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2014年5月28日(水) 午前10:30~11:30

母の国へ~馬瓜エブリン18歳~

ガーナの海で親子3人で記念撮影
馬瓜エブリンさんは、バスケットボールの強豪校、桜花学園に通いエースとして活躍。夢は2020年に東京で開催されるオリンピックに出場することだ。
4月からは愛知県内の自動車部品メーカーに就職し、実業団チームの選手として日本代表入りを目指す。女子バスケットボールで注目を集める18歳だ。

エブリンさんは、ガーナ共和国出身の両親の下、愛知県で生まれ育った。話す言葉や、身についた習慣は、ほとんど日本式。だが、肌の色、見た目は日本人とは違う。そのために、小学校に入ったころからかわれてしまい、日本人と同じ体を手にしたいと思うようになった。

そんなエブリンさんを支え続けてくれていたのが母親のフランシスカさんだ。
フランシスカさんは「自分に自信を持って」と、あるがままの自分を受け入れる大切さを教えてくれ、エブリンさんは笑顔を取り戻した。13歳で、16歳以下のバスケットボール日本代表候補に選ばれたときもガーナの国籍を捨てて日本国籍取得を決断してくれた。

そんな、母への恩返しの気持ちと、自分のルーツを確かめるためにエブリンさんは卒業を前に、フランシスカさんと妹のステファニーさん3人でガーナに行くことを提案した。16年ぶりに訪れたガーナ。もしかしたら、ここで暮らしていたかもしれない・・・。目に映る光景1つ1つを見逃さないようにとじっと見つめているエブリンさんの姿があった。また、自分の祖父母との再会し、日本国籍を取ることについてどう思っていたか、初めて思いを聞いた。

遠い存在だった母の国ガーナ。訪れたことでエブリンさんは自分自身、そして「自分の国」をどう見つめなおしたのか・・・。
スタッフのつぶやき
中村春菜(村瀬史憲)

今回、エブリンさんたちのガーナ帰省に同行し取材することになりました。 そこで感じたのは、ガーナは家族を大切にする人が多いということです。 これは血の繋がりだけではなく、兄弟の結婚した相手の家族・親戚、そして同じ集落に住む人たちも「家族」に近い関係になります。 親戚や近所の人たちが集まり常に賑やかで、エブリンさんたちがガーナでひとりになることはありませんでした。

エブリンさんは13歳のころ、ただ純粋に「ガーナ人の要素がない」、「日本代表としてバスケがしたい。だったら国籍を変えればいいのかな」と言っていました。 しかし、18歳になりガーナで祖父母と出会ったことで、自分自身とちゃんと向きあえたのはもちろん、国籍を変えることの大変さを通し、慣れない土地で、全力で支え続けてくれた母親フランシスカさんの存在の大きさを感じたのではないでしょうか。

エブリンさんは、2020年の東京オリンピックに向けた強化選手の一人として、 今年度の女子バスケットボール、日本代表候補にも選ばれました。 「母国を1つに決めなくてもいいと思います。私は日本人だしガーナ人です」と述べてくれたエブリンさん。目標は「日本代表として活躍して、ガーナの人に日本で頑張っている自分みたいな人もいるってことを伝えたいです」と教えてくれました。