スペースジェットの開発が事実上“凍結” 初飛行から5年…道のりは遠く 

2020年10月23日 15:12
 初飛行から5年。新型コロナで航空機の需要が落ち込む中、かつてMRJと呼ばれた愛知県で開発が進むスペースジェットの開発が事実上の“凍結”となりそうです。部品メーカーからは苦い胸の内が…

スペースジェット

ライバルをしのぐ燃費の良さなどが売りの機体
 スペースジェットとは、以前、MRJと呼ばれ、愛知県・豊山町で開発が進められている国産初のジェット旅客機のことです。

 スペースジェットは、2008年に、三菱重工が開発をスタートさせました。

 新型機ということもあり、ライバルをしのぐ燃費の良さや、客室の広さ、エンジンの静かさなどが売りでした。
 

試験初号機の初飛行

初号機の初飛行で期待が膨らむ
 2015年11月に、試験初号機が初飛行すると、地元の人たちは、歓喜に包まれました。

 その後、県営名古屋空港の近くに量産工場が建設され、自動車に次ぐ新たな「産業」として、この地方の部品メーカーにも、期待が膨らみました。


 

三菱航空機 森本浩通社長(当時)2015年会見

国産ジェットの開発はコロナで暗雲に
 海外のエアショーでも、次々に受注を積み重ね、愛知から世界に羽ばたく、はずでした。しかし…

 国産旅客機をつくるのは、日本は半世紀ぶりです。経験不足が露呈。設計のやり直しなどで、開発の延期が続きました。

 そこを襲ったのが、新型コロナです。世界中で旅客機の運航がストップしました。

 航空会社は巨額の赤字に苦しんでいて、新しい旅客機を買う余裕がなくなってしまいました。
 

三菱航空機(愛知県豊山町)

事実上の「開発の凍結」計画は立てて進めていく
 三菱は、スペースジェットの量産を先送りせざるを得なくなりました。

 一時、海外からも多くの技術者を読んだ三菱ですが、人員を大幅に整理。アメリカで進められている、飛行試験を一時取りやめ、開発の拠点も縮小しました。事実上の、「開発の凍結」です。

 23日の三菱航空機です。社員たちは取材に答えることなく、足早に職場に向かいました。そんな中、技術部本部長が、取材に応じました。

「来年以降の計画はどうするかという議論はしていました。計画は立てて進めているので見通しがないということはない」(三菱航空機 技術本部川口泰彦本部長)
 

愛知県大村秀章知事

地元部品メーカーからは悲鳴が…
 地元からは…

「愛知・中部の航空宇宙産業を自動車に次ぐ第2の柱として大きく育てていく。盛り上げていこうという方向性は揺らがない」(愛知県大村秀章知事)

 愛知県内の部品メーカーは約320点のスペースジェットの部品を受注。1億円以上の初期投資をし、量産に向け事業を進めてきました。

「本当に残念、受け止めるしかない。国産の飛行機を我々が手がけていく喜び。航空機の事業で会社をのばしていきたいと思っていた。」(愛知の航空機部品メーカー)
 

三菱重工(東京都千代田区)

「安全認証」の取得は進めると強調
 三菱は、客を乗せて飛ばすための安全認証である、型式証明の取得は続けることを強調していて、今月30日の決算会見で今後の開発方針を明らかにするとしています。

 愛知県で、スペースジェットの安全性を審査している国交省航空機技術審査センターによりますと、新型コロナの影響で、今もアメリカでの飛行試験が止まっていて、4月以降、審査官を日本に引き上げたそうです。

 今も、飛行審査の再開のめどは立っていません。

 愛知の部品メーカーは、「事実上の凍結」報道があってもまだ、あきらめていません。

 「コロナの影響はある。それが今後解消されれば、可能性としてはあると思う。」(航空機部品メーカー)
 

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