感染症専門医に聞く! 教職員も頭抱える学校での対策のポイントは? 岐阜市では“高校クラスター”も発生

2020年7月21日 16:35
 新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、子供たちが集まる学校でどのような対策をとるべきか。感染症の専門医と一緒に実際に学校を訪れて、ポイントを教えてもらいました。

感染症の専門医と学校現場へ(※クラスターが発生した高校とは別の学校です)

県立岐阜商業高校でクラスター発生
 今月18日、クラスターの発生が認定された県立岐阜商業高校。 

 岐阜県の古田肇知事は、記者会見で「高校でのクラスター発生は全国初。危機感を持って取り組んでいる」と話しました。

 20日までに教師や生徒ら8人の感染が確認されています。学校は、29日まで臨時休校し、すべての部活動を休止します。
  
 休校期間中に大会がある硬式野球部やサッカー部など、6つの部活動は大会出場の自粛を決めています。

 また検査の対象を、感染者と接触があった生徒ら約300人に拡大。影響は広がっています。

 

県立岐阜商業高校(岐阜市)

土日の健康チェックに抜け落ちが…
 岐阜県の県教育委員会は「土日の健康チェックについて抜け落ちることがあるので、今後運用を改善したい」と話しています。

 岐阜県教育委員会によりますと、県立高校では生徒や学校職員は息苦しさや発熱などを記入する健康チェックカードを登校日に提出することになっていました。

 しかし県立岐阜商業では、土曜日・日曜日について、カードの記入が適切にされていなかったケースが確認されているということです。



 

中高一貫の「滝学園」で話を聞く(愛知県江南市)

感染症の専門医 武藤義和医師と一緒に学校現場へ
 では学校での対策は、どうしたらいいのでしょうか。感染症の専門医、武藤義和医師とともに実際に学校を訪れ、ポイントを聞きました。

 そこには学校だけではない、自宅や職場でも取り入れられる「考え方」がありました。

 愛知県江南市にある「滝学園」。中高一貫校で、あわせて1800人を超える生徒が通っています。



 

1クラス40人 これ以上の距離は空けられない

養護教諭の先生の案内で「学校の感染対策の悩み」を聞く
 養護教諭の加藤晃子先生に案内していただいた教室は、普段から1人1人の距離を離しているといいます。

 しかし1クラスは40人で、現在は分散登校もしていないので、距離は目いっぱいな形。これ以上席の間隔は広げられないといいます。

 机の間隔を広げたほうがいいのは分かっていても、教室の広さや数など、構造上、難しいのが現実です。


 

理想は2mだが、横に関しては1mくらいで(武藤医師)

学校の悩み「間隔」
 武藤義和医師は、間隔は2m以上が理想としながらも…

「飛沫は正面に飛ぶ。前にいる人には影響があるが、皆マスクをしているし、横にいる人に飛沫があがるということはあまりない。横に関しては1mくらい離れていくというのは十分かなと思う」(武藤医師)

 

空気を滞留させないことが大切

換気の徹底が重要!
 その上で、武藤義和医師は換気の徹底が重要と話します。

「飛沫自体が空間にたまるかというと、そこは換気。なのでドアが開いていて、窓が開いている、空気の流れの一方通行ができている。5cm、10cm、少しの隙間でいいので開けるのがいいです」(武藤医師)

 空気を滞留させないことが大切で、ドアや窓を開放すればするほど効果は高まるといいます。
 

回数を気にして“環境”を整える事よりも…

机や椅子の消毒は「範囲や回数」よりも、考え方の「起点」
 不特定多数の生徒が使う机や椅子などをどう消毒すべきか。できる範囲や回数には限界があります。

 そこで、武藤医師が提案するのは、考え方の〝起点〟を変えること。
  
「学校のガイドラインでは、1日最低1回と言われています。やればやるほど効果があるような気がするのですが、実際には朝1回消毒しても、その後ウイルスを持っている人が触ったら、その日1日ついてしまう。すなわち回数ではなくて、守るべきは“環境”じゃない」

「守るべきは子供たち・先生・他の人たちだと考える。そうすると手を洗うべき。起点にすべきはやはり“人”。環境は1日1回きれいにしましょう。ただし人の手はしっかりきれいにしましょうと考えて頂くといい」




 

手洗い・消毒用アルコールの設置は有効!

