2004年10月30日 14時30分~15時25分放送
 
秘境!雲南音楽紀行
~少数民族が残したアジアのDNA~
 
 
 
中国枇杷を奏でるティンティン
 

 中国西安からの留学生で、また自ら中国琵琶奏者のティンティンが、自らの音楽の原点を求めて雲南の秘境に旅立つ。雲南の山岳地帯の奥深く、古く美しい町がある。中国の少数民族「納西(ナシ)族」が多く暮らす麗江。標高2400メートルのこの町は1997年、世界遺産に登録された。ここには納西古楽という中国の古い音楽が楽器とともに残され伝えられてきた。中国国内からすでに消え去った漢や元、宋の時代の宮廷音楽が、なぜこの秘境の町に残されたのか。そして文化大革命の嵐を越えて守り抜いた人々の民族の文化に対する思いをティンティンは、音楽家として、そして研究者として探る。
 口伝によって伝えられてきた音楽は、今では70歳以上の老演奏家が守り抜くだけである。なぜこの地域にだけ残されたのか不思議だが、山々に閉ざされた秘境ゆえに隔離されてきたという説もある。音楽のほかにも現存する生きた象形文字「東巴(トンバ)文字」が納西族に残されている。
 さらに山深く、長江の上流をたどれば、男が妻の家に通う「妻問い婚」の風習を残す納西族の一部<モソ人>の村にも訪ねる。
 もはや、現代中国から失われたといわれる古代の音楽や楽器を目にして、ティンティンの興味はもっと素朴に残された音楽との出会いを求めて、さらに長江上流の納西族文化のルーツの村を訪ねた。偶然にもその道は、古代西南シルクロード(茶馬街道…雲南、四川からチベット、ネパールを越えインドにいたる過酷な道)と重なる。
  豊かに広がる稲作の田園風景、子供たちに見た日本と同じ遊び、何より、日本人とそっくりな顔を持つ人々、素朴な音楽に漂う懐かしく癒される感覚。ここには遠く離れた日本の原風景に出会ったような錯覚に陥る。古代シルクロードをたどり、日本の奈良正倉院にもたらされた琵琶の原型が、納西古楽の楽器にも見られたのは単なる偶然だろうか。いつのまにか、私たちはアジアの遺伝子を体感する旅となっていった。
 
 
納西(ナシ)古楽団 今も秘境とされる雲南
 
納西(ナシ)族が暮らす麗江の町  
 
スタッフのつぶやき