口流出
 サンマの町から、消えたサンマ。

 熊野漁協によりますと、2012年度に900万tあった水揚げ量は翌年、急激に減少。

 2016年度には、ついに「ゼロ」となり、2021年も全く獲れていないといいます。
 

熊野市の人口比較

 なぜ、熊野でサンマが獲れなくなったのか。

 そもそもサンマの数自体が減っている、黒潮の流れが変わってサンマの回遊ルートがより沖合に移った、など様々な原因が指摘されています。

 漁師歴57年、漁協の組合長を務める濱田徳光さんは次のように話します。

 「悲しいかな漁師は定年がないからね。体の続く限り仕事ができるんだけれども、漁業もこんな状態なので、今とれるものだけをとって、細々とやっていくしか、今のところ…ないやなぁ…」(熊野漁業協同組合 濱田徳光 組合長)

 熊野の人口も減り続けています。

 市の外に出て仕事を求める人たちが増えた結果、1960年と比べて半分ほどになっています。
 

Uターンで漁師になった田中りみさん

「漁師になりたい」漁師として働くためにUターンした女性、地域活性化への挑戦
 しかし、その熊野市にUターンした女性がいます。

 田中りみさんです。

 高校を卒業後、上京して働いていましたが、4年前から地元で漁師として働いています。

 「もともと漁師になりたいと小さいころから思っていたので、一時期は諦めていたんですけど、漁師になれてうれしいです。大変な事もいっぱいあるんですけど、楽しいが勝つので、とにかく楽しいです」(漁師 田中りみさん)

 ふるさとが直面する厳しい現実に対する思いも語ってくれました。

 「『漁師が減ってる、漁獲が減ってる、昔からのやり方がずっと続いてる』、改善されるわけがないですよね。そこを何とか改善したいなと思っていて、いろいろ考えてやってるので。このまま衰退するか活性するかしかないと思うので、私は」(漁師 田中りみさん)
 

熊野を案内できる「ガイド」を育成する試み

熊野市の「ガイド」育成プロジェクト始動、漁業の体験ツアーを企画
 衰退する町のために、何かできることはないかと新たな活動に向け、タッグを組んだのは地域のコミュニティづくりなどに取り組む桑名市の会社です。

 「漁師がいなくなったら魚を食べられないのは事実じゃないですか。だから何かできないかなと思います」(On-Co 水谷岳史 社長)

 海の魅力と抱えている課題を広く発信し、多くの人に伝えたいと他の地域に住んでいながら熊野を案内できる「ガイド」を育成する試みが始まりました。

 11月、開催した体験会には東京などから7人が参加しました。

 「どうやって遊べばいいかとか、ここに行ったら宿があるとか、ここは車を停めさせてもらえるとか、ここに行ったらご飯が食べられるとか、スーパーがあるとか、そういう情報を知っている人を増やして、その人たちがツアーガイドとしていろんな人を連れてこられる仕組みが作れないかなと思っています」(On-Co 水谷岳史 社長)
 

体験ツアーにはアメリカ人も参加

 「ガイド育成ツアー」の参加者は、漁船に乗りこんで定置網を引き揚げ、とれたての魚を調理するなど熊野の漁を実際に体験しました。

 「漁業は全く勉強したことはなかったが、現地で漁業だったり生産者の行動を実際に見てみたいなというのがあって参加しました」(参加した大学生)
 「最高です。自分で魚を釣って、釣った魚をさばいたりして、それを食べるのが楽しくて、うまいっす! また来たいなと思います。できれば3回4回とか楽しんで、みんなぜひ遊びに来てください」(参加したアメリカ人)

 こうした漁業の体験ツアーは、2022年1月も実施されるということです。

 「体験に来てくれたり、長期で滞在してくれる人がいたら、ちょっとずつ活性化すると思うので、都会の人が来て移住したいという人もいたり、そういうきっかけになればいいなと思っています」(漁師 田中りみさん)
 

濱田徳光さんと田中りみさん

サンマから真珠へ…新たな収入源の模索も 「こんなにいい海があるのにもったいない」
 一方、濱田さんが組合長を務める熊野漁協は、サンマ漁に代わる収入源を模索しています。

 それが、真珠づくりに使うアコヤガイの養殖。

 2021年、熊野市が中心となって二木島湾で実験が始まり、養殖が軌道に乗るかどうか調査が進んでいます。

 ともに熊野市で生まれ、漁師をしている濱田さんと田中さん。

 年は離れていても、ふるさとへの熱い思いは同じです。

 「これだけ漁業が衰退していく中で、『漁業をやる』と、漁師が好きなんだなぁと。なかなか漁業をやる人がいない中で、嬉しい気持ちやけどな」(熊野漁業協同組合 濱田徳光 組合長)

 「こんなにいい海があるのにもったいない。他の地域から親世代もいっぱい来てもらって、子どもに伝えて体験させて、魚が好きになったとか漁師になりたいとか言ってくれると嬉しいので、何かちょっとでもきっかけになれればと思います。私的には未来はあると思います」(漁師 田中りみさん)

(12月8日 15:40~放送 メ~テレ『アップ!』より)
 

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