持ち家売ってでも店残したい 売上激減のバー店主、過酷な一年間と叶わぬ休業

2021年1月27日 14:09
 新型コロナ感染対策のため、飲食店に出された休業や時短営業の要請。お酒を飲みながらバーのマスターと語り合う風景は、縁遠くなってしまいました。三重県の津駅前で、最も古いと言われるバーの経営者が過ごした過酷な1年を取材しました。

JO’S BAR 山田譲二マスター

 JR津駅前に、ひっそりと佇む「ジョーズバー」。

 ウィスキーを中心に1000種類以上の酒をそろえ、28年間続く名店として地元で繁盛してきました。

 マスターは、山田譲二さんです。

 「2019年4月の1カ月の売り上げが239万5800円ですね。2020年4月は、9万9900円。9万9900円って言うと、一晩でそういう売上の日がありますからね」(JO’S BAR 山田譲二マスター)

 2019年4月から5月にかけ、1回目の緊急事態宣言を受け、バーは15日間休業し4月の売り上げは前の年に比べ、20分の1以下に落ち込みました。

 「2020年2月の下旬からコロナの蔓延で感染者が急激に増えてきて、それとともにお客さんの数が激減しましたね」(JO’S BAR 山田譲二マスター)

 津市はその後、休業や時短要請の対象になることはなく営業を続けてきましたが、お客は減る一方。

 3人いた従業員には給料が支払えなくなり、やめてもらわざるを得ませんでした。
 

2020年冬、「一時休業」を決断

「一時休業」を決断、限界を迎えた2020年の冬
 「廃業というのは考えないけど、一時休業というのは考えますね」(JO’S BAR 山田譲二マスター)

 営業を続ける限り、光熱費や食材費などの経費がかかります。

「それならばいっそ店を開けない方がまし」というところまで追いつめられていたのです。

 山田さんは2020年12月30日で一旦、店を閉め、2021年は休業する決心をしました。
 

バーは「交流の場」

バーは「人との交流の」舞台、再開を目指して店は維持
 28年間続くジョーズバーには、人生の節目節目で通っていた人もいます。

 「結婚する前に来ていて」
 「いつでも気軽に来れるっていうか、いつでも来れる店だったのでさみしいですね」(夫婦)

 「ここはここしかないという感じなので、是非とも続けてほしいと思っています」(男性客)

 「人と人との交流」の舞台になってきたジョーズバー。

 山田さんはいつか再開できるよう、テナント料を支払い続け、店は維持するつもりです。

 「バーって名前はついているけれども、『サロン』的な要素、ここでの色んな文化的な交流とかがあって、実際そういうものでバーがもっていたと思うんですよ」(山田譲二マスター)
 

バーのために持ち家を手放す覚悟

厳しい経営状況、私生活に影響も「持ち家を手放してもバーを」
 一方、厳しい経営状況は、山田さんの生活にも大きな影を落としていました。
 
 「もう税金とか色んなものの支払いが困難になってきて、ここはもう手放すしかないかなという状態ですね……厳しいですね…」(山田譲二マスター)

 約20年前に買った持ち家を売ることにしたのです。

 これも全て、思い入れの強い、バーのテナント料を払い続けるためです。

 しかし、なかなか、買い手は見つかりません。
 

2020年12月30日、バーは最後の営業日

最後の営業日、あいにくの雪でも常連客で賑わう
 そして、雪が舞う2020年12月30日、バーは最後の営業日を迎えました。

 お店にはたくさんのお客さんの姿。
 

「面白かったな28年。なんかあっけない感じや…」(山田譲二マスター)

 常連客が駆け付けてくれて嬉しい一方、やむを得ない休業への悔しさ。

 「はい、終わりました。あーあ終わっちゃったぞ知らんぞワシ。えらいこっちゃー。あ~しかし面白かったな28年。なんかあっけない感じや…」(山田譲二マスター)

 

持続化給付金を申請も、ほとんどが税金に

持続化給付金申請も、ほとんどが税金に
 年が明けた、1月12日。

 山田さんが向かったのは、持続化給付金の申請です。

 収入が前の年の半分以下になった事業者が、事業を続けるために給付を受けることができるお金です。

 実は山田さん、赤字がかさむ中、税金の納付が遅れていて、今回振り込まれる100万円も、ほとんどがその支払いに消えてしまいます。
 

休業できなくなったバー 「復活するチャンスは絶対ある」(山田譲二マスター)

「休業」から一転、バーを再開せざるを得なかった理由
 そんな中、1月のある夜、休業したはずのジョーズバーには明かりが。

 バーを手放さないために、売却するはずだった持ち家が担保として押さえられ、自由に売ることができなくなりました。

 その日の収入を得るためにも、バーを開けざるを得なかったのです。

 「今、僕が持っているお金は6000円です。この6000円でどれだけもつか。2~3日中にガソリンも買えなくなっちゃう可能性もありますよね、きょう、もしお客さんが入ってくれると助かりますけどね」(山田譲二マスター)

 この日の客は、5人。売り上げは9000円程度でした。

 いつまで続けられるかわかりませんが、ジョーズバーを残すためには、営業するほかありません。

 「同じ境遇に見える方は日本中いっぱい見えると思うんですよ。このまま完全にやめちゃうのか、もう一度続けたいのか、皆さんものすごく悩んでいると思うんですよ。ただ僕は続けてほしいですね、復活するチャンスは絶対あるから、諦めずに頑張ってほしいですよね」(山田譲二マスター)

(1月27日 15:40~放送 メ~テレ『アップ!』より)
 

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