コロナ最前線にこそ温かい食事を 病院の職員食堂で戦うスタッフ 大盛味噌ラーメン頼む看護師の姿に奮起

2021年1月26日 15:49
 医師や看護師らが利用する病院の職員食堂。藤田医科大学病院では、新型コロナの感染拡大で食堂の一時中断もあった中、「温かい食事を届けたい」という思いで再開にこぎつけました。
張り詰めた心の安らぎ「職員食堂」
  愛知県・豊明市の藤田医科大学病院では、民間病院として新型コロナの重症患者を受け入れ、人工肺・エクモを使った高度な治療を行うコロナ治療の最前線です。

 「絶対に院内感染を出さない」という思いから、病院内は張り詰めた空気が漂っています。

  そんな新型コロナの最前線にも、つかの間の「心安らぐひととき」があります。
 

調理師 久保田しのぶさん

 医療従事者の体と心を支える、食事の時間です。

 藤田医科大学病院には3つの食堂があり、医師や看護師といった医療従事者などに限り利用できる“職員食堂”があります。

 この食堂では、平日には、3時間半の間に約600人が利用します。

 「とてもきれいで、解放感もあって使いやすい。ご飯を食べるところなので清潔なのがうれしい。食堂の人も元気に料理を出してくれるので、気持ちよく使える食堂だと思います」(食堂利用者)
  
 この職員食堂で働く調理師の久保田さんと管理栄養士の鈴木さんは、たくさんの医療従事者をいつも温かい食事で支えています。

 「家族につくっているような気持ちをもちたいなと思っています。家族に食べさせるから、安心して食べられる料理を心掛けています」(調理師 久保田しのぶさん)

 「おいしいものを食べたときは思わず笑って、心が温かくなるような気持ちがあると思うので、そういうものを提供する仕事だと思っています」(管理栄養士 鈴木唯楽さん)
 

お弁当のみ提供の時期も

 そんな職員食堂ですが、病院で新型コロナの患者の受け入れが始まると、空気が一変したといいます。
 
 「病院の空気はかなりピリッとしていると思います。」(久保田しのぶさん)

 「どこか笑顔が少なくなったような気がします。急いで食事をしていたり、休憩時間もなかなかとれない状況だと思う」(鈴木唯楽さん)

 食堂に転機が訪れたのは、去年4月。新型コロナの院内感染を防ぐため、自慢のあたたかい食事は中止になり、弁当のみの提供に切り替わりました。食堂開始以来、初めての出来事でした。

 「なるべくあたたかいものを提供できたらいいが、やっぱりお弁当は冷めてしまう」(久保田しのぶさん)

 「お客さんからも『あたたかいものが食べたい』という要望があったので、心苦しかったです」(鈴木唯楽さん)
 

食堂再開で職員も従業員も喜び

あたたかい食事を…調理師たちの努力で食堂再開へ
 「コロナと懸命に戦う人たちに、あたたかい食事を提供したい」こうした思いから、感染症の専門医の助言を受けながら病院側とも話し合い、食堂の再開を目指しました。

 感染防止対策は徹底し、約200あった座席は132席に減らしました。みそ汁のセルフサービスはやめて、箸やスプーンは使い捨てを用意しました。

 そうした努力の甲斐もあって、3か月後には食堂を再開することができました。

「お客さんがとても喜んでくれて、それが一番うれしい。『再開したんだ、うれしい』と言ってもらって、よかったなと」(鈴木唯楽さん)

 職員食堂が再開すると、温かい食事を求めて医師や看護師たちが戻ってきてくれました。  

 「閉店ぎりぎりに若い女性の看護師が、少し恥ずかしそうに大盛の味噌ラーメンを注文されました。出したら、『うわーっ!おいしそう!』と喜んでくれて、大盛のラーメンを食べたくなるほど、一生懸命頑張っただろうなと、母親のような気持ちになって。うれしかったです」(久保田しのぶさん)
 

「コロナに勝つ」の願いをこめたメニュー

 この日のメニューは、小鉢を含めて30種類ほど。人気だったのは、「コロナに勝つ!」という願いが込められた「ごま味噌カツ丼」です。

 メニューを考えたのは、管理栄養士の鈴木さんです。

 「『食べたいものがいっぱいあって迷う』と少しうれしそうに話している人がいて、マスク越しに笑顔が伝わって、心の中で「やった!」とガッツポーズしました」(鈴木唯楽さん)

 食事中は無言で距離をとるため、コロナ前のにぎやかさはありませんが、アクリルパネル越しに、ほっと一息つく医師や看護師らの姿が戻りました。

 「いつも優しく声をかけてくれるし、あたたかみも感じます」

 「肉や魚や野菜のバランスが考えられていて、毎日違う種類のメニューで素敵だと思います」(利用者)

 みんなのお腹と心を満たしたい。2人の思いは、医療従事者にも伝わっているようです。

「あたたかい料理をたべるとまず体があたたかくなる、そのうち心もほっとしてくる、それが一番いいと思っています」(久保田しのぶさん)

 

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