名古屋テレビ 放送番組審議会だより

このページは「放送法」および「放送法施行規則」に基づき名古屋テレビ放送の放送番組審議会の議事の概要をお知らせするページです。
名古屋テレビ放送の放送番組審議会委員は8名で、会議は毎月1回、年間10回(8月と12月は休会)開催されます。放送番組の内容をはじめ、放送に関する全般的な問題についてご意見を伺い、番組制作の参考にさせていただいております。
名古屋テレビ放送では、放送番組審議会でのご意見を、毎月第1日曜日の午前5時00分から放送する「メ~テレオンブズ」の中でもご紹介しています。どうぞご覧ください。

<2018年7月分>

第596回 名古屋テレビ放送番組審議会

開催日
平成30年7月10日(火) 16:00~17:30
参加者
(敬称略)
  • 委員長:安村仁志
  • 副委員長:小川明子
  • 委員:丹羽慎治、田中彩子、中 裕史、大竹敏之、裵 貞嬉、五藤義徳

議事の概要

(1)業務報告

  • 社長挨拶

(2)審議テーマ

  • 報道活動『変わる自衛隊 地方から伝えた一連の報道』
  • その他

委員の主な意見です。

  • ローカル局の立場ながら、独自の視点を持って特定のテーマに継続的に注力し、番組などを制作・報道したことはすごいと思った。
  • 事実であるとか、記録・証言といったものを淡々と掘り起こして、資料として出してゆく。それに対して、生の声を活かしてゆく形で事実を積み重ねてゆくことは、それなりに意味があるということを改めて感じさせられた。
  • 安全保障関連法案について、ともすれば縁遠く感じてしまう一般視聴者・世の中に対して、地元自衛隊の変化や戦争と民間船との関係性といったものに着目し、政治の動きを体感させようという取り組みをしたことには、報道としての使命を感じた。
  • 自衛隊の集団的自衛権行使容認をめぐる様々な動きを、多角的にニュースの特集やドキュメンタリー番組で報道している。地元の人たちが身近な話題として受け止められるように制作・放送している点が、非常に印象に残った。
  • 「予備自衛官補」という名のもとに、民間の船舶や船員、また一般の民間人が我が国の防衛体制に組み込まれている。そうした構図が出来ていることなど、通常の報道では知り得ない今の自衛隊の実情について、いろいろと教えてもらえて、良い企画だったと思う。
  • 全体を通して、武力を容認する風潮に歯止めをかけたいという制作側の意図や狙いは十分に伝わってくるものの、放送事業者は「政治的に公平であること」という基本原則がある訳で、「どう考えるか?」は視聴者に委ねるしかないと思う。
  • あくまでも実情を伝えて事実を詳らかにし、そのうえで「あなたはどう考えますか?」という投げかけのトーンは、番組全体を通して概ね適切だったと思う。
  • これらの報道は、基本的には一連の動きに対して懐疑的なスタンスで、やや抑制しながらも、疑問を投げかけるという姿勢を見せていたと思う。
  • 報道に対して思いを入れ込むことは必要だと思うが、例えば武力を容認する風潮に歯止めをかけたいという思いが過度になった場合、意識的、あるいは無意識であっても、視聴者の誘導や扇動につながりはしないか、という恐れを感じた。
  • 放送法4条の「政治的に公平であること」というのは、一つの番組の中だけで取らなくてはならない公平なのか、その局全体の報道の中で取るべきなのか、また単純に半分半分であれば良いのか。こうしたことに関しても、自分自身でもう少し考えてみたいと思った。
  • 2015年2月に放送したニュース企画「伊勢湾と集団的自衛権」では、識者の意見としては否定派の弁護士だけだった。基本的にメディアは両論併記が原則であるべきではなかったか。
  • 2018年3月に放送したドキュメンタリー『木魚とライフル』は、国の苦脳と個人の苦悩、そこに迫りながら、現在の日本が抱える安全保障という最大の問題に迫る素晴らしいドキュメンタリーだった。
  • こうした一連の報道は、自衛隊の協力を取りつけないと出来ないものだ。
    厳しい目を向けるべき対象と、それでも友好な関係を保ってゆかなければいけないという、非常に難しいバランス感覚が必要だと思う。今後も粘り強く、さらに身近な取材対象を掘り起こして、取材を続けて欲しい。

局側は

  • 一連の報道のきっかけは、2014年7月の政府による集団的自衛権容認の閣議決定で、この地方の自衛隊をより積極的に取材しようと、一人の専任記者を配置したのがスタートだ。
  • 戦後70年にあたる2015年には、安全保障関連法案の国会審議が行われ、夕方のニュース情報番組『UP!』で特集やキャンペーンを組んだ。こうしたことが発展して、何本かのドキュメンタリー番組につながった。
  • 自衛隊に関してのこうした報道を、ローカル局の立場から継続的に行うことはあまり例がなかったと思う。そのことがギャラクシー賞の報道活動部門での大賞というご評価を頂いたと考えている。
  • 一連のことを批判したいのではなく、後世から見て「我々がきちんと報道していたのか?」また「その報道は視聴者からの批判に耐えられるものか?」を心がけて取材し、制作・放送した。
  • 現在も引き続き自衛隊に関する取材は続けている。ニュース番組での特集とともに、関連する番組もコンスタントに制作してゆきたい。

などと答えました。

(3)次回開催予定

開催日時:2018年9月11日(火)午後3時30分~