「“アベノマスク”寄付でお得」はダメ? 善意で始めたつもりが「法律違反かも」警察から指摘相次ぐ

2020年6月22日 14:17
 いわゆるアベノマスクを寄付する動きが全国で広がっています。しかし、マスクの寄付を募っている複数の店が、警察から違法性を指摘されていたことが分かりました。

寄付しようと集めたアベノマスクが思わぬ事態に…

 愛知県豊川市にある焼き鳥店「中々」(なかなか)。

 マスクを必要としている人に寄付するため、常連客から余っているマスクを集めています。

「届いてもマスクを使わないという意見が多かったので、店で何かできないかと思いました」(「中々」オーナー 榊原直斗さん)
 

焼き鳥店「中々」(愛知県豊川市)

子どもたちのためになればと集め始めたマスク
 集まったマスクはこれまでに約200枚。そのうち約80枚が“アベノマスク”です。

 店では、マスクと引き換えに、飲食代から1000円を割引きしていました。

「手作りマスクがたくさんあって、マスクが余っていたので、話を聞いて良いことに使えるなら役に立ちたいと持ってきた」(マスクを渡した客)

 マスクを持ってきた人の約7割は、割引きを辞退。

 集まったマスクは7月以降、小学校や福祉施設に寄付します。

「店の外を掃除していた時に、小学生に“頑張ってください”といわれて、子どもたちのために何かできることはないかと始めました」(榊原さん)
 

古物営業法違反とは

突然、警察からの連絡が
 しかし、この取り組みに問題があると、18日、思わぬところから連絡を受けました。

 警察です。

「最悪、違法行為になると言われました。金券とマスクの交換、金品の交換がダメだということだ思う。そういう許可証が必要みたいです」(榊原さん)

 警察が指摘したのが、古物営業法違反。

 中古品を買い取って転売する業者などに、古物商の届け出を義務づける法律です。
 
古物営業法が定められている理由は「犯罪被害品」の流通防止
「中古品等の古物には、犯罪被害品が含まれる可能性がある。被害品の売買を野放しにすると、被害品が流通して、犯罪を助長してしまう可能性があります。そういったことを防止するために、中古品等の売買が規制されています」(筒井康之 弁護士)

 店を訪れた警察官は、使っていないマスクを商品や割引券と交換し、それを寄付する場合は、古物商の免許、または届け出が必要だと説明したといいます。
 
指摘を受け「割り引き」はとりやめに
「中々」の榊原さんは…

「法律に引っかかるならと、やめました。本音は悔しいです。金券によってその分飲んだり食べたりできる。今は給料が少なくなったり、仕事がなくなったりという方が多いので、その方の支援を少しでもできればと思っていたが、残念です」(「中々」オーナー 榊原直斗さん)

「中々」では、マスクと交換の割り引きを止めました。

 それでも“アベノマスク”などマスクの持ち込みは止まらないといいます。

「寄付してくれる温かい人がいれば、寄付してくれたらという感じです。金券は廃止にします」(「中々」オーナー 榊原直斗さん)
 

カウンターには専用の箱が設けられている

岐阜県でも指摘を受けた店が
 岐阜県美濃市の旅行代理店。

 マスクを店で使える旅行券500円分と引き換えていました。

「新型コロナの影響で、4~6月に予約がほとんど消えました。時間があるのでマスクを集めて2次、3次の感染拡大に備えるためにも、必要な施設に送ろうと考えています」(旅の森キャリッジ 旦野隆晃 取締役)

 集まったマスク150組は、地域の保健センターに寄付します。

 旅行券の元手には、新型コロナの経済対策として給付される休業補償金を充てる予定でした。

 しかし、9日に警察から署に来るよう連絡がありました。

「連絡があったときは本当に悔しくて、補償金を使ってでもやろうとしているのに、どういうことだと納得がいかずに、出頭の要請でしたが、こちらに来て頂きました」(旦野さん)

 指摘されたのは、やはり古物営業法違反の可能性です。
 
「本部としては指示していない。内容によっては、古物営業法に抵触するおそれがあるので、許可が必要かどうか個別に事情を聞く必要がある」(愛知県警本部の回答)

「アベノマスクを含めて、マスク自体のやりとりが古物営業にかかる可能性があるので、県警本部から署へ“お願い”するよう指示した」(岐阜県警本部の回答)

 警察からの指導を受けて、直ちに古物商の申請を出し、22日に免許が発行されましたが、約2万円の費用がかかりました。

「必要ならと許可を取りましたが、落ち着いた時点でもう少し真相というか、本当に許可が必要か調べたいです」(旅の森キャリッジ 旦野隆晃 取締役)
 

筒井康之 弁護士

「違法になってしまうのか」弁護士に聞いた
 余っているマスクを、必要な人に届けたいと始めた取り組み。

 古物の取り引きにあたるのでしょうか? 弁護士に見解を聞きました。

「解釈の余地がありますので、直ちに違法とまでは言えないと思います」

 一方で、こうも指摘します。

「しかし、いわゆるアベノマスクが古物にあたる可能性もないわけではありません。集める時には金券やお金などの対価を渡すことは避けた方がいいと思います。集める時に対価を支払っていると、その時点で古物営業法に違反する可能性が出てきます」(筒井康之 弁護士)

(6月22日15:40~放送『アップ!』より)
 

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