ウミガメの産卵場所に「生活ごみ」 拾うごみの数だけ救われる命がある(メ~テレSDGs企画)

2021年6月11日 08:00
 ウミガメの産卵場所としても知られる三重県ですが、海岸や海の中はウミガメの命を脅かす「あるもの」であふれていました。三重県の海で今、何が起きているのでしょうか。
 8日、三重県鈴鹿市の浜で、何かをひきずったような跡が見つかりました。正体はウミガメです。

 ウミガメの保護活動をしている市民団体「ウミガメネットワーク三重」が、調査のために掘り起こすと、砂の中から真っ白な卵を発見しました。

 鈴鹿市の浜で産卵が確認されたのは、実に7年ぶりだといいます。

 「今年初めてです。鈴鹿にも来てくれるんだなって」(ウミガメネットワーク三重 米川弥寿代さん)

 伊勢湾から熊野灘一帯は産卵地として知られ、5月下旬から8月にかけてウミガメが浜にやってきます。

 ウミガメネットワーク三重によりますと、四日市市から津市の砂浜では、この7年間で、少なくとも46回の産卵が確認できたということです。
 

浜に落ちていたガスボンベ

ガスボンベにダウンジャケット…浜辺にごみが散乱
 しかし、ウミガメの生の営みが、今、脅かされています。

 「あ、ボンベちゃう?」(ウミガメネットワーク三重 米川弥寿代さん)

 浜に落ちていたのは、なんとガスボンベです。ペットボトルやお酒の瓶のほかに、ダウンジャケットのようなものも落ちていました。

 今年4月、ウミガメネットワーク三重のメンバーが、産卵シーズンを前に津市の海岸で清掃活動をしました。

 新型コロナの感染拡大前は、約430人が参加する大規模な清掃をしましたが、去年は中止に。今は人数を絞って活動を続けています。
 

三重県の海岸漂着物調査の結果(2009年11月~2010年10月)

「カメに不自由のない浜にしたい」
 メンバーの1人、津市内に住む小学6年生の白石波音くんです。

 海が大好きな両親の影響で、2歳の頃からウミガメに興味を持ちました。将来の夢は、ウミガメの飼育員です。

 「ごみを捨てて欲しくないという気持ちが強いです。キレイで何一つカメに不自由のない浜にしたいと思っています」(白石波音くん)

 三重県の調査によりますと、海岸に流れ着くもので最も多いのは、流木などの自然ゴミです。人工物で2番目に多いのは、ペットボトルやライター、食品の容器など、私たちが出す「生活ごみ」です。

 8日に産卵があった鈴鹿市の浜でも、ウミガメはごみの山を乗り越えていました。生まれたばかりの子ガメにとっては、小さなごみでも大きな障害です。

 海の中も安全ではありません。
 

保護したカメの体内から出てきたごみ

ウミガメの体内から出る人間の生活ごみ
 三重県紀宝町にある「ウミガメ公園」では、誤って漁業の網にかかった野生のカメの保護をしています。

 保護されたカメには「ある共通の特徴」があるため、飼育しているカメとは水槽を別にする必要があるそうです。

 「野生のウミガメはほぼ100%海洋ごみを食べているので、プールのカメと一緒にしてしまうと、ふんとして排出されたごみが、またほかのカメのお腹の中に入ってしまうことがある。体内のごみが出るまでは分けている」(ウミガメ公園 飼育員 伊藤柊也さん)

 今年2月に保護されたウミガメの体の中から実際に出てきたものを見せてもらいました。

 「農業で使われた黒いシートとかのごみやプラごみ、ビニールのひもですね。お腹の中から見つかるっていうのはなかなか問題だとは思いますね」(ウミガメ公園 飼育員 伊藤柊也さん)


 ウミガメが教えてくれた、今の「海の現実」です。
 

浜に落ちていたマイクロプラスチック

「マイクロプラスチック」分解には400年以上
 さらに深刻なことも。

 一見キレイに見える浜にも、たくさんのプラスチックごみが隠れています。

 伊勢湾の環境問題を研究している四日市大学の千葉賢教授は、流木などが帯状になっている場所がポイントだと言います。

 「これ緑の分かりますか?これが人工芝の欠片なんですよ。こういう5mm以下のプラスチックのことをマイクロプラスチックって言うんですよね。プラスチックはそんなに強くないので、紫外線や温度差、波の作用で砕けていく」(四日市大学 環境情報学部 千葉賢 教授)

 直径5mm以下のプラスチックの粒、マイクロプラスチックです。

 小さくなってしまえば、回収はほぼ不可能。ペットボトルの場合、分解に400年以上かかるといわれています。

 「広い意味ではどこにでもあります。マイクロプラスチックの帯のようにも見えますよね」(四日市大学 環境情報学部 千葉賢 教授)
 

産卵にきたウミガメ

人が食べる魚からもマイクロプラスチックが…
 マイクロプラスチックの影響は、ウミガメだけではありません。魚介類を食べる私たちも、他人事ではないのです。

 「伊勢湾のマイワシのお腹の中のマイクロプラスチックを調査してますけど、まだ数は少ないけど、ほとんどの個体からマイクロプラスチックが見つかるんですね」(四日市大学 環境情報学部 千葉賢 教授)
 
 マイクロプラスチックそのものは体の外へ出されても、付着している有害物質が体内に残る可能性が考えられています。

 「プラスチックを使わなくていいものは使わないようにしていく。プラスチックを使ったら、外へ流出しないようにするということです」(四日市大学 環境情報学部 千葉賢 教授)
 

白石波音くん

拾ったゴミの数だけ救われる命がある
 波音くんたちが清掃活動をしている津市の浜でも、たくさんのマイクロプラスチックが見つかっています。

 「これはプラスチックかな。ウミガメの口の中に入ってしまう危険性があるので、なくしてほしい」(白石波音くん)

 「持続可能な海」を三重から。ごみを持ち帰ること、ごみを減らすこと。私たち一人一人ができることから始めること。

 波音くんたちは、拾ったごみの数だけ救われる命があると信じて、今年も三重の海で、ウミガメの訪れを待ち望んでいます。

 「ごみを拾ったり、小さな流木を拾ったり、ウミガメが上陸・産卵、子ガメが海に帰って行って、また大人になって上陸・産卵を繰り返せるような海や浜にしていきたいと思います」(白石波音くん)

 ウミガメネットワーク三重(090-5600-0221)では、四日市市から津市の砂浜で産卵に訪れたウミガメの足跡を見つけた場合の情報提供を呼び掛けています。
 

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