新型コロナ治療薬となるか「レムデシビル」…感染症専門医に聞く「スピード承認や副作用は大丈夫?」

2020年5月4日 15:03
 アメリカで重症患者に緊急使用が認められた「レムデシビル」について、政府は2日、新型コロナウイルスの治療薬として、申請から1週間程度での承認を可能とするための政令改正をしました。

厚労省が「特例承認」を急ぐレムデシビル

 アメリカの製薬会社「ギリアド・サイエンシズ」が、エボラ出血熱の治療薬として開発した抗ウイルス薬「レムデシビル」について、新型コロナウイルスの治療に使うため日米などが共同治験を進めてきました。

 アメリカが重症患者に対する緊急使用を認めたことを受け、日本でも通常より手続きが簡略化された「特例承認」を可能とするための政令改正を、2日の持ち回り閣議で決定しました。

 厚生労働省はギリアド社から申請を受け次第、1週間程度での承認に向け、審査を急ぐ方針です。
 

投与対象や使用方法に違い

アビガンとレムデシビルの違いは?
 これまで新型コロナウイルスの特効薬がないと言われる中で、有効だと言われてきたのが、日本発のアビガンです。

 アメリカの製薬会社が開発したレムデシビルとは、どのような違いがあるのか比べてみました。

 アビガンは新型インフルエンザの治療薬です。一方、レムデシビルはエボラ出血熱の治療を目指して作られた薬です。

 対象は、アビガンが軽症・中等症の患者への投与に対して、レムデシビルは重症患者への投与となっています。

 使用方法は、アビガンが錠剤なのに対して、レムデシビルは点滴です。重症患者は人工呼吸器などをつけているため、錠剤を飲みにくいという背景もあり、点滴だともいわれています。

 そして現在の状況ですが、アビガンは「治験」、つまり人での効果と安全性を調べる試験に協力している病院のみでの使用に限られています。

 一方、レムデシビルは「特例承認」の予定です。厚生労働省は、アメリカの製薬会社から申請を受け次第、1週間程度での承認に向け、審査を急ぐ方針だということです。
 

アメリカでは回復期間の短縮や症状の改善の報告

アメリカでは新型コロナウイルスに対する効果報告
 レムデシビルは、新型コロナウイルスの増殖を抑えるという効果が報告されています。

 アメリカの国立衛生研究所が行った、1063人に対する臨床試験によりますと、レムデシビルを投与しなかった新型コロナウイルス患者の回復期間が平均15日だったのに対して、投与した患者は11日と、回復期間は、平均で4日間短縮されたことが確認されたといいます。

 また、製薬会社と研究チームが行った別の臨床試験では、重症患者53人のうち68%が症状が改善したことが確認されたといいます。

 本来、人での効果と安全性を調べるための治験には、数カ月、長ければ数年かかることもあるという中で、厚労省は1週間程度でのスピード承認を目指してい、今月上旬にも承認される予定だということです。
 

岐阜大学 村上啓雄名誉教授

感染症専門医の評価は?
 感染症対策の専門医である、岐阜大学の村上啓雄名誉教授にレムデシビルについて聞きました。

Q.厚労省がスピード承認を目指していることにについては?

「そうですね、やはり新しい薬は『治験』といって、本来は患者も医者もその薬が本当の薬なのか、いわゆる偽薬(プラシーボ)、効果のない薬なのかわからないままに割りつけて、本当の薬を使った群と、そうでない群を分けて効果を見ていくのが本来の治験のあり方です」
「番組で紹介されたデータは“思いやりを持った治療”といいますか、他に確立した治療法がないために、可能性があるものはしっかりこれは試してみようという形でデータをとったものなんですね。ですから投与しなかった方と、投与した方と同じ公平な状況で比較したものではないということは認識しておかなければいけません」
「ただ目の前で亡くなっていくのを食い止めたいという思いでは、使えるようになるということは可能性としては患者さんにとっては少し安心できることかなとは思いますけれども、まだまだ効果は今後世界中で行われている治験のデータを見てみないと、それを冷静に判断しないといけないというところで、『これが特効薬』という所には至らないんじゃないかと考えています」(村上名誉教授)
 

レムデシビルは肝臓・腎臓の機能低下などの副作用も

アビガン・レムデシビルともに副作用も
 レムデシビル・アビガンともに、副作用がでるといわれています。

 アビガンは、妊婦が服用した場合、胎児に影響する可能性があるといわれています。

 そしてレムデシビルは、肝臓・腎臓の機能低下、ほかには吐き気が出るなども指摘されているということです。
 

岐阜大学 村上啓雄名誉教授

Q.副作用が報告される中で新型コロナウイルスに対して使用することに関しては?

「ある程度、副作用というものはどんな薬でもあると思います。非常に救命効果が高いということであれば、ある程度副作用については十分説明をさしていただきながら我々も慎重に副作用が出るか出ないかを見守りながら投与していくことになると思うのですが、今のところ副作用の発現の割合が、軽い発疹なども含めて、6割ぐらいが副作用が出るというようなデータも出ているようですので(うち2割が多臓器不全などの深刻な副作用が報告されている)、そういったところと、効果を天秤にかけるというか、慎重に見ていくというところは必要ですね」(村上名誉教授)

(5月4日 15:40~放送 メ~テレ『アップ!』より)

 

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