逮捕から3年、リコール署名偽造事件で事務局長に有罪判決「納得できない」「偽造ではなく“書き写し”」

2024年4月19日 19:55
愛知県の大村知事へのリコールをめぐる署名偽造事件。リコール運動団体の事務局長だった男に判決が言い渡されました。男はメ~テレの取材に対し「納得できない」などと語りました。
 逮捕から約3年。1人の男が判決前、メ~テレの単独取材に応じました。

「1000日ということで長かったですね」(田中孝博 被告)

 愛知県の大村知事へのリコールを巡る署名偽造事件の中心人物とされる、田中孝博被告(62)。

「(選挙管理委員会から)『1字だけでも字が書いてあれば(仮提出を)受け付けますよ』と言われたので、極端なことを言えば100万枚も200万枚も1字だけ書いて提出することは可能なんですよ。偽造署名はしていませんよ。書き写し提出した署名」(田中孝博 被告)

 そして、午後2時すぎの判決で――

「主文、被告人を懲役2年、執行猶予4年に処する」(裁判長)
 

田中孝博 被告 (法廷スケッチ)

事件のきっかけは「あいちトリエンナーレ」
 事件のきっかけは2019年に開催された「あいちトリエンナーレ」。

 企画展の「表現の不自由展・その後」でした。

 企画展には、慰安婦を表現した少女像などが展示され、抗議が殺到しました。

 この展示内容が不適切だとして、実行委員長だった愛知県の大村知事をリコールしようと、署名活動が始まったのです。

 リコール運動団体の会長を務めたのは「高須克弥」氏。

 事務局長を務めたのが、田中被告です。

 しかし、集まった署名について、大量に偽造された疑惑が浮上。

 田中被告が警察の捜査を受ける事態に発展しました。

 その後、滞在していた静岡県内のホテルで愛知県警により、逮捕され、その後起訴。

 すでに有罪判決が確定している次男などと共謀し、佐賀市でアルバイトを使って有権者71人分の署名を偽造したとして地方自治法違反の罪に問われていました。
 

リコール運動をしていた頃の田中孝博 被告 (2020年)

田中被告「判決は理解するが、納得できない」
 19日の判決で、名古屋地裁は「地方自治を揺るがしかねない犯行で首謀者として主導していた」などとする一方で「前科がない」などとして、田中被告に懲役2年、執行猶予4年の判決を言い渡しました。

 また弁護側が主張した「署名簿の違法な証拠収集」について名古屋地裁は「直接請求制度の適正な運用のための検討材料の収集等を目的としていた」などの理由から「違法な収集証拠には当たらない」と判断しました。

 判決後、再びメ~テレの取材に答えた、田中被告。

「判決内容については理解できても、納得できない」(田中被告)

 田中被告は、署名は偽造ではなく「書き写し」とした上でそもそもの始まりは、県の選挙管理委員会から、署名簿が白紙でなければ仮提出を受け付けると聞いたため、と主張します。

「書き写し作業をしなくてはいけないと思った原因は選挙管理委員会に例えば『田中孝博』というものを100万枚、200万枚出していいのかと。『仮受付してくれるのか』と聞いたら、『します』と。選管としては1字だけでも記入してあれば白紙以外であれば、すべて受付けますよと。ただし審査するのは選管だから『有効なのか無効なのかはわかりますよね』『そうですね』と」(田中被告)

 リコール活動の途中から、署名が必要な数に達するのは難しいと考え仮提出のままであれば、審査されず問題ないと判断していたといいます。
 

田中孝博 被告

「自分の政界進出への足場を作ろうとした」とも指摘
 また判決では、リコール運動団体で会長を務めた「高須克弥氏の歓心を得て、自分の政界進出への足場を作ろうとした」とも指摘されました。

「検察側が高須氏が、私の選挙を応援してほしかったと、求刑の時に初めて言われたが、判決理由として高須氏の応援が欲しかったから解職請求を行ったというのは納得できない。高須氏にも失礼」(田中被告)

 控訴するかどうかについては、弁護士と検討したうえで決めるということです。
 

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