2009年5月29日(金) 午前9時57分~10時51分放送
 
責任の所在
~耐震偽装はなぜ見過ごされたか~

世界不況などホテルが直面している現状と、裁判から浮かび上がった
愛知県が行なった確認審査のズサンな実態の実例を追加した。
 
 
愛知県半田市のビジネスホテル、
センターワンホテル半田の中川三郎社長。
 
2月24日、耐震強度偽装を見逃した愛知県に対する責任を認めた判決が出た。耐震強度偽装事件では、民間の検査機関は国土交通省の処分を受けたが、自治体で担当者の処分を行ったところは無い。行政に対する判決は初めてだ。しかし、愛知県は「責任は無い」と控訴することを決めた。
「事件の責任の所在はどこにあるのか。」それが社長の口癖だ。なぜ、偽装は見逃されたのか。姉歯元建築士による構造計算書を審査したのは愛知県だ。県は、「姉歯元建築士の偽造が巧妙で見抜くことは不可能だった」として、責任を回避してきた。しかし中川社長が調べたところ、一目瞭然でわかるほど簡単な偽造が含まれていた。
裁判で県の過失を訴えてきた愛知県半田市のセンターワンホテルの中川社長は、勝訴の判決に喜びを隠せない。ホテルは3年前の事件後、建て直して2007年4月営業再開、順調に滑り出したかに見えた。しかし、このところの世界不況のあおりをうけ、宿泊客が20%減の状態に。建て直し費用7億円の返却がここにきて重くのしかかる。裁判を通して浮かび上がった愛知県の過失の実態を描くとともに、裁判とホテル経営を両肩にのせ奮闘する社長の姿を追う。
 
 
2006年4月、耐震偽装が見つかったホテルの解体作業が進む中、インタビューに答える中川社長。 2007年4月、建て直したホテルのお披露目で、インタビュー中、思わず喜びの涙を流す中川社長。
 
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