 学校では、教室ごとの入り口に消毒用のアルコールを設置。教室の中にウイルスを持ち込ませない「有効な対策」だとしています。


 

人が触れるところが感染のリスク 消毒場所をよく考えて

ポイントは多くの“手”が触れる「高頻度接触面」
 高頻度接触面、つまり多くの人が触るドアノブや、手すり、掃除道具や楽器など共有物に関しては、1日最低1回のふき取り作業を心掛れば良いと武藤義和医師は話しています。

「どこまでやるかって過去にないケースの場合って、皆さん悩まれると思います。人が触るところが感染のリスクになります。」

「人が触るところ、すわなち手ですから、机ですね。こういう表面は消毒の必要はある。ただし椅子の背中やお尻は人が触るわけではないので、そこまで感染のリスクはないだろう。ましては机の脚とか必要ない。床も感染のリスクは低いと考えます。」


 

感染対策と学校評価のはざまで悩む実情も…

感染症対策はどこまでやればよいのか?
 現場の養護教諭・加藤晃子先生からは、こんな悩みも聞かれました。

「どの感染症対策もやっていないと、この学校何もやっていない学校という評価を受けるのではないかと…その怖さで、とりあえず何か工夫したものが出ると飛びつこうとするところがあるので、判断が難しいです」(加藤先生)

 学校に限らず、職場や家庭でも、新しい対策が出ると飛びつきがちですが…

 

全国的にやってしまうとやめられなくなる

止められなくなる対策?参考にすべきものは?
 武藤義和医師は…

「何かをやっていることがまるで正しいという前提で動いている。何かをやるのは構わないが、それが効果があるかは別の話」

「1つ始まって、広まってしまうと、それが効果がなかった時にやめられなくなる。
全国的にやってしまうとやめられなくなってしまう。そのような場合は、医療者、病院がやっていることを参考にして頂きたい」(武藤医師)

 

フェイスシールドの効果は限定的な面もある

フェイスシールドの効果について
 武藤医師が、例にあげたのは「フェイスシールド」です。

 武藤医師は「フェイスシールドの効果は限定的な面もある」と指摘します。

「フェイスシールドは基本的には外から飛んでくるのを守るもの。話す側の人からするとあまり効果はない。直接飛んでくるものしか防げない」

「横がすかすかなので、結局横にいる人でも直接の飛沫は確かに防げるかもしれないがマスクで十分ですし、空気中に浮いているウイルスやばい菌も横から吸い込むので、実際には、直接あたるもの以外に効果はないので、積極的に導入する必要はないと思う」(武藤医師)

 

徐々に日常に戻していきたいが…

学校の悩み「グループワーク」
 この学校では、教室でのグループ活動を中止してきました。日常に少しずつ戻す必要性を感じているものの、タイミングを計りかねているといいます。

「これから徐々に日常に戻していこうと思っていたので、マスクをした状態でグループワークOKとしようとしていたところなんですが、果たしてグループ活動はやってもいいのかなと」(養護教諭・加藤晃子先生)

 これに対し、武藤医師は…

「やはり距離が近くなるということが心配なわけですよね。ただ少しずつ緩和していくという意味ではタイミングかなと思います」

「グループワークをすると人と人との距離が近くなるので、マスクをしっかりすることや、共有物ができやすくなるので、しっかりと手を洗うという行為をやっていただくのが良いと思います」(武藤医師)





 

悩んだ時は病院の対策を参考にしてほしい

教室の感染症対策 迷ったら病院を参考に
 教室における感染症対策のポイントは、

 まず、守るべきは「環境」ではなく「人」であるという視点に立つこと。

 つまり、ものを消毒することにとらわれるのではなく、換気に加え、手洗いやマスクの着用を徹底することです。

 武藤医師は「悩んだときは、病院が行っている対策を参考にして欲しい」としています。

(7月21日 15:40~放送 メ~テレ『アップ!』より)

 

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