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肌の色の悩みから救った母の言葉 13年間追った馬瓜エブリン選手 女子バスケ日本代表に内定

2021年6月30日 15:59
まもなく開幕する東京五輪。ガーナ人の両親のもとに生まれ、今、日本代表として世界の舞台で戦おうとしている1人のバスケットボール選手がいます。約13年間、メ~テレはその姿を追い続けてきました。

日本代表に内定した馬瓜エブリン選手(26)

 7月1日、バスケットボール女子日本代表に内定した、愛知県出身の馬瓜(まうり)エブリン選手(26)。

 ゴール下へ鋭く切り込むスピードに、シュートの決定力を持ち合わせたオールラウンドプレーヤー。そして時には…

「では聞いて下さい。ミュージックスターティン」(会場を盛り上げるエブリンさん)

 プレー以外でも、陽気なキャラクターと弾ける笑顔でファンを魅了。バスケットボール界のムードメーカーです。

 しかし、その笑顔の裏には、思い悩んだ過去がありました。

「自分は何でこんな体をしているの?とか、どうしたらいいの?と、ずっと(母に)聞いていました」
 

子どもの頃のエブリンさん

「どうして肌や髪の毛が違うの?」13年前の作文につづった悩み
 馬瓜エブリンさんは、アフリカ・ガーナ出身の両親の元、愛知県豊橋市で生まれ、東郷町で育ちました。

 今から13年前の2008年。法務省・人権作文コンテストの愛知県の最優秀賞を受賞したエブリンさんをメ~テレは取材していました。作文のタイトルは…『笑顔になるために』
 
「私は母に『どうして私は日本語をしゃべれるのに、肌や髪の毛や体は違うの?』と質問しました。すると『あなたは日本人じゃなくてガーナ人だからそれが普通なの』と母は答えました。『人と違うところを悲しむのではなく、喜びをもって最大限に生かしなさい』」(授賞式で作文を読みあげるエブリンさん 当時13歳)

 “見た目の違い”を、からかわれていた子どもの頃。人と話すことが怖くなり、1人で過ごす時間が増えていきました。

「本当に嫌で、大人になったら手術しようとかいろいろ考えていた。何もしゃべらなくてはいいのではという気持ちが大きかった」(エブリンさん 当時13歳)
 

エブリンさんと母のフランシスカさん

救ってくれたのは、母が教えてくれた「笑顔の力」
 そんな時、救ってくれたのは、母・フランシスカさんの言葉でした。

「もし誰かが『あなたは黒い』と言ってきても『私はガーナ人だから黒いのよ』とニコニコと笑えばいい。その人はまた『黒い』とは言えなくなる。ニコニコして仲良くするのが1番いいといつも話している」(フランシスカさん)

「すごく気持ちが楽になったというか、肩の力が抜けた感じですね。面白いことに変えて、相手が笑うから自分も笑えるという感じ」(エブリンさん 当時13歳)

 ”笑顔の持つ力”に気づいたエブリンさん。次第に周囲にも、その“スマイル”が広がっていきました。

「皆に優しくて平等です」「クラスのムードメーカーみたいな みんなを明るくしてくれる」(中学校の同級生 2009年)



 

13歳の頃のエブリンさん

13歳の時から目標は、バスケ日本代表
「家ではいつもボール触っています。(ボールは)友達です。生きています」(エブリンさん 当時13歳)

 小学生から始めたバスケットボール。夢中になって練習を続けるうち、みるみる頭角を現し、この時、すでに目標は…

「日本代表選手です。日の丸を付けてプレーするのが1番の目標です」

 将来性を見込まれ14歳の時、U-16の日本代表に選ばれました。

 当時のエブリンさんの国籍は「ガーナ」。日本代表として国際大会に出場するため家族全員で、「日本国籍」を取得したのです。

「国を背負うことはみんなの思いが詰まった日本代表。みんなの思いを叶えるために、しっかりやらなきゃいけない」(当時14歳)

 

妹の馬瓜ステファニー選手(22)

妹・ステファニー選手も日本代表候補
 現在は、名古屋を拠点に活動する実業団チーム「トヨタ自動車アンテロープス」に所属。日本代表を輩出する、強豪チームです。

 ここには、3人制バスケの日本代表候補となっている妹のステファニーさん(22)も所属。姉妹そろって、東京オリンピック出場を目指しています。

 ステファニーさんも10歳の頃、取材にこう答えていました。

Q.2人で日本代表になったらすごいね?
「はい」
Q.なってみたい?
「うん、なってみたい」
Q.目標は?
「2人で一緒に日本代表になる事」
Q.なれそう?
「うん」

 これまで、バスケットでもプライベートでも、落ち込んだ時は、互いに支え合いながら、乗り越えてきました。
 
「家族みんなで1つの目標(=東京五輪)に向かってずっとやってきて、それが達成する瞬間、わからないですけどどうなるか、その時にみんなが笑顔でいてくれたらいいなと思う」(ステファニーさん 5月)

 

練習するエブリンさん(2020年2月)

ケガで笑顔が消えた去年 五輪延期が転機に
 しかし去年、エブリンさんからは、その”笑顔”が消えていました。

「何だろな…何だろな…ガッと気持ちが上がってこない。シュートが外れて不安になったりとか…初めてバスケットちょっとやりたくないな、みたいな事がありましたね」(エブリンさん 2020年2月)

 オリンピックイヤーを迎えたにも関わらず、ケガや体調不良などから不安な日々が続いていたのです。

 春になって、オリンピックの1年延期が決定。これがエブリンさんにとって、転機となりました。

「気持ちを整えるということで、散歩であったり、自然の中に行くことを結構するようになって、バスケも一瞬忘れつつ、自然の中で自分自身が何が好きなんだろうとか、そういうのを考える時間がかなりよかった」

 YouTube『えぶの部屋』ではキャンプを楽しむ姿も公開しています。

 さらに、自身のプレーも、1から見直しました。

 どんな体勢からでも、確実にシュートが決まるよう、ボールを離すタイミングや角度など、改めて体に覚え込ませます。
 
 

Wリーグ初優勝を決め抱き合うエブリンさんとステファニーさん(映像提供:バスケットLIVE)

姉妹で目指す日本代表&メダル「2人しかできないこと」
 そして、迎えた今年。

 3月には、所属する「トヨタ自動車 アンテロープス」が、リーグ戦のファイナルに進出。そしてWリーグ初優勝を決めた瞬間、エブリンさんはコート上でステファニーさんと抱き合いました。

 妹のステファニーさんは、5月に行われた「3人制」のオリンピック予選でMVPを獲得。日本代表を東京五輪に導く立役者となりました。

「1日1日を大切にしながら自分たちが成長できるように、成長した姿をみなさんにおみせできるように、最終的にはメダルをとれるように頑張ります」(ステファニーさん)

「姉妹でオリンピックに出て、違う競技ではありますけど、同じバスケットでメダルをとれたら、それこそお母さん号泣だと思うので。2人しかできないことだと思うので、すごく楽しみですね」(エブリンさん)

(6月30日 15:40~放送 メ~テレ『アップ!』より)
 

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