名古屋テレビ 放送番組審議会だより

このページは「放送法」および「放送法施行規則」に基づき名古屋テレビ放送の放送番組審議会の議事の概要をお知らせするページです。
名古屋テレビ放送の放送番組審議会委員は8名で、会議は毎月1回、年間10回(8月と12月は休会)開催されます。放送番組の内容をはじめ、放送に関する全般的な問題についてご意見を伺い、番組制作の参考にさせていただいております。
名古屋テレビ放送では、放送番組審議会でのご意見を、毎月第1日曜日の午前5時00分から放送する「メ~テレオンブズ」の中でもご紹介しています。どうぞご覧ください。

<2019年1月分>

第600回 名古屋テレビ放送番組審議会

開催日
平成31年1月15日(火) 15:30~17:20
参加者
(敬称略)
  • 委員長:安村仁志
  • 副委員長:小川明子
  • 委員:丹羽慎治、田中彩子、中 裕史、大竹敏之、裵 貞嬉、五藤義徳

議事の概要

(1)業務報告

  • 社長挨拶
  • 2018年年間視聴率報告
  • 平成30年度(第73回)文化庁芸術祭受賞報告

(2)審議テーマ

  • メ~テレ開局55周年記念ドラマ『乱反射』
  • その他

委員の主な意見です。

  • ずっしりと重く、非常に見応えのあるドラマだった。キャスティングの内容も、そのまま劇場用の映画にしてもおかしくないレベルとクオリティーだと思って見た。
  • 現代社会にごく当たり前にある小さな罪の連鎖が、法で裁くことができない大きな罪を生み出している。そんなメッセージを開局55周年記念のドラマで表現しようとしたのは、非常に有意義な取り組みだと思った。
  • 全体的には、結果として誰も責任を取らないのに、責任を取ることを過度に恐れている日本社会の日常みたいなものが、うまく描かれたドラマだったと思う。
  • 小さな悪「小悪」がはびこる現代社会への警鐘というか、問題提起をしたという意味では、見る人に非常に多くのことを考えさせる、良いドラマだった。
  • このドラマで描かれているのは、普通の人たちに潜んでいる怠慢とか不作為、そういうものの積み重ねで表れている現象だ。そこから得られる教訓は「性善説の限界」だと思う。
  • 現代人の救いようの無さばかりが目立つストーリーだから、見終わった後の爽快感みたいなものは無かった。それだけに、視聴者からの評価は分かれるかも知れない。
  • 主演の妻夫木聡さんは、突然の不幸に襲われた戸惑い、その後事実が徐々に分かり苦しみにとらわれてゆく主人公の心情を、大げさではなく丁寧に表現している。むしろ悲しみの深さが伝わってくる非常に見事な演技だった。
  • 番組の終盤、夫婦の立ち直りを描こうとして色々な場面が出てきたが、少し性急過ぎる感じがした。子供を失った悲しみは非常に大きいもので、時が経つにつれて薄まるものではなく、沈静化してゆくものだ。時間の制約もあると思うが、そのあたりの夫婦の内面描写がもう少しあったら良かった。
  • 番組の最後の部分で、登場した一人一人を性悪説に立って悪人として描くのか、それとも性善説に立って善人として描くのか、そこのところが少し中途半端だった気がする。
  • 終盤で主人公夫婦がサンドイッチを食べているシーンがあったが、これは非常に良い場面だと思った。食べることの大切さを、あのシーンから改めて感じさせられた。
  • 原作には無い、最後にまた主人公がドライブに出かけ、サービスエリアのゴミ箱に家庭ゴミを捨てるシーンは様々な解釈があるだろう。見た人たちに考えて欲しい、ということだと思うが、制作者の意図が知りたい。
  • 最も印象的だったのはエンディングだ。事故の後も、まるで何もなかったかのようにそれまでの「小悪」が繰り返される日常が描かれている。そして、主人公夫婦が再びドライブ先で家庭ゴミを捨ててしまう。こうしたエンディングの数分間に、制作者が世に問いたかったすべての問題意識が凝縮されていると思った。
  • 重要だがある意味では非常に難しい、“時代を問う”作品をテレビ局としてドラマ化し、視聴者に考えてもらう機会を提供したことに賛辞を送りたい。こうした試みはぜひ続けていって欲しい。

局側は

  • 今回の開局55周年記念ドラマを企画するにあたっては、テレビ朝日系列のプライムタイムでの全国ネットであることを考え、より多くの方々に見ていただけるようにサスペンスものを考えた。
  • 主人公夫婦がサンドイッチを食べるシーンは原作には無いものだ。石井監督のこだわりで、「生きる力」を表現するためにあのシーンを入れた。
  • 最後に主人公が再度家庭ゴミを捨てるシーンは、自分も小さな罪を犯し、息子の死に繋がる小さな罪の連鎖の中に自分もいたのではないかということを自覚するシーンだ。心情を説明するような台詞も収録したが、監督の判断でカットし、見た人に考えてもらう余地を作ったものだ。
  • 最近のテレビドラマは分かり易い図式と表現が多いが、そうしたドラマではなく、分かり難いけれどもテレビに向かってさらに前のめりになるようなドラマを目指した。説明不足なところは多々あると思うが、考える余地をあえて作った。狙いの爪痕は残せたと思う。

などと答えました。

(3)次回開催予定

開催日時:2019年2月12日(火)午後3時30分~