
10年ぶりのシドニー
2000年のシドニーオリンピック、女子マラソンで高橋尚子さんが金メダルを獲得した瞬間を私は現地で目の当たりにしました。あの時の感動と興奮は今でも鮮明に覚えています。あれから10年、再びシドニーへ。今回はシドニーマラソンに出場し、自分の脚でフィニッシュラインを目指してきました。実は私が本格的にマラソンを始めたのはシドニー五輪直後なのです。今シーズンは春から足底痛に悩まされていたので、マラソンを始めた頃の気持ちに戻って再スタートを切りたいと思っていました。

ハーバーブリッジもコースの一部
南半球のシドニーは早春で、最低気温は11度前後。早朝のスタート時は肌寒く感じるぐらいでマラソンには快適な陽気でした。号砲が鳴り、しばらくはゆっくりのペースで自分の体と対話しながら慎重に脚を運びました。やがて体が温まってくると、同じペースで走るランナーの皆さんとマラソン談義に花を咲かせる余裕も出てきました。コースはシドニーの観光名所が楽しめるもので、この日はハーバーブリッジ上をランナーが占領することができます。美しい景観の中、春風を肌で感じて走れるとは、なんと贅沢な時間なのでしょう!といっても、楽しい時間はつかの間。「練習(走った距離)は裏切らない」とよく言いますが、まさにその通りで、走り込み不足の私にとっては30キロ以降がとんでもなくきつい!シドニーのコースはアップダウンとカーブが多く、脚へのダメージがボディーブローのように効いてきます。しかし、つらいながらも地面を一歩一歩踏みしめていることで、生きている実感がわいてきました。

完走Tシャツは宝物です
コース途中ではシドニーマラソン親善大使の高橋尚子さんが出場者一人一人に声援を送っていて、笑顔の高橋さんにハイタッチをしていただき、何としても完走するぞ!という想いが強くなりました。私のマラソン人生に大きな影響を与えた金メダリストのパワーはやはり絶大です。フィニッシュタイムは3時間17分18秒、ここ数年では最も遅い記録です。しかし、腕時計を気にすることなく、最後まで笑顔で走り続けられたことで、私はマラソンがさらに好きになりました。今は充実感で満たされ、新たなマラソン人生のスタートを気持ちよく切れたと言えそうです。