食糧危機の救世主「コオロギ」 愛知のメーカーで即完売の人気商品が誕生(メ~テレSDGs企画)

2021年2月10日 10:39
 国連の発表によりますと、早ければ2030年ごろには、世界的な食糧不足、特にたんぱく質が不足すると予想されています。そこで今、「ある昆虫」に注目が集まっていて、愛知のメーカーが商品開発に取り組んでいます。
 2020年12月。

 オンラインで行われたノーベル平和賞の授賞式で、世界食糧計画のビーズリー事務局長は食糧不足の危機を訴えました。

 国連によりますと、新型コロナのパンデミックの影響もあり、世界では30億人が健康的な食事をする余裕がない状態だといいます。

 そこで、国際機関が推奨しているのが動物性食品、中でも昆虫食です。

 昆虫は、飼育がしやすく、環境への負荷が軽いことが特徴です。

 オランダの科学者、ファン・ハウス教授によりますと、例えば、1kgのたんぱく質を作るために必要なえさの量は、牛に比べて5分の1以下で済むということです。

 乾燥させて粉にすると、輸送コストが下がり、長期保存も可能です。
 

コオロギのフィナンシェ(6個入り 2160円)

名古屋の企業が「ある昆虫」をオシャレなお菓子に
 昆虫食というとなじみが無さそうですが、東海地方でも古くから、イナゴや地バチの「へぼ」などが食べられてきました。

 そこで、「Pasco」で知られる敷島製パンは、ある生き物に注目。

 2020年12月に、その生き物を使ったフィナンシェとバゲットを発売しました。

 通販限定で販売したところ、発売開始からわずか2日で用意したすべての商品が完売。

 好評だったことから、1月に再販売しましたが、今度は1時間で完売するほどの人気ぶり。
 

コオロギのバゲット(540円)

食用に養殖された「コオロギ」を加工
 注目のある生き物とは「コオロギ」。

 敷島製パンで使われるコオロギは、高崎経済大学の研究室から立ち上がった大学発のベンチャー企業が手がけた商品です。

 タイにある工場で徹底的な衛生管理のもと、食用に養殖されたコオロギをパウダー状に加工したものです。

 敷島製パンは、コオロギのフィナンシェとバゲットを製造するにあたって、専用の設備で、一般の製品とは分けて1つ1つ、手作りしています。

 設備を分けたのは、食品アレルギー対策のためです。

 「コオロギにはエビ・カニと同じようなアレルギーが出る可能性があるといわれております。一般の製品に混ざる可能がありますので、未来食Laboという専用の工場で作るうにしております」(フィナンシェ開発担当 木下靖章 主任)
 

コオロギのパウダー

「コオロギ」が受け入れられるかどうか不安だった
 また、初めて使う食材のため、開発も苦労したそうです。

 「コオロギと言ってもいろいろと種類がありまして、コオロギの種類や与えられているエサによって、味や食感がだいぶ変わってくるんですね。中にはえぐみを感じるものや、口の中にざらつきが残るようなものもございまして、その選定に時間を要しました」(コオロギのバゲット開発担当 沖田真由さん)

 コオロギを使った食品が消費者に受け入れられるのか不安があったといいますが、それでも開発したことには理由があります。

 「食料の安定供給というのは、食品メーカーとして一番大事な責任だと考えております。コオロギ自体は優れた食材でもありますし、将来のたんぱく源でも優れたものでありますので、この商品をきっかけにして環境問題や未来の食の問題について考えていただけるようなお客様が増えてくれるようなポジションのブランドになりたいなと考えております」(SDGs経営推進グループ 松澤萌子 チーフ)
 

こおろぎ醤油(1640円)

「コオロギ」が大豆の変りに? 味噌醤油業界のチャレンジ
 豊富なタンパク質を含むコオロギは、これまでの食品の「替わり」になることも期待されています。

 愛知が誇る醸造業、味噌醤油業界もチャレンジしています。

 その名もズバリ「こおろぎ醤油」。

 愛知県豊田市で創業から100年近く木桶を使い、昔ながらの製法で味噌を仕込む蔵元、「野田味噌商店」が開発しました。

 「こおろぎ醤油に関しては、大豆を一切使わずに、大豆の代替として、コオロギの粉末を使用して、主原料の一番最初にコオロギが来るというものになっています」(野田味噌商店4代 目野田好成さん)

 「こおろぎ醤油」には、100ml1本当たり、約480匹分のコオロギのパウダーが使われていて、味噌と同じ技術で熟成されています。
 

大豆の代わりにコオロギの粉末を使用

「こおろぎ醤油」どんな味?
 この「こおろぎ醤油」、初回製造分はすべて完売。

 2月に2度目の「こおろぎ醤油」が絞られる予定です。

 気になる味は、しっかりとした「うま味」と「甘み」が特徴で、クセが無く、お刺身や、お餅などにも合うそうです。

 長く続く蔵元が「コオロギ」を原料に醤油を作る。

 過去と未来が交差する木桶の中には、蔵元としてのこだわりが詰まっています。

 「環境負荷とか、食料問題という点でコオロギが取り上げられているんですけど、食べることって喜びとか幸せの1つなので、よりおいしく食べるとか、どうしたら食べられるかっていうのを今後やっていきたいと思っています。伝統だったり今までやってきたことを大事にするというのが非常に重要だと思うんですけど、その中で新しい取り組みをするというのが、本当の意味で未来に伝統を残せることなんじゃないかと感じます」(野田味噌商店4代目 野田好成さん)

(2月10日 15:40~放送 メ~テレ『アップ!』より)
 

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