2004年9月11日 13時00分~13時55分放送
 
わたしたちは戦争を見たか 
 
スタッフのつぶやき
 
ディレクター 土江真樹子

 これは私自身も持ち続けた疑問、心の中にいつも引っかかる「なにか」だ。 私自身の経験であるが2001年9月11日、沖縄に住んでいた私は台風が接近する中、米軍基地の取材へと向かった。私たちに銃口を向ける米兵。今まで感じたことがないほどの緊張感だった。それから3年、世界は戦争へと突入して行ったように感じる。
  2年前のイラク戦争開戦から多くの変化が起こった。太平洋戦争後日本が初めて体験する戦争への関与。人質事件、フリーランスの活躍、自衛隊の派遣。
  名古屋へ来てからイラク戦争を検証、報告する講演会を何度か取材したがそのたびに、「新聞、テレビの戦争報道は信用できない。十分ではない」という市民の声を何度も聞いた。視聴者はもっと情報を求めている。今では戦争を知らない世代が主流となり戦争への興味が薄れていると言われるが、そこでは「何が起こっているのか知りたい」「戦場とは?」と情報を求める人たちが数多くいた。
  今回の番組では放送や新聞紙面でタブーとされる死体、流血の映像を使用している。ショッキングな映像を見せることだけが戦争を伝えるわけではないが「爆撃される側」には死体があり腐敗臭が漂っているはずだ。いくらピンポイントで攻撃していても市民の被害がないわけではない。戦争では軍人だけが死ぬわけではない。市民にはもっと多くの被害が出ている。これは私が沖縄で学んだことの1つだった。
  テレビは心の準備のない人たちにも映像を見せつける。そういう人たちにとって死体や戦場の悲惨さは受け入れられるものではないかもしれない。だが、今回の番組では、あえて「戦争臭」、物が焼け焦げたり、腐敗する臭いを伝えたい。そして、「戦争」を見ること、知ることについて考えて欲しいと願っている。
 
 
放送内容について