海外帰国者→家族への感染相次ぐ 検査結果出る前に車で自宅へ 検疫体制の“穴”? 知事も問題視

2020年6月19日 15:01
 東海3県の新型コロナの感染者数はこのところ落ち着いていますが、実は、海外のパキスタンからの帰国者の感染が判明、その家族に感染が広がるケースが相次いでいます。

気になる水際対策は

 事例を細かく見ていくと、空港での検疫の課題が見えてきました。
 
中学生が感染 パキスタンから帰国した母親から家族4人に
「名古屋市立中学校に在籍する生徒について新型コロナウイルス陽性が判明しました」(名古屋市の会見 17日)

 17日、名古屋市の中学校に通う10代の女子生徒が新型コロナウイルスに感染していることが分かり、学校は消毒のため休校になりました。

 今週、この女子生徒とその両親、親族の合わせて4人が相次いで感染していることが発表されました。
 
成田空港で検査後、結果が出る前に車で帰宅
 2日に母親がパキスタンから帰国、成田空港の検疫でPCR検査を受けた後、検査結果が出る前に家族の車で帰宅しました。

 このときの結果は陰性でした。

 しかし、15日になって渡航歴がない父親の感染が判明します。

 母親は再度PCR検査を受けたところ、一転、陽性だと分かりました。

 市は、母親から家族に感染したものとみています。
 
岐阜県でも似たケース 結果出る前に車で自宅に
 似たような事例は、岐阜県多治見市でも。

 5月29日にパキスタンから帰国した40代の男性は、成田空港の検疫でPCR検査を受けましたが、無症状だったため結果が出る前に妻の車で自宅に帰りました。

 男性は帰国から17時間後に陽性と判明。

 さらに2日後、同居する妻の感染も確認されました。
 

岐阜県 古田肇 知事(4日)

「起こるべくして起こった感染」知事は水際の検疫体制を問題視
「起こるべくして起こった濃厚接触感染です。今後、海外との往来を徐々に再開していくことになると思いますが、その前にこうした水際の検疫における検査体制について、きめ細かくしっかりと再点検する必要があるのではないかということを痛感しています」(岐阜県 古田肇 知事)

 岐阜県の古田知事も問題視した、空港での「水際対策」。
 

厚生労働省への取材より

無症状で公共交通機関を使わなければ検査結果出る前に帰宅可能
 現在、日本に入国できるのは在留資格のある人だけで、入国の際、空港の検疫でPCR検査を受け、感染の有無を調べます。

 しかし、無症状の場合、公共交通機関を使わなければ、検査結果を待たずに、自家用車で家に帰ることができるのです。

 厚労省は取材に対し「帰国者の負担軽減の観点から公共交通機関を使わなくても自宅に帰れる人を、空港周辺の宿泊施設にとどめおけない」と話し、検査結果が出るまで空港に強制待機させるこはできないとしています。
 
経済活動再開を前に、感染拡大の国への対応どうする?
 日本の検疫事情に詳しい、公衆衛生学の専門家は、今後の経済活動再開を考えれば、検疫体制は、強化していくべきだと指摘しています。

「経済活動を活性化するために検疫を甘くしてしまったとすると、その先には日本全体の経済活動を自粛させなくてはいけなくなっていく。“どの国にも感染者がいる”という前提で検疫体制を強化していくべきだと思います」(関西大学 高鳥毛敏雄 教授)
 
 厚労省が発表している世界各国の感染状況によりますと、パキスタンは、18日までの3週間で、約6万人だった感染者が15万人を超え、約9万人増えました。

 また、インドやブラジル、チリなどで感染が急拡大しています。
 

空港がどこまで検疫体制を整えられるかも課題

中部空港の検疫体制整っていないと、フィリピンから入国に許可出さず
 17日、中部空港の国際線がおよそ2カ月半ぶりに再開。

 フィリピン航空の中部発マニラ行きのこの飛行機は、当初フィリピンからの乗客を乗せて中部空港に来るはずでしたが、到着した便に乗客はいませんでした。

 フィリピン航空によりますと、15日に日本政府から、フィリピンからの便には客を乗せないでほしいと要請があったといいます。

 理由は中部空港の検疫です。

「中部空港の検疫所としての体制を含めて整っていなかったので、入国は同意できないとして国が許可を出さなかった。PCR検査をうけたのちの、体制整備を今進めている」(厚労省 検疫所業務管理室への取材)

 中部空港では、徐々に国際線で運航を再開する路線が増える予定で、現在、検疫に必要な人員配置などの整備を進めています。
 

空港検疫で陽性が確認された帰国者(メ~テレ調べ)

空港検疫で感染確認 国別に見ると…
 東海3県に住んでいる人で、各地の空港検疫で陽性が確認された人は37人です。

 この37人のうち、36人が無症状です。
 

厚生労働省のHPをもとに作成

現状の空港検疫の“課題”
 帰国者は空港検疫でPCR検査を受けます。

 結果判明までの1~2日、空港周辺の宿泊施設などで待機するのが原則です。

 しかし、無症状の場合、公共交通機関を使わなければ、自宅などで結果を待つことができます。

 検査の結果が、陰性であればそのまま14日間は自宅等で待機。陽性の場合は、入院などの措置を受けることになります。
 

三重県 鈴木英敬 知事

「検査結果出るまで空港などで待機できるように」3県知事が要望
 17日、現在の検疫での体制について「全員がPCR検査の結果が出るまで、空港や一定のスペースにいてもらうのはすごく重要なことなので、岐阜県、愛知県と連携してしっかりやりたい」と話しました。

 そして、愛知県の大村知事と岐阜県の古田知事と連名で、15日に厚生労働省に要望したことを明らかにしました。
 

政府が検討中の出入国緩和策

4カ国とビジネス目的の入国緩和へ 行動計画書など追加措置も 
 現在、日本は111の国と地域からの外国人の入国を原則拒否していますが、18日、ビジネス目的の入国制限を緩和する方針を決定しました。

 感染状況が落ち着いているベトナム、タイ、ニュージーランド、オーストラリアの4カ国と協議を行っています。

 出国前にPCR検査を行い、「陰性」の証明書と、さらに日本国内での行動計画書を提出すれば、2週間の隔離措置が免除されるというものです。

 海外との人の行き来を本格的に再開させていくために、万全の水際対策が求められます。

(6月19日15:40~放送『アップ!』より)
 

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